蛭ヶ岳南尾根直登


- GPS
- 12:34
- 距離
- 22.5km
- 登り
- 2,399m
- 下り
- 2,399m
コースタイム
- 山行
- 10:59
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 12:29
天候 | 晴れのち曇から雪へ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
終日、他の利用者は無し |
コース状況/ 危険箇所等 |
玄倉林道,崩落。大きな岩の落石跡もあり。当日は真冬並みの寒気が関東地方に進入したため、大気は不安定。断続的に強風が吹く。遠雷、吹雪きが昼頃から発生。主脈線上は残雪とぬかるみ。小丸尾根を県民の森方面へ下山時は吹雪も強くなった。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
ゲイター
靴
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
ナイフ
カメラ
ヘルメット
携帯トイレ
チェーンスパイク
オーバーパンツ
ハードシェル
|
---|
感想
玄倉林道の終点から熊木沢沿いに廃道を伝い蛭ヶ岳に直登する「南尾根(南稜とも)ルート」があるのを知ってから一度行ってみたいと思っていた。3月20日は冬型の天気が急速に発達し荒れ模様になるとの予報だった。朝4時半に表丹沢県民の森駐車場には自分の車以外にはなく、真っ暗な森の中で独り出発した。出発時は少し肌寒い程度だったが、櫟山を過ぎ鍋割山の南尾根に差し掛かると急速に北風が強まり鍋割山山頂に着くころには気温は零度以下になった。出発時は暖かかったため汗をかいており、体感気温はさらに下がり凍えそうになった。
鍋割北尾根への分岐から旧鍋割峠に向けて一般道を外れる。踏み跡はしっかりしており歩きやすい。風も収まり気持ちを切り替えてオガラ沢出合に下りる。尊仏土平からの林道は本来、一般道だったが崩壊したままになっている。最近落ちてきたらしい自分の身長より大きな岩もあり、落石の危険度が大きいと判断し、ここでヘルメットを着ける。ところどころ崩れ落ちた林道を高巻きにしつつ、なんとか熊木沢出合に到着する。熊木沢には崩落した橋の跡が残る。脚立が一つ立てかけてあり、それを慎重にわたり熊木沢整備の際に作られたらしい作業道跡(廃道)にあがる。
這い上がった廃道は殆ど森に消えかかっていた。周囲は荒涼とした河原で堰堤の上を流れる沢は強風に煽られている。他に登山者は無い。道は山中を現れては消えるを繰り返し、ついには完全に見えなくなる。かつての道は打ち捨てられてから久しいようで沢の右岸へのルートが全く分からなくなっていた。河原を遡上するがしばらくすると高い堰堤に道を阻まれる。左岸は深い藪になっているが地図ではそちらへ道が伸びている(とされている)。ヤマレコのログを頼りに藪に分け入りルートを探すが、茨だらけで道が見えない。茨に刺されながらなんとか踏み跡らしきものを見つけるがすぐに藪にかき消されてしまった。ログでは斜面側に上がることになっているが崩れていて道がない箇所もあり、進むのに苦戦していると再び、舗装道の跡が現れる。周囲にはかつての反場の跡らしきものや整備に使っていた重機の一部などが残されていた。上り坂にはところどころケルンがあり、そこだけ人の気配を感じさせた。道は沢から山側に迂回し、沢の出会いで終点になった。蛭ヶ岳南尾根のふもとにはかなり前に乗り捨てられたらしいミニバンがぽつんと残されている。かつてはここまで蛭ヶ岳山荘への荷揚げに使われていたのだろうか。地図にはここから蛭ヶ岳山頂に向かって道が示されているが、痕跡(踏み跡)も視認できない。地形図を頼りに尾根筋を半ば強引に攀じ登る。ザレ場ともろい岩場、さらに茨の連続だ。標高は順調に稼ぐが西の檜洞丸方面は急速に天候が悪化しているのが見て取れる。遠雷も聞こえてきたので登頂を急ぐ。茨にてこずりつつ、蛭ヶ岳山頂に突き上げる。感慨にふける間もなく雪が降り出したので、チェーンスパイクをつけ、主脈線を下山する。天候は不安定で雪が降ったり止んだりを繰り返す。道は残雪と泥で足を取られる。計画したコースタイムに遅れはないものの、前半のやぶ漕ぎでかなり体力を消耗していて一般道に復帰してからが辛く感じる。焦らず呼吸のリズムを一定にして丹沢山ー塔ノ岳と雲長に通過、15時過ぎには最後の下降点から小丸尾根を旧訓練所跡方面へ下山した。尾根を半分下る頃、突如あたりが暗くなり猛吹雪に見舞われた。雷も鳴りだし視界も悪くなる。丹沢でこれほどの悪天候は初めてだったので長居は無用と転げるように尾根を駆け下り、県民の森駐車場へと帰り着いた。
天候の悪さもあって過去の日は殆ど他のパーティと出会わない山行だった。蛭ヶ岳までの道は荒涼とした景色の中に転々と現れては消える(標識やら車やらの)「文明の痕跡」が却って寂寥感を強め、まるで自分だけが世界に取り残されたかのような錯覚を覚えた。引き返そうにも道は荒れ放題で戻るわけにもいかず、計画通り進み続ける意思が問われた一日だった。県民の森駐車場には朝と同様、自分の車以外はなく夕暮れが迫る中、薄暗い林道を車で下り帰路についた。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する