竜ヶ岳:遠足尾根〜中道下山、砂防堰堤でルート喪失とヒル被害
- GPS
- 09:13
- 距離
- 11.7km
- 登り
- 992m
- 下り
- 998m
コースタイム
- 山行
- 7:59
- 休憩
- 1:15
- 合計
- 9:14
天候 | 曇、頂上は強風と霧(中道はジメジメ) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
遠足尾根の尾根道は眺望が開け、風もあって安全で快適。中道はガレや浮石で足場が悪い上に、なぜか石も木も濡れていて滑りやすい過激な急斜面の連続。 |
その他周辺情報 | ここから八日市方面に数十分走ったところの永源寺温泉八風の湯がきれい。夜19時から、食事と入浴の割安なセットがあります。 |
写真
感想
●遠足尾根からの登頂は順調、尾根道は超快適
竜ヶ岳、遠足尾根からの登頂は、尾根筋にあがってからが眺望が開け、すこぶる美しい高原の小径が続いた。太陽はぼんやりとしか顔を出してくれなかったが、奥ゆかしいやや濃厚なグレーのグラデーションを山々の風景から見て取れた。
頂上はガス深く強風で、寒かったが、幻想的な雰囲気。
登りは、予定よりやや早く、順調だった。
●下山で中道は足場が滑りぐらつく急斜面の連続(アブナイ、私は老人だった)
今回は、金山尾根ではなく、中道を選択。ところがこの下山ルートの選択、急勾配な上に、いくつか危険があった。沢
1) ガレや浮石で足場が不安定。急斜面なのでなおさら。
2) なぜか、中道ルートは途中から風がピタリと止んで蒸し暑く、浮き石やガレ、木々や気の根がジメジメして濡れていた。そういう天気かと思っていたが、あとで地元のベテランに聞いたら、そういう斜面なのだという。
●中道の途中から沢沿いルート、堰の越え方に事前情報が必要だった
ある程度、標高500メートルくらいまで下りると、急な広い沢沿いになる。下山する方向で左斜面を下る。だんだんと沢に近くになって、ついに沢に渡渉するルートとなった。
そこに大きな問題が私にはあった。
この急斜面の沢には、砂防堰堤が数か所以上も設けられていた。沢沿いを行くと、頑丈なダムのような堰に突き当たる。堰の向こう側は、10メートル以上も垂直に切れ下がっている。
まず、一つ目の堰は、左にコの字型の鉄のステップをつたって下まで、30段も下る。そこは見通しがよくクリアできた。
このルートには、途中に赤と黄の目印があって、ルートであることを確認できる。堰のハシゴをくだったあと、少し行ったところに目印があった。問題は、その先である。
●中道に渡渉ルートがあるなんて、しかも堰で行き止まり?
これまでの道の付き方なら、左の山に添って、道があるはずなのだが、見つからない。何か目印はないか? いくら捜しても道がない。過激な山の斜面の上に道があることがあるので、無理をして這い登って捜した。
ところが、……ない。どれだけ捜しても、道はない。
では、沢のガレキを渡渉するということなのか。
とりあえず、「こんなはずはない」と思いながら渡渉した。沢の中州のような状態のガレの道には、ボンヤリと踏み跡らしきがあった。それは次の堰の正面に向かっている。
堰の向うは、当たり前だが、コンクリートの断崖絶壁である。行き止まりなのだ。
右か? 左か? 左は盛大に樹木が迫り出していて暗く道があるような気配がしなかった。右は、堰の真ん中の階段を登って右に行ってみたが、完全な行い止まり。堰の左側は、植物が盛大に覆い被さっていて、人が歩ける状態ではない。
私は、やはり道は、沢の中の渡渉ではなく、山の左斜面の上にあるように思えた。
下山ルートを完全に見失ったのである。
前後のルート約500メートルの範囲を、何度も行ったり来たり捜したが、可能性が高いのは、渡渉するルートしかない。
●電波が圏外、連絡出来ない恐怖
命の危機を感じ、電話で山の管理者にルートを聞いてみようとスマホを見たら……圏外! どこにも連絡できない。「遭難」の二文字が頭に浮かんだ。
「ええっ、オレ、遭難しちゃうかも」
途方にくれて、山に登って初めて、山中に聞こえる大声で叫んだ。
「た・す・け・て・ー」
「神様〜〜〜、助けてくださ〜〜〜い」
もちろんなんの反応もない。どなたか、下山者が下りてこないか……そんな気配もない。私はたった一人で、こんな谷の底のようなところに閉じ込められて、助けを待つしかないのか? すでに15時をまわっていた。
一つ目の30段あるハシゴを登って少し頂上に向かって登ってみた。過激な急登を、もし登って頂上についても、そこから遠足尾根で下るころには真っ暗になっているだろう。どっちみち、下山はできない。
考えた。
ヤマレコの地図ガイドではルートに乗っていて、警告は出ていない。それを信じれば、やはりあの行き止まりの堰堤のところしか下山ルートはない。再び、いや、三度、行き止まりの堰まで戻った。
「まさか、樹木が覆い被さった左サイドに道がある?」
●まさか、こんな暗がりに、ルートをやっと発見、
樹木をくぐって、寄ってみた。
「あれ、ロープじゃね?」
そしてその下、堰の向こう側に下る最初のコの字型のハシゴが一本だけ見えた。
覗くと、最初に越えた堰のハジゴの仕掛けと同じ構造の向こう側に下るハシゴがあった。
下山ルートが見つかったのである。
胸を撫で下ろすとはこのことである。
(よかった。助かった。まだオレは生きている)
その間私はそこで、たぶん1時間半ほど右往左往して遭難の覚悟をした。怖かった。
何とか17時を大幅にまわってしまったが、無事下山できて遭難せずに済んだ。行方不明者にならなくてよかった。
●無事下山したのも束の間、後でヒルに何か所にやられていた
無事下山できたので、地元の知人の登山家にその報告をしたら、こう聞かれた。
「ヒルだらけだよいまの季節は、大丈夫か?」
「もう夜になるけど、ヒル? そんなの大丈夫だよ」
そう私は言い放った。
そのあと、登山の疲れを癒やしに、日帰り温泉に入ってサウナで何気に足きふくらはぎを触ってみたら、血糊がべったりと手についた。
「ヤベー、ナンダコレ?」
ヒル(ヤマビル)にやられていたのである。両足のふくらはぎのところをそれぞれ数か所、それから、左の脇腹。左のき臀部、右手の腕に数か所。なぜか、チクリという程度の痛みしかないので、気づかなかった。
こんなにヒルにやられた経験はなかったので、びっくりした。梅雨時の山では、ヒル対策も考える必要があることを学んだ。
今回の登山では、初めて、ほんとうに遭難を覚悟したことと、ヒルに何か所もやられてしまった貴重な経験をした。格別な思い出となる竜ヶ岳である。
無事の帰還何よりです。
わたくしも、4年ほど前に竜ヶ岳に登り、渓谷沿いを下りてきました。浮石に、足を取られつつ難儀しながら下りてきた記憶があります。それ依頼、キャンプで利用しただけで、竜ヶ岳の山には行っていません😄
不安になりながら、下りてきた記憶が残っています。
本当にお疲れ様でした。ヒルにやられたとは…お大事にしてください。
ありがとうございました。
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