夢は叶う 槍ヶ岳北鎌尾根
- GPS
- 25:14
- 距離
- 43.5km
- 登り
- 2,680m
- 下り
- 2,665m
コースタイム
- 山行
- 7:15
- 休憩
- 0:52
- 合計
- 8:07
- 山行
- 7:43
- 休憩
- 1:02
- 合計
- 8:45
天候 | 1日目 曇り夕方から雨 2日目 晴れ、夜強風 3日目 晴れのち曇り、上高地で一時雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
1日700円 沢渡~上高地バス 往復2400円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
北鎌のルートについてはネット上に情報が溢れてますが、単独では特に、現場での自分の判断がとても重要になります。 バリエーションでの岩の登下降やルーファイはもちろん、幕営する場合は水や時間、体調管理など十分な経験が必要です。 【水俣乗越~北鎌沢出合】 ザレの急下降。踏み跡は明瞭。沢に下りたら適当に歩けます。所々にケルンや古い残置物あり。水は事前の情報のまま、この日も出合まで全く流れていませんでした。 そのため私は予めババ平で3.5リットル給水、手持ちと合わせて5.5リットル担いで行きました。幕営地の出合では皆さん貧乏沢方面へ片道15分程歩いて汲みに行かれてました。 この日、出合のテントは10パーティ近くいたと思います。後から来た方はテント適地を探すのに苦労されてた様子。岩だらけなので、整地されてるところは意外と少なかった印象です。 【北鎌沢~コル】 よく分岐では右右最後は左と言われますが、実際は右俣左俣との分岐を間違えずに右俣へ進み、あとはコルを目指せば直下までは紛らわしい分岐などはありませんでした。最後だけ沢筋ではなく、正面草付きの岩場を登って行くと、すぐに明瞭な踏み跡が出てきて、コルまで続いてます。 他、中盤以降1箇所乗り越えるのに大変な岩がありましたが、他は特に問題なくひたすら登るだけです。 ここの水については当てにしてませんでしたが、2070辺りで僅かに水が流れてたので、念のため500ml汲んでおきました。他は前日の水たまりのみで流れはありませんでした。 【独標】 逆コの字のトラバースへは行かずに直登しました。 独標の大岩基部に左右の分岐の踏み跡があり、右がトラバースルート、左が直登の取付きに続いてます。 分岐から少しハイマツを被った踏み跡を辿るとすぐに残置ロープの垂れてる岩が現れます。 最初その取付きに気づかず、その手前右上の木の根のある踏み跡に上がったらトラバースルートに出てしまい混乱しました。戻って今右に上がった所のすぐ奥をよく見たら取付きのロープが見えました。 古い残置ロープは頼るべきではないですが、私はこれを頼ってやっと登れた感じでした。後続のパーティが待っていたのであれこれ考える余裕がなく、力任せで登りました。最初のここさえクリアすればあとは難なく上を目指して登るだけでルーファイ不要です。途中ゴジラの背のような高度感のあるリッジがありますが、足場は小さいながらもしっかりしてます。ハイマツに入れば踏み跡に従って独標山頂です。 【独標~北鎌平】 ここはよく言われている「基本稜線上、行き詰まった時だけすぐ下の千丈沢側の巻道を行き、できるだけ早く稜線復帰する」実際歩いてみてその通りだと実感しました。ここも事前にかなり調べましたが、細かい情報を入れても混乱するだけです。稜線突破できるかどうかも人それぞれなので、とりあえず登ってから判断しました。 結果、P12前後で1箇所クライムダウンがやや厳しい箇所もありましたので判断は慎重に。 【山頂直下】 北鎌平から稜線上を登って行けば自然とカニのハサミ手前にあるプレートに着きました。そのプレートのすぐ左側の岩を登って行くまではわかりました。そこからは下のチムニーがよくわからないまま、山頂目指して登れるところを登ってみたら上のチムニーに行き着きました。ここはチムニー内に入らず、すぐ右手の岩を登りました。すると山頂の人が見えて、すぐに祠の裏に出られます。 追記: 2日目に幕営した北鎌平は2段になっていて、自分含め6パーティ程が幕営されてた模様。2段と言っても上段へ行くには数十メートルある傾斜の割ときつい岩場を登らなければいけない。混雑時は下段に張れるなら張ってしまった方がいい。上段行ってもし空きがないと最悪。 ちなみにこの日下段はあと3張りはいけたかも?というところ。 |
写真
感想
3年前は夢のまた夢だった北鎌尾根。
それからずっと北鎌を意識しての山行を続けた。
出来れば50歳までに…。この三連休が最後のチャンスだった。まさか本当に行けることになるとは…。
水曜日、ヤマテンの5日間予報を見て緊張が走った。うそ、チャンスじゃん。
この春から今年はもしかして、と思い、散々下調べをして飽きるほどYouTubeを見てきた。
北鎌沢、独標の直登、稜線のルーファイ、直下のチムニー。一つずつクリアする度に肩の荷が降りたように気が楽になって来た。
やはり初めての北鎌は余裕などなかった。
でも一見無理と思う岩もあれこれ時間をかけながらじっくり取り組めば意外と登れることがわかった。こわい場面も多かったけど…。
最後、槍の祠から出て来た時、一人だけ拍手で迎えてくれた単独男性がいた。恥ずかしくてその時は気づかなかったけど、前日北鎌平でテントを張ってた人だった。写真を撮ってもらって少し会話。車が七倉に置いてある?なんと湯俣から来たと言うではないか。驚き。
とても謙虚で落ち着いていて、こちらが聞くまで話さない。やはり本物は違うなと思った(笑)
この後もう1日かけて七倉へ下山するとのこと。写真ありがとうございました。
最後に、私はずっと1人で登っているけど、この北鎌でつくづく思った。1人だけど独りじゃない。
沢山の思いを感じることが出来て、感謝。
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【2件の滑落事故について】
16日に北鎌沢で単独男性、17日に槍山頂直下で3人パーティの女性の滑落がありました。いずれも意識はあったとの事ですが、その後が気がかりです。
特に後者の女性は、私が北鎌平でテントを張った2時間後、落石音とラーク!の声と共に悲鳴のような声も聞こえたので、ただ事ではないとテントから顔を出したら砂煙が立っていて、事の重大さを認識しました。当事者のお仲間の気持ちを思うとここでは詳細は控えますが、ヘリが来て搬送されるまでの2時間、しんどかった。言葉がありませんでした。無事に回復されることを祈るばかりです。
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