悪沢岳・赤石岳・聖岳縦走(恐怖の雷との遭遇)
- GPS
- 77:18
- 距離
- 50.0km
- 登り
- 5,217m
- 下り
- 5,410m
コースタイム
コースタイム7:15、歩行時間4:50
椹島8:30→休5分→9:47林道9:52→11:08清水平11:25→12:14見晴台(昼食)
12:34→13:37駒鳥池13:42→14:12千枚小屋
【2日目】
コースタイム10:50、歩行時間6:32
千枚小屋5:53→6:29千枚岳→7:08丸山7:13→7:40悪沢岳(朝食)8:04
→8:53中岳9:00→写真5分→9:46荒川小屋(昼食)10:28→10:52大聖寺平
→休5分→12:03小赤石岳→12:27赤石岳12:53→休5分→14:24百間洞山の家
【3日目】
コースタイム12:10、歩行時間8:15
百間洞山の家4:17→5:30中盛丸山5:35→7:00兎岳7:11→休5分×2回
→9:00聖岳9:15→10:18薊畑分岐10:22→10:44聖平小屋11:04→12:23南岳
→12:40?上河内岳分岐→13:15ビバーク地点14:10→14:32茶臼小屋
※ビバーク地点:草原・亀甲状土の少し先
【4日目】
コースタイム7:00、歩行時間4:19
稜線往復(15分)→茶臼小屋8:57→10:02横窪沢小屋10:14
→10:57ウソッコ沢小屋11:06→11:45ヤレヤレ峠11:53→12:13茶臼岳登山口
→12:48ゲート→13:10畑薙ダム13:15→13:35登山者用駐車場
【標高差・歩行時間等】
1日目 +1464m,-94m
2日目 +1740m,-1760m
3日目 +1878m,-1934m
4日目 +483m,-1980m
累 積 +5565m,-5768m
コースタイム 37:15
歩行時間合計 23:56
天候 | 8月9日の午後を除くと全てが晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【道路事情】 行きは土砂崩れの影響で井川湖の東岸の狭い林道を通らされ、井川大橋を渡った。大橋というにはあまりに小さすぎて、ナビが歩行者用の吊り橋を案内したのか!と怒りたくなったけれど、2tまでは大丈夫らしい。この狭い橋を車で渡るんですか。。。 帰りは井川駅周辺のみ湖岸の狭い道路を通ったが、それ以外は全て通行可能。にしても、延々と50km以上も続くセンターラインの無い林道のような道。更に霧と雨の中だ。 前に現れた車は全て左に寄せて「先に行け!」視界の悪い中で車列の先頭を走るのは疲れた。いや、嫌いじゃないのだけれども。(静岡市街〜東海フォレスト駐車場は約80kmで2時間程) 【東海フォレスト送迎バス】 入山時に山小屋の宿泊券(3000円分)を購入する。 下山時にバスに乗るためには領収書が必要となる。 出発時刻は8時の予定だったが、臨時便が7時に出発した。 なお、ザックは膝の上に載せる必要が有る。 (夏季臨時駐車場〜椹島は約1時間) 【コース状況】 ルート上には手を使って歩くところがほとんど無く、危険個所は千枚岳周辺の岩場ぐらいなもの。地図に載っているコースタイムは全体的に長めにとってあって、余裕を持って歩くことができた。ただ、今回歩いたコースで唯一、兎岳周辺だけはギリギリでした。 【下山後の温泉】 赤石温泉白樺荘(無料) 石鹸しかないので、シャンプーを持参すると良いかも。 【下山後の食事】 赤石温泉前で野菜や漬け物を売っていた。 新鮮なトマトをその場でがぶり!! 静岡市街に出てからは「うなぎの石橋」へ。 |
写真
感想
2008年8月9日(土)
縦走の3日目は、百間洞山の家を4時過ぎにスタート。聖岳まではいくつもの小ピークを越えるが、急登のためになかなか先に進まない。聖平小屋で軽く昼食を済ませた時間が11時ちょうど。
聖平小屋から光小屋までのルートは3年前に縦走していて、その時よりはかなり早く歩ける自信がある。ここから上河内岳までは1時間半あれば登れるし、上河内岳から茶臼小屋までも1時間見ておけば問題無さそう。計算すると、午後1時半には茶臼小屋に到着できそうだ。
ラジオを聴いていて、午後から寒気が入ることは知っている。ラジオをつけて歩くが、雷のノイズはそんなに入っていない。まだ、積乱雲がモクモクと湧き上がる感じでもないし大丈夫だろう。
甘い見込みで歩き始め、南岳まで来たところで遠雷が聞こえた。時間は12時23分。大井川を挟んで反対側の笊ヶ岳の方向のようだ。何の根拠も無いのだけれど、ここまで来たら聖平小屋よりも茶臼小屋の方が近いし、進むしかない。まぁ、何とかなるだろう。そう考えて上河内岳分岐まで到達したところで一気に天候が急変し、大粒の雹が降ってきた。
そして、大雨となった。雹の混じった、まるで氷水のような雨が、叩きつけるように降り続ける。ゴロゴロピシャー!ドーン!ドーン!すさまじい轟音の後、雨の音だけになる。そして10秒の静寂の後、雷が四方八方で落ち始める。凄まじい天候の急変ぶりに、急いで樹林帯に駆け込む。
雷が茶臼岳の山頂に落ちた。茶臼小屋の方にも落ちた。喜望峰にも落ちた。行く手の谷底にも落ちた。登山道は稜線の西側を巻くが、巻いているすぐ近くのピークにも落ちた。雷は高いところや尖ったところに落ちるのでは。谷底にまで落ちるとは・・・。
聖岳の方からも、雷の落ちる音が聞こえる。
また落ちた。こっちも落ちた。あっちにも落ちた。いったい、この雷はいつまで続くのだろう。自分のいる半径1kmの圏内に、少なくとも100発は落ちただろうか。決して、誇張した数字ではない。あまりにも、激しい。髪の毛が逆立ち、雷が空気を震わせる。
こんな広い山の中で、雷が自分の居る半径10mの範囲に落ちる確率なんて僅かだ。頭の中で理解してはいても。。。
「これは死ぬかもしれん。。。」
近くにいる登山者は自分を含めて計5名。高年の男女と若い男性2人だ。上河内岳への登りで追い抜かした中高年の団体ツアーは2つ。かなり後方、森林限界よりも上で、うまくやり過ごせていれば良いのだが。
雷に完全に飲まれている自分には、周りに人がいるだけでとても心強い。
現在位置は茶臼小屋への分岐まであと10分のところだろうか。小屋は稜線の東側にあるため、小屋に向かうためには一度稜線に出なければならないが、途中で樹林帯が途切れる。どう考えても、今、先に進むことはできない。
雹は雨に変わったものの、真夏の雨とは思えないほどに冷たい。凄まじい雨でずぶ濡れになり、身体が凍えてきた。この樹林を抜けて先に進むことができない以上、ここで雷が収まるのを待つしかない。銀マットを敷き、ザックからテントのフライシートを取り出す。
周囲の人達に声をかけて、ツェルト代わりのフライシートにくるまる。皆、寒さで身体を震わせている。寒さなのか恐怖なのか、顔面蒼白、唇も青白くなっている。どんな山行であってもツェルトを持たなければならない理由が、身に染みて分かった。
暖かい。。。
1時間程で、猛烈な雨と雷は止んだ。
雲間には青空も見える。
寒さで震える身体に気合いを入れて、茶臼小屋まで歩く。
恐怖の時間を過ごした場所は、茶臼小屋まで僅か20分の地点であった。。。
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