南木曽岳縦走☆紅葉真っ盛りの笹原の山頂へ
- GPS
- 05:45
- 距離
- 13.5km
- 登り
- 1,347m
- 下り
- 1,092m
コースタイム
- 山行
- 5:26
- 休憩
- 0:18
- 合計
- 5:44
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
整備された一般登山道 あららぎコースはかなりの急下降 |
その他周辺情報 | あららぎ温泉湯元館は源泉掛け流しの鄙びた温泉 |
写真
感想
名古屋駅で始発の特急しなの号に乗り込み、始発の新幹線で京都から来る家内と待ち合わせる。発車の時間が近く頃には自由席はほぼ満席に近い状態となる。名古屋のあたりは曇天に覆われており、恵那山をはじめ途中の山々は雲の中であったが、南木曽の駅に着く頃には空は快晴となった。
南木曽岳に登るには南のあららぎキャンプ場から北側の上の原の二つのルートがある。ヤマレコで検索する限りほとんどの登山者は南側のあららぎからのルートを登るようだ。上の原からのルートは距離が長く時間を要するが、公共交通機関を利用してアプローチする以上、同じ登山口に戻る必要がないので、躊躇なく縦走コースを選択する。
駅からは南木曽岳の山頂部は見えず、目に入るのは山頂から西に伸びる尾根の端ではあるが、わずかに雲がかかっている。山頂に着く頃には雲も消えてくれることを期待しよう。駅からはまずは旧中山道を歩く。まもなく道が細くなり、舗装路が忽然と消えたかと思いきや、どうやら中山道は民家の軒先を通って先へ進むらしい。円空仏を有する曹洞宗の寺院、等覚寺で中山道を別れるとすぐに上の原の登山口となり、棚田の間の広地に車数台ぶんの駐車場が設けられている。
登山路はすぐに檜の植林地の中に入ってゆく。林床はあたり一面、丈の低い熊笹に覆われている。植林地は一般的には単調な林相で面白味に欠けることが多いが、この登山路では広々とした檜の林になったり、自然林が混ざったりと林相が変化して、厭きない。何よりも有難いのこの登山路はコースが長い分、距離をかけて緩やかに尾根を登っていくので胸を突くような急登はない。
しかし今朝方まで降り続いていたであろう雨のせいで笹の葉はしっかりと濡れており、通過に伴って足元に落ちてゆく雫のせいでまもなくトレラン・シューズはびしょ濡れになる。ちなみに今回は荷物の軽量化のためにトレラン・シューズを履いていはいるものの、家内は全く走ることが出来ないのであくまでもハイキングである。
p1291の手前で尾根は大きく南に曲がり、南木曽岳から北に伸びる稜線に乗る。尾根の傾斜はさらに緩くなり、同時にブナやナラの自然林が多くなる。標高が1500m近くになると樹々の紅葉が一気に進み、尾根上の樹々は紅や黄色、橙色と色とりどりの紅葉で賑やかだ。背後を振り返ると木曽駒ケ岳から空木岳を経て越百山に至るまでの中央あるブス主稜の山々が一望のもとである。
避難小屋に近づく頃、初めて人に出会う。単独行の初老の男性は「この先も道はありますか?」と聞かれる。「もちろん、登山口からいい道が続いていますよ」とお答えする。大概の登山ガイドにはこの上の原からのコースも掲載されているであろうし、なぜそのようなことを聞かれるのであろうかと思ったが、「昔、この尾根を下ろうとした時には全く道がなくて困ったことがありまして」とのこと。どうやらそれはかなり昔の話らしい。
別れ際に「展望台はもうすぐそこですよ」と男性は教えて下さる。その後「人が大勢いますよ」と仰ったその言葉の裏には人の多さに辟易した様子が伺われた。果たして男性の言葉通り、すぐに展望台に到着すると、展望台には確かに大勢の人が休憩しておられる。丁度、昼時であり、ランチのタイミングのようだ。この展望台からの景色は素晴らしい。先ほどの尾根から展望できた木曽駒ケ岳から越百山までの中央アルプス狩猟に加えて、右手にはさらに南に連なる奥念丈岳から安平治山を経て摺古木山に至るまでの南部の山々を望むことが出来る。
まずは南木曽岳の山頂に向かう。山頂の手前では御嶽・乗鞍方面の展望台があり、遠くに乗鞍岳を望むが御嶽山は残念ながら雲の影だ。山頂は樹林に囲まれて全く展望のない広場であり、先ほどの避難小屋近くの展望広場で大勢の人が休憩するのも無理はない。南のあららぎ方面からの南木曽岳への登山路は時計回りの一方通行なので、再び引き返して展望広場に戻る。奥念丈岳から摺古木山に至るまでの南部の山々には雲がかかっている。
あららぎ方面への下山路に入り、まずは摩利支天を目指す。尾根上ではまばらに生える灯台躑躅は紅葉の盛りであり、熊笹の草稜を背景に見事なコントラストを見せてくれる。普段は静かな山と聞いていたが、この時期は美しい紅葉を期待する多くの登山者で賑わうのも無理はないだろう。
摩利支天からは南木曽岳の山頂と南麓の展望が大きく開ける。ここからは尾根の急下降となる。木の階段が設えてある箇所が多いので楽に下ることが出来るが、階段がなければ容易には下れない箇所が多いと思われる。下りでは多くの登山者達を追い越すことになったが、この南木曽岳の登山路が一方通行となっている理由が容易に理解できる。階段や急な箇所が多いのですれ違いが困難なのだろう。
登りルートとの分岐に至ると途端に勾配は緩くなり、檜の植林の中のなだらかな道となる。まもなく堰堤に出ると広い林道となった。
駐車場の手前で左手に「男滝女滝180m」と書かれた道標がある。先を急ぐ理由はないので滝へ寄り道することにする。二俣の別れる沢の奥にそれぞれ滝音が聞こえる。まずは飛び石を渡って手前の沢を奥に入ると落差の大きな滝が現れる。どちらが男滝か案内標はないが、おそらくこちらが男滝であろう。沢を引き返す途中で片方の足を沢につけてしまう。
奥の沢は沢の右岸に沿って踏み跡が続いている。すぐに鬱蒼とした沢の奥に落差は劣るものの扇状に広がる滝が現れた。滝を鑑賞した後は駐車場から長い車道歩きのつもりであったが、川の左岸に沿って自然探索路が続いているので、こちらを辿ってみることにする。檜の植林地の中をよく整備された歩きやすい道が続いている。大きな堰堤を越えると、まもなく吊り橋が現れ、キャンプ場に出るのだった。
車道に出て振り返ると晴れ空が広がっているものの南木曽岳の山頂部はしっかりと雲がかかっている。棚田の間を緩やかに下って国道に出ると目指すはあららぎ温泉の湯元館である。早速、温泉に入ると続々と人が入ってこられる。いずれも南木曽岳で見かけた登山客ばかりである。よくよく考えるとこの時間に辺鄙な温泉にわざわざ入りに来るのは登山客以外はほとんどいないのであろう。
温泉に併設された食堂もなんとも鄙び感じであるが、メニューが魅力的である。そばと共に天然舞茸を注文して舌鼓を打つ。日本酒を頼むとつけ出しに出てきたのはなんとイナゴの佃煮であった。
南木曽駅には時間に余裕を持って到着したつもりだったのだが最後に意外なハプニングが待っていた。駅の切符売り場に座っている中年の女性はJRの正規職員ではなく嘱託の町の職員らしいのだが、JR westで予約した切符の発券の仕方がわからないという。名古屋駅での新幹線の乗り換え口で発券を依頼する羽目になったのだが、窓口には大勢の人が並んでおり、順番が回ってきた時には既に予約した新幹線は発車した後であった。
おかげで京都に帰り着いたのは予定よりも遅い時間となったが、南木曽岳の紅葉を堪能することが出来た一日であった。
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