赤岳・阿弥陀岳周回〜快晴の青空と白い岩稜


- GPS
- 09:54
- 距離
- 16.7km
- 登り
- 1,741m
- 下り
- 1,730m
コースタイム
- 山行
- 8:13
- 休憩
- 1:42
- 合計
- 9:55
天候 | 快晴 八ヶ岳主稜線上は−13℃、20〜25m/sの強風 気温、八ヶ岳山荘−10℃、下山時−5℃ 行者小屋10時−15℃ |
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過去天気図(気象庁) | 2020年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
・美濃戸林道は仮橋が架けられて通行可能。重量車両は通行不可。2t超のパジェロやプラドも走ってはいたが・・・。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・まだ少ないが、やっと雪が付いてきた印象。地蔵尾根、阿弥陀岳は階段や鎖が未だ露出している。 ・美濃戸〜行者小屋チェーンスパイク。行者小屋からアイゼン、ピッケル、ヘルメット装備。 ・地蔵の頭から赤岳〜御小屋尾根森林限界まで極寒強風−13℃、20〜25m/sの強風。体感温度は−20〜−25℃。ゴーグル、バラクラバ装着。 ・極低温のため、スマホ、デジカメ等のリチウムイオン電池が容量低下してしまう。温めた予備電池があると便利。 |
写真
感想
年始恒例の八ヶ岳へ。浅間山や八ヶ岳周辺は晴天率が高い。今回はshilokoさんが年末から体調を崩し、治ったばかりなので留守番。ソロなので地蔵尾根から御小屋尾根で周回することにした。
3時に起床するはずが、目覚まし掛け違えて3時30分起床。6時過ぎに美濃戸口八ヶ岳山荘駐車場に到着。30分遅刻したので、昼食のうどんは置いていき行動食のみ。駐車料金500円は下山後支払うことにして、チェーンスパイクを装着し林道へ向かう。気温−10℃。
台風災害からの復旧で、仮橋が架けられていた。重量車両は通行止めらしいが、赤岳山荘には2t超のパジェロやプラドが停まっていた。いずれにせよ、今回は御小屋尾根で下山するから、こちらには停めない。
退屈な南沢の登山道を歩んで行く。枯沢には多少雪はあるが、南沢の流れが見えていて、全体的に雪はまだ少ない。標高を上げて行くと内陸だけあって寒さが増してくる。ハードシェルを着用。シラビソの霧氷のトンネルを抜けると白河原。まさしく真っ白な雪原。白い横岳が見える。
行者小屋に到着。やはり日差しの無い午前中は極寒−15℃。アイゼン、ヘルメット、ピッケルを装備。グローブもソロイストに換装する。氷柱が並ぶ軒先を歩いて地蔵尾根へ。
薄暗い樹林帯を歩いていく。極低温で雪がサラサラ、ウェアや靴に付着しない。八ヶ岳主稜線上から日が差し、多少気温が上がる。森林限界を超えると、小ルンゼが現れ階段と鎖が見えた。ここは新雪で締まっておらず滑りやすかった。
そして西からの極寒強風が襲い掛かる。温度計を見ると−14℃。こんな急坂ではバラクラバやゴーグルの換装をして、飛ばしたり落としたりしたくないので、上まで我慢する。
ただ見渡す景色は素晴らしい。青空に映える岩稜帯の横岳、目の前にそびえる峻険の赤岳、美しい裾野の阿弥陀岳、残念ながら北アルプスはガスに覆われていた。寒さなど忘れて周りを見ながらゆっくりと登る。
まだ積雪が少なく階段や鎖が出ているので、滑落さえ注意すれば全く問題なく登れる。地蔵が鎮座する地蔵の頭に到着。上がった途端に強烈な西風。まっすぐ立っていられない。25m/s近い強風、極寒を伴い体感温度は−20〜−25℃。気が付けば鼻と頬の感覚がなくなった。帰宅して鏡を見ると、鼻の頭がやや黒く凍傷を負っていた。
岩稜に退避しバラクラバ、ゴーグル装着。息苦しさを我慢しつつも赤岳へ。途中で八甲田雪中行軍遭難の陸軍制服を着られた方と遭遇。楽しい話をさせて頂いた。またどこかでお会いできると嬉しいです。
太陽が南中近くに見えるころ赤岳山頂に到着。12時を回り山頂には4名程度。記念撮影しゆったりと景色を楽しむ。ご友人と北横岳にいらっしゃるkijimunaさんに手を振る。ただガスでこちらは見えないか・・・。
間近に見える富士山が裾野に雲をまとい美しい。白根三山は雪は少ないが陽光を反射させて輝いていた。目前の阿弥陀岳はやはり凛々しい。極寒強風など忘れて10分以上佇んで景色を眺めていた。
遅刻ハイカーなことを忘れていたので、急いで阿弥陀岳へ向かう。下る岩稜帯から見る竜頭峰、キレット、権現岳と続く稜線が美しい。天候が良い時にまた縦走したい。急ぐことなど三歩歩いてもう忘れてしまっている。愚か者。
文三郎尾根分岐から中岳へ。風の通り道ですさまじい突風。鼻水がキレット小屋へ飛んでいく勢い。身体を北西に傾けながら歩いた。気温が上がってきたので中岳のコルでヘルメットとバラクラバを脱ぎ、ゴーグルからサングラスへ。
阿弥陀岳も階段が露出しており、まだ歩きやすい。振り返ると青空を背景に白い赤岳。素晴らしい景色に歩みも停まる。今日は遅れて暗くなって下山でも良いように、ヘッデンを装備している。
白いビクトリーロードを駆け上がると阿弥陀岳山頂。当然誰も居ない。昨年の北稜岩稜ルートからのラッセルしての登頂の記憶が蘇る。八ヶ岳ブルーの絶景を目に焼き付け御小屋尾根へ向かう。西の肩の岩稜ではもろに強風を受ける。ハシゴが外れそうで一緒に飛ばされるかと思った。
南稜分岐では、阿弥陀奥壁の真っ白い斜面と富士山、半月がもう頭上に上がっていた。足を西へ進めると眼下には御小屋尾根。見晴らしの良い急稜線。ここはお気に入りの景色なので、時間など気にせずゆったりと下りる。
阿弥陀中央陵の白い斜面と南八ヶ岳山稜と南アルプス方面が素晴らしい。北アルプスが見えれば最高なのだが仕方ない。自分の周りも白い霧氷や岩稜で覆われている。
未だ冷たい風は向かい風となり、下から吹き上げるように風を受ける。景色を惜しむように樹林帯へ。風も止んで今度は暑い。ハードシェルを脱ぎパンツのベンチレーションを開ける。アイゼンからチェーンスパイクに換装。
樹林帯内の道は、まるでリュージュコース。得意のグリセードで下って行く。なけなしの金で買った高価なGORE-TEX PROのウェアなので、貧乏な私はシリセードは出来ない。実際に一昨年は下ったのだが・・・。
単調な樹林帯歩きは、御小屋山を経由して舟山分岐を北西へ向かう。さらに単調となり飽きた頃には別荘地に出てきた。舗装路を歩いて八ヶ岳山荘に到着。夕日が傾き始め黄色になっていた。遅刻したが日の入り前、計画通り16:30に下山できた。駐車料金を支払い帰路へ。
エコーラインから見る八ヶ岳。夕焼けが黄色から紅色に変わっていく。田畑の脇に停めてまた暫く景色を眺めていた。明日甲斐駒ヶ岳へ行くというirohaさんへ、ここから見た画像と天気予想をLINEで送る。5日以外ならまず問題ないだろう。エールを送る。
西の空が真っ赤に染まる、振り返ると阿弥陀岳周辺も紅く色付いていた。厳しくも素晴らしい景色で迎えてくれた赤岳と阿弥陀岳に感謝し、厳冬期の再訪を誓って帰路へ着いた。
growmonoさん
こんばんは
正月早々良い山旅をされましたね。
さすが天候を見られての厳しい山行を
こともなげになされるgrowmonoさんにビックリします。
今年もヤマレコユーザーさんの為にも楽しませてくださいね。
おはよございます、iiyuさん。
八ヶ岳方面は晴天率が高いですからね。毎年始時には訪れています。八ヶ岳全般的に言えるのは極寒強風ですね。穏やかな時の記憶が少ないです。昨年は−25℃を経験しましたかね。
しかし南北に長い主稜線からの眺めと、やはり紺碧の空ですね。快晴の青空に白い岩稜帯が映えます。前橋から2時間半かかり、なかなか重い腰が上がりませんが、四季を通じて好きな山域ですね。
growmonoさん おはようございます
冬季の赤岳、自分には無縁の世界ですので、レコを楽しませて
いただきました。体感気温が−20〜25度の中を歩くこと自体、
想像することができません。もっとも、学生時代は極寒の釧路
で4年間生活していたので、そのくらいの経験はしたはずなの
ですが…遠い昔のことなので忘れてしまいました。今は−10度
でも寒過ぎです。お疲れさまでした。
埼玉のchii
おはようございます、chiiさん。
暖冬ですが、切れるような寒さを今季初に感じました。元旦の地蔵岳は着こんでいましたからね。極寒強風は予想していましたから、装備もきちんとしていきました。ここは樹林帯のラッセル経験が一度もないので、幸運なのでしょうね。
北海道の方は、冬季は灯油ストーブを止めることはなく、四六時中つけているそうですね。室内は24℃近くにして那覇と同じ気温だそうです。まぁその地での暮らしの仕方が有りますので、私のようなよそ者が意見を言う立場にはないです。命が掛かっていることもあるでしょうから。
chiiさんは寒いとおっしゃっていますが、地蔵尾根や阿弥陀岳を登っている時は暑いですよ。動いている最中は自分の熱で暑くなります。ですので、極寒の地でも動き続けていればそれほど寒さが気になりません。下手に長時間休むとすぐに冷えて手足の末端が痛くなってきます。
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