鳥海山 鳥越川〜千蛇谷〜新山


- GPS
- --:--
- 距離
- 25.5km
- 登り
- 1,900m
- 下り
- 1,896m
コースタイム
09:10 森林限界
11:50 千蛇谷
13:30 新山
17:40 除雪終了点
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
除雪終了点付近の路肩に駐車し、入山しました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
除雪終了点から山頂まで全域雪道。 雪は固めで、あまり沈まず歩き易い。 樹林帯ではワカンを使用しましたが、森林限界以降はアイゼンを使用しました。 樹林帯にピンクリボン等の目印はありませんでしたが、 前日のトレースが残っていたので迷わず通過できました。 特に危険な箇所は有りませんでしたが、木の根元に穴が開いており、深いところで3m位の深さ。 落ちないように。 また、ルート上では一部、鳥越川の右岸側を通るので、足場の崩壊に注意。 標高1000m付近が森林限界で、それ以降は視界が開けて、一気に谷らしくなります。 部分的な急斜面はありますが、全体的に傾斜は緩やかで、谷自体が雪崩る心配はなさそう。 どこでも歩けそうな状態でしたが、稲倉岳の尾根や外輪山からは雪崩や雪庇崩落の危険あり。 そちら側にはあまり近付かない方が良さそうです。 尚、雪庇崩落箇所は幾つかありましたが、雪崩が発生した箇所はまだ見られず。 雪崩が本格化するのは、これからなのでしょう。 上部に行くにつれて氷の箇所が目立ってきましたが、氷は柔くアイゼンの効きは良い。 先週の様な硬い氷の箇所は殆どありませんでした。 |
写真
感想
硬い氷に行く手を阻まれ、外輪山までの到達に終わった先週の登山。
しかし、千蛇谷側からなら新山まで行けそうに思えたので、今度はそのルートで新山を目指す事にした。
“だが、積雪期の千蛇谷へはどこを通って行けばいいのだ?”
まずはそこから始まった。
とりあえず、ネットで情報を漁ってみると、幾つか記録が見つかり、
それによると、どうやら秋田側の鳥越川より千蛇谷を目指すのが一般的らしい。
正確なルートを記載している記録は見つからなかったので、地形図をベースにGPSログを作成し、
その軌跡を辿って歩く事にした。
しかし当日、登山口となる除雪終了点に着くと、そこから先の雪道には多数のトレースが残っていた。
道は判りやすく、せっかく作成したGPSログも不要となる。
除雪終了点付近の路肩に車を停め、雪の積もった車道を進む。
雪は硬めで、ワカンを履いてしまえば殆ど沈む事は無い。
車道を右に折れ、樹林帯に入っても雪の状態はほぼ同じ。
ルート上に急登は殆ど無く、全体的に傾斜は緩い。
今日は先週と違って日帰り装備なので、歩みも軽く、順調に樹林帯を抜け、森林限界へと到達した。
標高1000m付近が森林限界となり、そこから先は、視界が一気に開ける。
進路右手には断崖の様な稲倉岳へと続く尾根が伸びており、左側はなだらかな丘。
地形は谷状になっており、まるで北アルプスの大雪渓の様な雄大な光景が広がる。
積雪期の雪渓は雪崩の危険があるので、この時期はとても立ち入ることは出来ないだろうが、この谷の傾斜は緩い。
谷自体が崩れる心配は無さそうである。
しかし、西側は急な斜面の断崖が迫っており、そちら側が崩れる危険はありそうだ。
雪崩の跡は見られなかったが、所々で雪庇が崩落による雪塊が転がっており、
谷部を歩くのは危ないように思える。
谷は歩かず、東側の小高い丘の上に登り、断崖に沿って歩いて行く事にした。
やがて千蛇谷の入口へと到着するが、その頃から次第に雲が増えてきて・・・
そして、ホワイトアウト。
先程までの快晴がウソのように、周囲は濃いガスに包まれる。
視界は悪く、10m先くらいまでしか見通せない。
すぐ近くには外輪山の断崖があるのだが、かなり近づかないと、その断崖は見えてこない。
外輪山の断崖からは雪庇崩落や雪崩が押し寄せる危険がある。
目視出来ない状態で進むのは止めた方が良さそうだ。
無理に進むのは止めて、しばらく安全な場所で待機し、ガスが晴れるのを待ってみた。
鳥海山の山中はまだ冬だ。
樹林帯を歩いていた時は暑いくらいに感じていたが、標高1000mを越えると肌寒く、日差しが無ければ一気に冷える。
そして、吹き付ける風は冷たい。
強風、という程ではなかったが、その冷たさは冬の厳しさを感じさせるには十分で、
そのままの状態で待機するのは辛いので、ツェルトを被って耐え忍ぶ。
茫漠とした雪渓の中で、好天を待つ。
なんとも陰鬱な時間であったが、意外に早く、好天は訪れた。
雲の切れ間から僅かに青空が見えた、と思ったらその青はどんどん広がってゆき、
数分後には快晴の空。
千蛇谷の全景が見えるようになったところで、登山を再開する。
目の前には真っ白な谷が続き、その谷は、荒神岳や新山、そして外輪山の険しい断崖に囲まれている。
高峰感溢れるその絶景には目を見張るものがあり、幾度も写真を撮りつつ先へと進む。
谷の雪は、大部分がアイスバーンで、所々で硬く氷結している。
しかし、氷は柔く、アイゼンがしっかり決まる。
先週の登山では魔の領域となった標高1800m地点を越えても、依然として氷は柔く、危険は感じない。
先週の氷の硬さは何だったんだ?と思えるほどの激変ぶりで、念の為に持参したアイスバイルも出番は無さそうである。
しかし、そのような環境の中であっても、鳥海山の山頂である新山は別格、といった風体を醸し出している。
先週、外輪山の上から見た時と同じく、その表面は氷で覆われており、日光に照らされてキラキラと輝く。
この方向からでは、アイスルートとなり、厳しい登りになる事が予想された。
ここは正面からの登りは避けて、七高山方面へ向かう。
昨年4月に新山に登った時、七高山側からなら楽に登る事が出来た。
恐らく、そのルートからであれば、安全に登る事が出来るだろう、と考えた。
七高山の手前にはスノーブリッジが出来ており、新山と外輪山とを繋ぐ立派な橋になっていた。
このスノーブリッジ周辺は雪が溜まりやすいようで、新山へ向う斜面上には安定した雪が付いている。
氷の箇所は無し。
傾斜を登るのに苦労は無かった。
そして、雪の斜面を登りきれば、そこは氷の大地。
標高が上がり、風の通り道になる為か、さすがにここの氷は硬く、アイゼンの刺さりが悪い。
突風が吹くと転倒しそうでヒヤリとさせられる。
しかし、傾斜は殆ど無く、山頂までは平坦な道が続くので突風にさえ気をつければ問題はなかった。
山頂付近は、氷で覆われた巨岩が幾つも立ち並んでおり、
それはまるで巨大な怪物が佇んでいるようで、異様な光景に見える。
この巨岩のどれか一つが山頂だが・・・
一体、どれが山頂だ?
去年登った時は、トレースがあったので、どれが新山の頂上かすぐに判ったのだが、今回はトレース無し。
一番高そうな岩に登ってみるが、その岩の上に立って見ると、隣の岩の方が高く見える気が・・・
あっちの岩が山頂かな?
と思ってその岩に登ってみれば、やっぱりさっきの岩の方が高く見える罠・・・
まぁ、どちらの岩の上も、見える景色は似たようなものだ。
この2つのどちらかが山頂なのは間違いないだろうから、登頂達成、としておこう。
山頂からの眺めは格別で、快晴の空の下、広大な雪山景色と、その背景に広がる青い海。
鳥海山だからこそ見れる、海と雪山の景色。
それらを満喫し、先週の悔しさを払拭したところで、山頂を後にする。
さて、あとはもう下山するだけ、であるが・・・
ここからが、長いんだよな(-"-;)
山頂から麓までは12km以上の距離で、高低差1800mのなが〜い下りが続く。
スキーで下れたら、なぁ・・・、と思わずにはいられない。
千蛇谷の斜面は氷やアイスバーンだらけで、とても楽しめそうにはないけれど、
そこから下ならば、そこそこ雪質は良く、傾斜も緩い。
ゲレンデスキーしかやった事がない私でも、なんとか滑れそうなレベルである。
そろそろ山スキー、考えてみようかなぁ。
来季、資金に余裕があったら検討してみようと思う。
尚、この日は一日を通して誰とも会わず。
下山中に新たなトレース跡も見つからず、誰も入山していないようだった。
天気が良かったので、大勢スキーヤーが訪れるかと思っていたが、まだスキーの時期には早いのだろうか?
静かな鳥海山を楽しみたいのなら、今が良い時期なのかもしれないね。
以上、2週に渡って歩いた鳥海山。
3月に鳥海山を歩くのは初めてであったが、まだまだ雪深く、この時期に雪を求める者には良い山だった。
外輪山側、千蛇谷側、どちらの景色も高峰感に溢れ、甲乙付けがたい。
まだ雪深いうちに、もう一度訪れたいものだ。
さすがに3週連続はない、と思うけど・・・ね。
最近は快晴率も高くなり、行ける山が増えてきたのが嬉しいところ。
次回は、鳥海山から見えたあの連峰。
あそこも、そろそろ行けるのではないかな?
週末の天気と相談であるが、登頂機会を伺ってみようかと思う。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
にかほからのルート、昨年の春に鳥海山で出会ったにかほの方とお話しした気がするのですが
入れるのか(゚_。)?と、深く考えなかったです。
こうして画像と共にみると本当にあるんだなー
しかしながら、物凄く長――――いルート、お疲れ様でした。
前回わからなかったスノーブリッジが今回は理解できました^^;
快晴の山頂から日本海、素晴らしいです。
にかほからのルートは、今回私も初めて知った道です。
断崖のような稲倉岳がすぐ傍まで迫っていて、なかなか見応えのある登山道でした。
目印が無いのが少々厳しいですが、特に危険な箇所はないので、トレースさえあればスノートレッキングに良さそうです。
2週連続で快晴に恵まれ、海も良く見えました。
やはり、鳥海山、と言ったら海ですね
ものすごい事になっていますね。
何だか気持ち悪いというかここは地獄の入口だよ〜と言われているような…
神社も小屋も氷と雪のモンスターに食われてしまった〜
こういうレコを残せるLuskeさん、次はやっぱり“いいではいいで〜”と叫ぶのかな〜
起伏がないので単調ですが、25kmで標高差1800mですか
日帰り圏内ギリギリですかね。
Luskeさんだから成せる行程でしょう
5月以降からしか鳥海山を歩いたことが無いのでわかりませんが、
北側(秋田)と南側(山形)では地形もそうでしょうが、雪質もかなり違うものなのでしょうか?
僕は4月辺りから挑戦できればと思っております
Luskeさんの山スキーの記録も拝見したいですね。
それにしても鳥海山から飯豊連峰、見えましたっけ?
もっと低くて地味な連峰ではないですよね。
名峰好きのLuskeさんらしくない気がしないでもないですが‥
なんだか今週あたり久しぶりにお会いできるかもですね
見事な氷の装飾ですが、少し理解しがたいアートですね。
巨大な生物の体内みたいで、少し気持ち悪いかも
山頂周辺はどこもそんな感じで、山全体が一つの生物みたいでした。
「いいではいいで〜」は、残雪期の楽しみにしておきます
今考えているのは、飯豊よりもう少し北にある連峰。
飯豊と同じくらい大きな、あの連峰の登山を計画中であります。
日帰りは厳しそうなので、1泊での登山を考えてますが・・・
今週末、日曜日の天気が微妙ですね。
まだ様子見の段階です><
起伏があったら下山でバテてたでしょうね^^;
単調ではありましたが、登り返しが無いので助かりました。
私の場合は、なんとか日帰り可能でしたが、
tooleさんの場合は、脚力とスキーの機動力があるので日帰りは余裕かもしれません。
4月に鳥海山に行かれる際は、雪崩に気をつけて、滑走を楽しんできて下さい!
先週歩いた南側(山形)は、少し雪がクラストし過ぎている感がありましたが、
今回の北側(秋田)の方は、千蛇谷から麓側はちょうど良い感じで、スキーで滑るには良い雪質だと思いました。
しかし、先週に比べて今回は気温が高めだったので、その影響かも。
同じ条件下だったら、どちら側の雪質も大差ないかもしれません。
お、もしかしてtooleさんが思い浮かべているのは、神室連峰かな?
久しぶりにお会いしたいところですが、残念ながら、今、計画しているのは別の連峰です><
神室連峰も興味がありますが、まずはそちらを行ってみようかと考えております。
飯豊でも、神室連峰でもない、となると・・・
消去法でいけば、もうこの周辺では、あの連峰しか残ってないですよね?
もうお分かりかと思います(笑)
有言実行!!しかも翌週!
千蛇谷からの登頂おめでとうございます。
ルートも長いですが移動距離も長かったのでは?
お疲れ様でした。
天気に恵まれて景色を堪能できましたね。
青空、海、雪、今回も素晴らしい写真をありがとうございます。
スノーブリッジ、山頂にピッケル、コメントしていたことが写真で見ることが出来てうれしいです。偶然かな?
35番の写真から推測するとLuskeさんの立っていた所が山頂だと思います。
山頂から海を眺めると方角によって視界に外輪が入るか写真のように氷(岩)のピークが入るかになるはずです。
この時期は登ったことはありませんがピークが移動することはないので位置関係から推測してみました。
山頂の小屋はあんな風になってしまうんですね。
冬の鳥海山はやはり厳しい!
次回の山行も天気に恵まれるといいですね。
ちなみに前回のコメントで"漢"なんて言葉をいただいてしまいましたが、私はヘナチョコですのでお間違いなく。近づけるように頑張りますけどね
登山口までの移動距離も長かったですね〜><
早朝に入山しないと、日帰り登頂は厳しいので、
この日は、前夜に移動し、道の駅で車中泊。
寝不足気味での登山になりました。
お陰で、帰りの山形道では眠気に襲われ大変でした^^;
山頂が間違っていなかったようなので安心しました。
あそこまで行って、山頂を踏めなかったら悲しいですからね
Webberさんのように山頂からの眺めを覚えていれば、こういう時に役立つかと思いますが、私の方は忘れっぽいもので・・・
でも、今回はしっかりと山頂の眺めを焼きつけてきたので、次回は自信を持って山頂に立てるでしょう^^b
・・・たぶん。
次回も天気に恵まれる事を願いたいです。
今週末は、土曜は良さそうですが、日曜が相変わらず微妙・・・
未だに検討中であります
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する