剱御前-立山三山 〜かがやき〜
- GPS
- 10:44
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 1,282m
- 下り
- 1,287m
コースタイム
- 山行
- 3:45
- 休憩
- 1:01
- 合計
- 4:46
天候 | 22日 快晴 23日 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
22日 富山駅着5:20、電鉄富山駅発6:03(富山地方鉄道、1,230円)立山駅着7:14、発8:00(ケーブルカー、960円)美女平駅着8:07、発8:20(高原バス、2,200円)室堂ターミナル着9:10 ※往復割引なし、予約WEBきっぷありhttps://tateyama-kurobe-webservice.jp/AlpenTour/html/VW001W0010.html 23日 室堂ターミナル発10:30(高原バス)美女平駅発11:20(ケーブルカー)立山駅着11:27、発11:28(富山地方鉄道)稲荷町駅着12:28、発12:30(富山地方鉄道)不二越駅着12:34 「満天の湯」12:40〜15:10、富山駅発16:16(北陸新幹線) |
コース状況/ 危険箇所等 |
真砂岳から富士の折立にかけての急な岩場は、雨天時スリップに注意。 |
その他周辺情報 | 剱御前小舎 剱岳を眼前に望むロケーション。爽やかな風が通り抜ける。小屋の中はわかりやすい配置で、寝具も清潔。滅多に入らないソフトバンクが通じる。今年は夕食付きで1万円。 「満天の湯富山店」 750円、露天風呂多し。不二越駅4分、富山駅へはタクシーで1400円台。http://www.manten-yu.co.jp/toyama/ |
写真
感想
ガスに包まれた稜線をひたすら歩く。毎日、天気予報を見るたびにそんな悲しい光景しか思い浮かばなかった。一時は、中止しておとなしく開会式を待つべきか迷った。
早朝着いた富山駅で空を見上げ、祈った。室堂に着く。これ以上望むべくもない夏の空に迎えられた。予想に反して期待どおり、素敵な山行となった。
22時、バスタ新宿には予想を上回る大勢の人の姿があった。夜行バスで山に向かうのは昨年の秋以来、上手に眠れるか不安だった。中日本ハイウェイバスに乗車するのは初めてだが、掲載写真のとおり幅広のシートは快適だった。しかも2か月前に予約できたお蔭でダブルシートが約束されている。上出来のスタート、けれども浅い眠りに変わりは無かった。
7月22日、海の日、5時20分に富山駅北口に着いた。ほぼ定刻どおり、やはり24分発の始発列車には乗れなかった。南口の電鉄富山駅に向かう。窓口でアルペンルートの往復チケットを購入した。既にケーブルカーは8時発しか押さえられなかった。(「予約WEBきっぷ」によって、乗りたいケーブルカーを事前予約できることを下山後知った。私としたことが)
立山駅で45分待つ。連休初日、大きなザックとヘルメットが目立つ。思い切り密なケーブルカーの乗車時間は7分、静かな車内だった。美女平発高原バスは、次々と出発する。50分のバス旅は快適だ。仙洞杉に感嘆し、称名滝を眺めているうちにようやく室堂に着いた。新宿を出てから10時間、「はるばる感」が強い。
陽の光が贅沢なほど眩しい。そして眼前の立山三山に魅了される。既に9時過ぎ、反時計回りは諦めていた。今日は剱御前に直行し、剱岳を望みながらコーヒーを淹れるのだ。足取り軽く雷鳥平へ下りて行った。
登り返してすぐに不安が現実のものとなった。高度順応不足を疑うほど息が切れ動悸が激しい。これほど体力は低下するものか。なりふり構わず、腰を下ろし、空を見上げること2時間、ようやく剱御前小舎に着いた。息も絶え絶えに受付を済ます。コーラを購入して剱岳に挨拶をした。
8号室は角部屋、剱岳を望める良い位置に在った。寝場所を確保して暫し悩む。今日の目的地、剱御前の往復には1時間15分を要す。積乱雲の発達を口実にしたかったが、それはまだまだ遠く、足止めの理由にはならなかった。
火と水とコーヒーを携えて剱御前山に登る。少しは回復したようで、独りを楽しむ余裕が生まれている。西側からガスが満ちてきたが、剱岳はそれを寄せ付けずに終始眼前に佇んでいた。岩場、痩せ尾根を過ぎ、ほぼ水平な道を足早に歩く。雲の気配を感じ始めていた。
剱御前の三角点に到達して間もなく、百高山ハンターが現れた。彼は挨拶をしたのち、三角点に触れるや否や踵を返した。私はと言えば、腰を下ろすことを躊躇っている。結局、水のみを消費して宿に向かうことにした。
14時、6差路の小屋前は依然として賑わっている。楽しそうな声が心地よく、剱岳を眺めているうちに、いつしか眠りに誘われていた。
15時半から夕食の呼びかけに目を覚ます17時まで深く眠った。久しぶりの山小屋めし。期待どおり美味しかった。食後、外に出る。この時間は好きだ。空気は清々しく、明日への期待に胸膨らむ。夕陽が待ち遠しかったが、19時まで起きてはいられない。18時過ぎには横になった。
快適な寝具、一人1畳のスペースなのに、午睡のせいかいつものように眠りが浅い。3時半、自然に目覚めた。パンをかじり、4時に発つ。既に前剱の中腹に、ゆらゆらと光が見える。昨日のヘルメットの多さから今日の大渋滞は予想がつくけれど、羨ましかった。
別山までコースタイム35分、日の出は4時28分、のんびりという訳にはゆかない。ここで消耗してはいけないとわかっていても、気がはやる。果たして4時28分、山頂に到着した。
雲間からわずかに光が差す。間に合った。落ち着いて空を見上げると何も無い。この上何を望もう。今ここに居られることに感謝した。振り返り、社に手を合わせ、立山三山の1峰を後にした。それから10分、真砂乗越で、山影から上がる陽の光を得た。西を望めば室堂平の向こうに雲海が広がる。荘厳な光景を目の当たりにしながら、独り南下を続けた。
真砂岳で二人の青年に追いつかれた。頼まれて写真を何枚か撮る。嬉しそうだった。山登りを楽しんでいることが十分に伝わってきた。雲一つ無い空、西の雲海、東の氷河、何処を見ても満たされる。動かされる。
富士の折立手前で、手袋を着けたくなるような岩場に迎えられる。まだまだ天空の道を進み続けたい。普段は楽しめる岩場も、今日は邪魔に思えた。
日本三霊山である立山の一つ目の頂に立ち、遠い昔のことを思った。きっと先刻の二人に触発されたのだろう。彼は私よりもはるかに寡黙だったから、私ばかり話していたような気がする。あれは剱岳と立山だよ、いつか登りたいね。それは10代の私たちにとって、かがやきの山だった。
大汝山から人の数は俄然増える。二組を待って山頂に立った。360度の素晴らしい眺望は、何もかもを一瞬忘れさせてくれた。僅かな滞在だったが十分に癒やされた。
7 時5分、雄山に到達した。喧噪に包まれないうちにコーヒーを煎れたかったが、早く下山してのんびり余韻に浸るという企てが勝った。社に一礼して、残る一座、浄土山を目指す。
されど一の越は思うように近づかない。途切れない人の姿を見ているうちに、少しずつ疲労を感じ始めていた。ようやく着いた一の越山荘前で、強烈な日差しが下山の誘惑を仕掛ける。一瞬、三山踏破の目的を忘れかけた。
浄土山への登りは、その日差しとの闘い。堪らず非常用のペットボトルを取り出した。なだらかな道に焦りを覚える。無心で歩いた。
何とか辿り着いた南峰、本峰で、数枚の写真を収める時間を経て下山を開始する。1本早いバスに乗り、ボトルネックのケーブルカーを円滑に通過したかった。
そのささやかな期待に反して、急坂、ゴーロ帯に悩まされる。高度を落とすと共に下山後の楽しみが増していった。そしてそれはバスターミナルが見えてから一気に膨らみ、不適切なコースタイムが憤りを添える。多くの観光客が行き交う道を、血相を変えて急いだ。
果たして、ターミナルには発車時刻の20分前に到着した。係員に尋ねると10分後に発車すると言う。着替えをすることも炭酸を飲むこともできずにバスに乗り込んだ。
10分早かったため、立山駅で乗り換え時間1分の列車に乗車できた。今日は、よく走る。そして今度は列車の遅れにより稲荷町駅でも走ることとなった。
そんなこんなで、不二越駅には思いもかけず早い時間に到着、「満天の湯」での滞在時間は十分なものとなった。既に3個置かれていたザックの横に並べ、真っ直ぐに湯船を目指した。夏の空を見上げながら、晴天と無事に感謝した。
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