奥穂高岳(直登ルンゼ滑降)
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- GPS
- 30:19
- 距離
- 29.7km
- 登り
- 2,558m
- 下り
- 2,403m
コースタイム
6:30上高地BT - 8:50横尾 - 9:45本谷橋下流渡渉点10:10 - 11:30涸沢ヒュッテ12:40 - 14:50涸沢槍北のコル15:25 - 15:35涸沢ヒュッテ
5/18
6:00涸沢ヒュッテ - 8:00穂高岳山荘 - 9:15奥穂高岳10:00 - 10:10涸沢ヒュッテ11:45 - 12:00本谷橋下流渡渉点12:20 - 13:00横尾(以下略)
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
GPSログは復路横尾前で電池切れ 本谷渡渉は本谷橋下流にスノーブリッジとトレースあり。本谷橋より上流はほとんど水が出ていない(雪の下)。 |
写真
感想
山滑走屋としていつかは滑ってみたい奥穂直登ルンゼ。北アルプス最高峰から直にエントリーできるのが滑走意欲をそそります。
5/17は久々平日休み。5/18から週間天気予報は微妙でしたが直前で晴れマーク。
友人のレポを見ると涸沢はまだ雪タップリのよう。これは行きたくなった。というか行くしかない。
2日間使えるので今回は上高地〜涸沢テン泊とします。自転車を使いたいところですが万が一釜トンゲートを通過できないとかなりロスになるのでやめておきます。
★5/17
5/16お仕事終了後一路沢渡へ。仮眠4時間後準備して朝一バス乗車。上高地到着後、板とブーツをザックに装着し登山届を提出し歩行開始。何度も見てますが河童橋から奥穂高を眺めるとやはり気分が高揚します
テン泊装備+板ブーツ7kg担いでの横尾まで長い長い道のり、ひたすたてくてく歩きます。ブーツ担いでもやはりアプローチシューズ(ただの運動靴)は有効です。スキーブーツでこの距離の林道?歩きは考えられません。ブーツも痛みます。途中すれ違った山スキーヤーの話だと昨日か今朝か聞くのを忘れましたがアズキ沢で雪崩があった模様。間一髪でのがれたらしいです。
横尾から本谷橋までは夏道。ところどころ雪が残ってます。本谷橋手前、スノーブリッジで対岸へ。トレースがありますが雪が融けてスノーブリッジの薄いところを通っています。対岸からやっとシール歩行開始。アプローチ運動靴も持っていきます。やはり雪の上はシール歩行最強、楽チンです。最初に思いついた人は天才です。
涸沢出合で左折。快適シール歩行で予定通り午前中にヒュッテ到着。テン場申込を済ませ(\700也、値上げ?)天気予報を確認すると明日は高気圧ど真ん中間違いなく快晴。テントを張って使わない荷物を放り込んでさっそく直登ルンゼ偵察に出かけます。
雪は柔らかいのでザイテン下あたりをシールで上ります。アズキ沢のザイテン寄り下部には山スキーヤーに聞いたとおり結構な量のデブリが。これに巻き込まれるとひとたまりもなさそうです。ザイテン下部のコルから、アズキ沢を挟んで対岸、直登ルンゼが山頂に向かって伸びているのが確認できます。ルンゼ出口付近にタテスジが走ってますがそれ以外は特に問題なさそうです。一安心。一応直登ルンゼの状態が厳しいときは明日は北穂沢ということにしていましたので偵察は必須でした。
ここから最低コル方面に転進しトラバース気味に登っていきます。テン場から見ていい感じの斜面でしたので最低コルあたりから滑って足慣らしすることにします。最低コル下からはスキーを脱いでアイゼンは使わずにツボ脚キックステップで稜線へ直登します。最低コルではなくひとつ涸沢槍寄りのコルに登り上げます。こちらの方が急斜面で明日に向けていい予行演習になりそうです。
ヘリがぶんぶん飛んでいます。あまり長居して心配させるわけにも行かないのでまったりもそこそこに稜線から涸沢テン場へ向けドロップ。時間は15時半。この時間、狙っていた通りぐさぐさ雪から硬くなり始めてすべり頃。表面の硬くなった雪をけちらしてターンするのが気持ちいい。すぐに緩斜面になりますがメロウなザラメランを楽しみます。足慣らしになればいいかというつもりでしたがかなり楽しめました。この斜面メロウラン?派におすすめです。自分もどちらかというとメロウラン?派です。
テン場に戻るとあとは夕食をとって寝るだけ。明日に備えます。
★5/18
6:00、板を担いでアイゼンをつけてテン場からスタート。先行トレースばっちり、雪もしまっており順調に高度を稼ぎます。先行トレースは自分が思い描いたコースどりでザイテン沿いに伸びているナイストレース、ありがたい。体力を温存するためペースはゆっくりめ、難なく白出コル穂高岳山荘前に到着。
ここからストックからピッケルにチェンジ。最初のはしご&鎖のある岩場はまったく雪無し。アイゼンつけてると少し歩きにくい。慎重にこなしていきます。その先は距離50mほどの45度ぐらいの硬い雪の斜面。ピックがよく刺さりアイゼンの効きもいいです。四つんばいで直登します。雪の斜面を過ぎるとジャンが見えるようになるピーク手前までほぼ夏道。ときどき稜線から下の直登ルンゼの状態を確認します。特に問題ないようです。同じく稜線から直登ルンゼへのエントリーポイントも確認できます。稜線から見るとほとんど壁です。本当にここを滑ることができるのか不安になります。
ジャンが見えるようになるピークへの登りは10mぐらいの雪壁。アンザイレンして降りてくるパーティの横をピッケル&ピックストックのダブルアックスで直登します。やっぱ2本あると安心感が違います。そして見えましたジャンと奥穂山頂。最後夏道が見つけられずうろうろしてしまいますがなんとか山頂到着。
写真撮影もそこそこに滑走準備をしますがブーツのバックルを閉めようとすると脚がつってしまいました。そういえばいつも行動食として愛飲しているアミノ酸ゼリーは軽量化のため今回持ってきてませんでした。アミノ酸を摂ってなかったのが原因でしょうか。あせる必要はないので回復するまで休むことにします。
涸沢泊でほかにスキーヤーはいなかったようなので今日は直登ルンゼ独り占めかと思っていました。が、なんと後続のスキーヤーがやってきました。日帰りでしょう。まったく気がつきませんでした。恐るべきスピードです。身のこなしがタダモノではありません。しかしなんとなく見覚えがあるウェアと板とザック。てきぱきと滑走準備中おそるおそる聞いてみるとやはり有名山スキーヤーDr.Y.H氏のお仲間のH.M氏でした。今日は単独だそうです。
H.M氏から先にルンゼへエントリー。よいお手本が見れてラッキーです。あっというまに見えなくなります。いてもたってもいられませんが脚が回復するまで我慢します。滑走中にまた足がつってしまったら命に関わります。ホントはランデヴーしたかったのですが。
そして10分後に自分も緊張のエントリー。無難に最初のターンを決めると、いける!と確信します。というかほんとにキメなくてはいけないのは最初のターンだけであとは適度な斜度の気持ちのよいルンゼ滑降です。雪が柔らかければという条件付ですが。雪はすでにくさり始めていますがこれぐらいのほうが安全です。途中安全地帯を見つけたので脚休め。第一ルンゼ?分岐のコルです。ここなら雪崩も落石も大丈夫でしょう。
そして再エントリー。ルンゼ出口付近のタテスジは左からかわしてアズキ沢合流。振り返ると山頂まで続くルンゼが見えます。あとは比較的きれいな斜面をひろって休み休みテン場へ向かって滑るだけ。テン場に戻るとH.M氏が立ち去るところでした。心配してくれていたんでしょう。自分の拙い滑りを見られてちょっとはずかしいです。
撤収作業を終え自分が滑った斜面を眺めながらまったり昼食ラーメンタイム。坦々麺うまし。16:00までに上高地へ戻ればよいのであせる必要なし、至福の時間。
時間になりましたので惜しみつつも涸沢カールを後にする。本谷橋下流のスノーブリッジまで快適クルージング。やっぱりスキーはイイネ。雪上の移動手段として実に優れています。ブリッジを渡るとここから上高地までの長い試練が始まります。でも気分は上々、単調な道歩きもニリンソウの群落があったり徳沢サル軍団に遭遇したりで結構たのしいです。しかし明神館から上高地BTは観光地、しかも土曜日、デカザック+スキー+ブーツを担いだ姿は浮きまくり。ここからが一番の試練かも。5回ぐらい「どこでスキーできるの?」とすれ違う人に声かけられました。
河童橋から奥穂を眺めるとついさっきまであそこにいたのがうそのよう。感慨に浸ります。
槍穂高の東側は雪タップリでまだまだ楽しめそう。横尾までのロングアプローチに耐える必要がありますが…。
18日に常念岳から穂高方面を眺めていましたが、遠くからも雪崩の傷跡やらが銀光りしており、「よくもまぁーあの斜度を登って滑るようなー」思って眺めていました。そうですか・・・そのお一人でしたか。
「強者(ツワモノ)」ですね。
bockerさん、はじめまして。
穂高で滑走ってめちゃくちゃ憧れるけど自分にはちょっと無理かなあ。
完全なるメロウラン派なもんで。
○×ルンゼと聞くだけで、雪崩と蒼氷と落石ってイメージがあってビビっちゃうし、そもそも体力が・・・
かっちょいいレコ見て我慢します。
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