春花爛漫の北岳でも暴風雨
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- GPS
- 26:44
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 1,881m
- 下り
- 1,872m
コースタイム
甲府駅8:00着ー広河原 11:40着ー白根御池小屋14:00着幕営
7月15日(日)
白根御池小屋4:30出発ー右俣分岐5:00着ー小太郎尾根分岐5:45着ー肩の小屋6:20着ー北岳山頂7:00着
池山吊尾根から北岳山荘折返し7:50着ー八本歯のコル8:30着ー大樺沢二俣9:50着ー白根御池小屋10:20着テント回収
白根御池小屋12:00発ー大樺沢二俣12:30着ー広河原14:10着ー北沢峠行きバス14:25発
天候 | 麓は曇り。山頂は暴風雨。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
広河原14:25発 北沢峠14:50着 |
コース状況/ 危険箇所等 |
コース全体で山頂周りの鎖場と八本歯のコルを除いて危険個所はなかった。昨年の台風の影響も殆ど解消されていました。気候の急変には注意が必要です。山頂の気温はかなり低かったと思います。 |
写真
感想
九州で猛威をふるった前線がまだ本州に停滞している最中に、シルバーウィークの三連休を利用して南アルプスへ。
立川7:21発スーパーあずさに乗る予定が、一本早い6:50発の臨時特急電車へ飛び乗る。ただ、全席指定でデッキに。でも30分儲け。
しかし甲府で8:00発の広川原行きのバスが30分遅れて、結局1時間無駄にする。
10:40に広河原に着いて早々に今日の幕営地の白根御池小屋を目指す。
夏でも4℃位に冷え込むテント泊の装備を担いで急登。苦しくて思わず吐きそうになる。もう若くない。
14:00に白根御池小屋について生ビール!疲れていたのでテント張って早々に夕飯食べて寝てしまいました。
夜中に雨の音で何度も目が覚める。いや、7時頃寝たので既に寝過ぎか?
3時頃周りもざわざわと起き出したので僕も出発の準備を始める。雨は止んだようだ。
コーヒーを沸かしてランチパック食べて4:30に出発。テントはそのまま残して行く。
草すべりの急峻な坂を登る。昨日と違ってアタック用のザックに水筒と地図と予備のウインドブレーカーと行動食だけなので体が異様に軽い。高度をぐんぐん上げる。
振り返ると遠くに鳳凰三山が朝もやに霞んで見える、下の方で雲が切れている。なんだか天気が回復しそうな気がする。この雲をぬけて山頂に出るとドーピカン?なんて淡い期待を抱く。
しかし、1時間程して坂を登りきって尾根に出ると強烈な風雨が待っていた。
しかもかなり寒い。カッパを脱いでもう一枚中に着込む。
北岳肩の小屋に着いた時、風雨はさらに強まっていた。テント場のテントが風に飛ばされそうだ。後で聞いた話だと何人かの人は肩の小屋に逃げ込んだらしい。
でも大勢の人が山頂を目指して出発の準備をしていた。
さあ、山頂へ!
ピークハントを目指す山行では僕はいつも天気に恵まれない。
しかし、前回丹沢での失敗で今回は雨対策をかなり研究したのでかなり快適だ。
この暴風雨の中で快適?なんだかそれだけで嬉しくなる。
それと今回の目的は東京近郊の低山では終わってしまった春花をもう一度取り戻すことが大きな目的だった。
ここまでに何枚の写真を撮ったか判らない。図鑑1冊分の花を見たような気がする。
さすが北岳!
いつもはその場で図鑑片手に花名を同定するのだが、今回はこの風雨でかなわず、間違っていたらごめんなさい。写真だけでは判断が難しい。
山頂手前で岩場がポツポツ出てくる。僕は岩場が大好きだ。
3点支持をして、ここに足を掛けて、ここのクラックに手を差し込む。
山野井氏の動画の見すぎか?
標高が3千メートルを超えたあたりから高山病だか、ただ興奮しているだけか、心臓がバクバクし始める。呼吸も速くなる。
そして、何度か急峻な岩場を抜けるとそこには大勢の人が集まっていた。
なんだかあっけない山頂。
でも、みんな嬉しそうに写真を撮っている。
誰かに頼まれて写真を撮ってあげる。カッパのフードの中で笑顔がはち切れそうだ。
自分も、と思ったがあまりにも混んでいるのと、頼むタイミングが掴めなくて、三角点に足だけ置いて自分撮り。
日本で二番目の高峰だ。ここから見上げるのは富士山しかない。
完璧に整備されてただ登るだけの富士山と比べると、こちらの方が楽しみが多い。
「二番ではだめなんですか?」「いやいや、こっちの二番も別格です!」
しかし、展望がゼロなので早々に池山吊尾根方面へ下る。
今回のもう一つの大きな目的のキタダケソウを目指す。
何枚も高山植物を拾い撮りしながら、吊尾根を下る。本当に何枚撮っただろう。
間ノ岳への尾根の展望を眺めるのを楽しみにしていたが、やはり視界ゼロ。
北岳山荘へ向かう道の折り返し点で引き返して八本歯のコルを目指す。
そろそろキタダケソウが居るはず。
ハクサンイチゲが群生している。とてもよく似ているので注意して歩く。
鎖場が続くので滑落にも注意しなければならない。岩やはしごは雨にに濡れてつるつる滑る。落ちると即、天上へ舞い上がる。この高度だと天国も近いのか?行ければの話しだけれど・・。
親切な婦人がカメラ片手にきょろきょろしていると、
「キタダケソウなら、あともう少しのところに咲いているわよ」と教えてくれる。
テンションがいきなり上がる。
いた! いや、ハクサンイチゲか?いや、キタダケソウの群生だ!
でも、群生していたのは山の斜面の一角だけだった。
ぼんやりしていると見逃すところだ。さっきの婦人に感謝!
「やっと会えた」と思わず声に出すと「会えたわね」と後ろに居た別の婦人が答えてくれる。
何枚か写真を撮って満足すると、また足元に注意しながら八本歯のコルを目指す。
八本歯のコルを過ぎると大樺沢の雪渓が眼下に広がる。
この雪は溶けることがない。北アルプスでは氷河と認定された場所もあるらしいが、ここもあまり変わらないのでは?
昔カナダで本物の氷河を見たことがある。一番下の雪は何年位前の雪なんだろう?
しばらく雪渓の肩の岩場を下って、岩場が無くなるとアイゼンを出して雪渓を下る。
登ってくる人の顔が苦痛でゆがんでいる。
「もう、ここで終わりですよ」と思わず声を掛けたくなる。
ここまで下りると風も雨も止んでいた。今度は逆に汗ばんでくる。
カッパを脱いでアイゼンと入れ替わりにザックにしまった。
登るのも大変だけれど、下るのも少し怖い。
ヤマレコではアイゼン不要と書き込みがあるが、僕にはとても無理だ。
靴だけの人も居るが、やはりなんとなくぎこちない。
大樺沢の二俣に着くとアイゼンを外して、白根御池小屋への道をたどる。
朝置き放しにしたテントを回収するためだ。
テント場に着くとやはりテントはぐっしょりと濡れている。
乾かすのを諦めて、少し休んでお湯を沸かして残りのラーメンを食べる。
ふと時計を見るとてみる。11:30 確か北沢峠行きの最終バスは14:25だったはず。
時刻表を確認して早々にテントを撤収する。
実は今回もう一泊して甲斐駒ケ岳を登ってみる計画をたてていた。
ただ、当初の計画だと最終の北沢峠行きのバスには間に合わず、広河原山荘のテント場に泊って、翌朝の1番のバスで北沢峠へ出て甲斐駒を目指す予定だった。帰りは時間的にあわただしい。
でも、この雨と疲労に少し気持ちが萎えていた。
今回はこのまま広河原からバスで帰ろうかなんて考えていた。
しかし、今日中に北沢峠まで行ければ、駒仙小屋で幕営して翌朝また4:00頃に出発できる。そうすれば、昼過ぎに下山出来て帰りも楽になる。
そうと決まれば膳は急げ!
雨に濡れて重さを増したザックを担いで、二俣に引き返す。
今回は重いザックを担いでいるので雪渓を下るのも緊張する。
バス発まであと2時間!間に合うか!?
ザクザクと下って、雪渓を越えて川沿いの道を下る。
ひざと腰を痛めないように慎重にそれでも滑るように下っていく。
途中何人もの方を追い抜いて、滑って転びそうにもなりながら、
広河原山荘へたどり着いた時には14:00だった。
「間に合った!」
でも山荘の生ビールの赤いのぼりを見た時、すこし気持ちを動かされる。
北沢峠にもビールはあるさ!と自分を慰めて、橋を駆け渡る。
バス停の手前で大樺沢越しに見えるはずの北岳を仰ぎ見みる。
やはり山頂は厚い雲がかかって何も見えない。
広河原自体は雲が切れて日が差してきている。
明日はきっと晴れるだろう。
バス停で出発ぎりぎりの北沢峠行きのバスに飛び乗った。
甲斐駒ケ岳へhttp://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-207349.html
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