穂高屏風岩 雲稜ルート
- GPS
- 39:24
- 距離
- 32.9km
- 登り
- 2,509m
- 下り
- 2,473m
コースタイム
- 山行
- 6:53
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 7:18
- 山行
- 12:22
- 休憩
- 0:33
- 合計
- 12:55
- 山行
- 4:40
- 休憩
- 0:05
- 合計
- 4:45
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
写真
感想
日本を代表するアルパインルート「屏風岩東壁・雲稜ルート」を2泊3日で登ってきた。
横尾から涸沢に向かい左手に見える威風堂々とした岩壁『屏風岩』。
これまでは見上げて「凄いなぁー!」「カッコいいなぁ!」と声を上げていただけだったけど。。。まさか登る日が来るとは思わなかった。
今回はせっかくなので、屏風の頭(アタマ?カシラ?)まで登ることにした。
1日目は屏風岩T4テラスでビバーク、2日目は涸沢でテント泊、3日目は下山のみ予定。
【前日】
前日の朝から天気予報を調べまくるがどれも似たようなもので、夏山特有の午後から雨と言う微妙な天気。雨が降る前に行動を終えることにして決行することにした。
出発当日も天気やら装備のことやらでソワソワして仕事が手に付かない。
そうこうしてる間に定時ダッシュ!
21時に山科駅で師匠をピックアップして出発。
24時間出入りができるようになったあかんだな駐車場で車中泊。
【1日目】
早朝からバスに乗り上高地へ。
上高地から2時間30分ほどで横尾に到着。ここから涸沢方面に歩くこと20分で岩小屋へ。この時期にしては水量が少ない渡渉をこなしルンゼを登り詰めるが、全装なのでなかなか足が進まない。頻繁に休憩を挟み、渡渉から1時間30分もかかりT4尾根の取り付きへ。
休憩後さっそく登るが、思ってた以上にクライミング。重荷も相まってかなりしんどいがビールを目指してTテラスまで登り上げた。疲れたー!
テラスはフラットで携帯の電波も入り快適。テントを設営し念願のビール。
13時くらいからポツリポツリと雨が降り出し次第にそこそこ大ぶりの雨になり18時くらいに止んだ。
岩濡れを考慮して翌日は予定を1時間ずらし6時から登ることにして就寝。
【1日目】
4時に起床してゆっくり準備。
昨夜降った雨の影響で岩は少ししっとりしているが、東壁なので陽が当たればすぐに乾くはず。
案の定、6時の登攀開始時には乾いていた。
・1ピッチ/Tさんリード
朝の1発目で、しかも荷物もあるのであのハング越えはいきなり難しい。あの手この手を使い苦労して終了点まで登られた。まずはひと安心。
私はフォローで。
やはり重いデカいザックだとグレード以上に難しい。2つ目のハングはA0で突破。
・2ピッチ/リード
1ピッチ終了点から少し直上しピナクルから右上のフェイス登り。ここはカチ1発勝負!グッと堪えてガバを取れば後は簡単。少し登り、草付きを左上し扇岩テラスへ。
・3ピッチ/Tさんリード
名物のエイドゾーン。フリーでは5.11c。それはもちろん無理なのでアブミを使い人工登攀。
さすがアブミ職人の師匠はスイスイ登っていく。
私はフォロー。何じゃこりゃ!っていう支点祭り。丈夫そうな支点を選んで登るが、今にも破断しそうな支点にも命を預ける箇所もあり。リードは怖かっただろうな。あざーっす!
しかし、師匠は楽しかったのか勢いあまり終了点を越え、ハング直下でピッチを切ってしまう。
・4ピッチ/Tさんリード
なので、師匠にそのまま継続してリードしてもらう。
私はフォロー。3m程の垂壁はそうでもなかったが、次のトラバースが草付きで足元が見にくく気持ち悪い。ルンゼを渡り少し登れば終了点。
・5ピッチ/リード
フェイスから少しトラバースしてルンゼへ。クラックが入ったスラブ。支点もあり、ジャムも効くのでカムは必要なかったが前日の雨で染み出しが酷く濡れた苔が滑りまくり核心はA0突破。抜けたすぐ上に懸垂点があったのでここでピッチを切ってしまった。しかし、次の傾斜のあるスラブも登るのが正しいみたい。重荷で登り続けてきたので疲労で思考能力がバグり始めたか。
・6ピッチ/Tさんリード
傾斜のあるスラブから草付きスラブへ。簡単だが、このあたりから支点が取りにくいので落ちることは許されない。
・7ピッチ/リード
引き続き草付きスラブ。6ピッチと似たような感じ。まだ伸ばせると思ったけど、疲れからか、また右手にあった終了点で切ってしまい短いピッチとなってしまった。大反省。
・8ピッチ/Tさんリード
草付きスラブから草だらけ泥だらけのルンゼを登り、安定したテラスに出て登攀終了。
テラスには熊のウンコらしきものが鎮座。その横で大休憩。
・屏風ノ頭まで/
雨が降り出してきたので休憩後に急いで出発。踏み跡を辿り草付きのルンゼを登る。稜線っぽい所に出たとたんに雨が本格的に降り出した。ここからは背丈以上のハイマツの激悪藪漕ぎ。草木の猛烈な抵抗力にメンタル崩壊寸前。雨とハイマツからのシャワーを浴び全身ビチョ濡れ。
濡れネズミあるいはボロ雑巾になりながら、熊のウンコテラスから2時間で屏風ノ頭に到着。とても嬉しい!!
・屏風ノ頭〜涸沢/
再び藪漕ぎで屏風の肩へ。このあたりで藪漕ぎは終了。更にコルを通り、パノラマコースに合流し、今日の目的地の涸沢へ。
全身ズブ濡れだったのでテント泊を変更し、急遽涸沢ヒュッテに泊まらせてもらう。(本当なら無理だと思うが何とか宿泊させていただけた。感謝。)
乾燥室に籠城しズブ濡れがマシになり息を吹き返す。
外のテラスでアルファ米とビールを飲んで登頂の喜びを共有。
暖かい布団で寝る幸せを噛み締めて就寝。
【3日目】
・下山/
早朝に涸沢ヒュッテを出発。
横尾手前の岩小屋前で昨日登った屏風岩を眺めながら朝食をいただき、明神からは梓川沿いの木道経由で上高地へ。
午前中にはあかんだな駐車場に下山できた。
山科には17時頃着。12時間前には涸沢にいたのに不思議な気分。
今回登った雲稜ルートはなかなか登りごたえがあり大変充実した。個人的には核心ピッチをリードしていないので満足感は100%ではないが、またいつか登る機会があったら今回リードしていないピッチを登ってみたい。
登攀終了後の屏風ノ頭までの道は踏み跡はあるものの、草木の成長により進みにくくなってる。特にハイマツは背丈を越え、掻き分けるのに相当な体力と時間を費やすことになった。雨の影響もあり精神的になかなかハードなものだった。しかし、山頂に着くとそれまでの苦労や疲れは吹き飛び、清々しい気分になった。これで景色が良かったら喜びで叫んでいたかもしれない。
日本を代表するクラシックルートに登れ大満足。
これにて無積雪期の遠征は終了!
この夏は遊び倒したし、冬まで仕事に邁進する予定(予定?(笑))
Tさん、本当にありがとうございました!
【主な装備】個人装備
・2泊3日装備(テント、食料、生活具など)
・ダブルロープ50m×2
・アルヌン(短)×4(パーティ合計8)
・アルヌン(長)×3(パーティ合計6)
・クイックドロー×5(パーティ合計10)
・スリング適量
・カラビナ適量
・アブミ×2
・3mmコード×数本 ※リングボルト破断用
・捨て縄5m×2
・捨てビナ×2
・カム(#0.3〜2)※#0.75のみ使用
・ナッツ ※使わず
・その他/軽量化の為、ダウンシュラフの代わりにシートゥサミット「サーモライトリアクターコンパクトプラス」を使用で快適、食事はアルファ米か行動食。
・水/横尾で3ℓ補給※2日目は1.5ℓでギリギリだった
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