雨に翻弄された北アルプス 七倉〜針ノ木谷〜五色ヶ原〜剱沢


- GPS
- --:--
- 距離
- 36.6km
- 登り
- 4,709m
- 下り
- 3,325m
コースタイム
- 山行
- 8:23
- 休憩
- 2:05
- 合計
- 10:28
- 山行
- 4:51
- 休憩
- 1:32
- 合計
- 6:23
- 山行
- 8:26
- 休憩
- 2:04
- 合計
- 10:30
天候 | 7/29 曇り /30 大雨 ものすごい 7/31 曇りのち晴れ(北陸梅雨明け) 8/1 晴れ 8/2 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト) 船
|
コース状況/ 危険箇所等 |
31日の大雨は映画セットじゃないかくらい降り、黒部湖も大増水。タンボ沢の橋は流失、中ノ沢の橋もギリ渡れたそうです。(奥黒部ヒュッテ管理人談) そのため当初予定は東沢谷だったけれど、平の小屋にお世話になることに。 そしてダムに帰るために稜線経由じゃないと戻れなくなってしまいました。(2日後に復旧したらしい) |
その他周辺情報 | お宿かじか ¥800 趣向を変えて行ってみました。良かった〜。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
久しぶりに東沢谷に行きたい…そう思うものの湖岸道が結構かったるいよなぁとも思う。人があまり通らないルートをつなぎたいなど変なプライドも邪魔し、また、今まであまり通っていないルートも踏んでみたいと思った結果、湯俣谷下降をすれば装備もいい感じで七倉に戻れると安易な計画を推し進めることにしたけれど、まさかこれほど梅雨明け前の悪天に左右されて、まるで計画とはかけ離れたところを歩くことになろうとは…
7/28 勇んで出かけるも本日天気は不安定。下界より涼しい七倉で車中泊するが、午前中には気温上昇で1日はいられない。とりあえず大町市街に下りてみることにした。駅前通りは若一宮のお祭りで至る所で通行止め、ランチをカイザーで食べようと思い訪れるも食材切れで閉店…駅前駐車場に車を入れ、昭和軒にソースかつ丼を食べに行ったけれどこれが大誤算、なんと流鏑馬の大行列が駐車場出口前を通るように誘導されており車が出せなくなってしまった。でも若一王子のお祭りを見て、地元にこんな素敵なあったらいいなぁと思ったのは言うまでもありません。子供たち暑そうだったけど平気だったかな?心笑館で入浴し、再び七倉に戻り明日の山行に備えた。
/29 今日は天気がいいらしいので行けるところまで行こう。七倉からの登山道は予想通りの急登、樹相もきれいで人が全くいないのがいい。送電巡視路が時折交錯するけれど、そちらも歩きやすそうだ。所々の休憩ポイントが割と広く、3/10は幕営もできる。木梯子込みの急登、森の中なので涼しいのが幸いだ。
鼻突八丁はなかなかのものだったけれど短い期間でよかった。これを越えると緩やかな登りとなり8/10の天狗の庭に到着する。高瀬ダムから市街地までの眺めが最高だった。そういえば足元に見えていたのはふもと七倉の駐車場だったのには驚いた。さらに緩やかに登ると稜線到着、あまり荒らされた感じのないお花畑がある。周囲は日本庭園風といった感じか、ダケカンバの緑と白がいい景観を作り出しているその先に小屋が現れた。小屋前で長く休もうと思っていたが結構風が強く、吐き出されるように出発し船窪分岐に向かう。毎度思うけれど山の崩壊が止まらずっていう感じ。
45分くらいで乗越に到着、黄色の道標は壊れており、ルート上に小さな看板にマジックで『上級者向け』と記載ある。針ノ木谷方面へ向かうと片斜面のボサが少しかぶった道。下って行くと見せかけてなぜか登っている。木が生えていない斜面は崩れかけている部分もある。登りきったところで地形図を見ると、丁度小尾根に乗った部分だ。ここから登山道がしっかりついた針葉樹の尾根を下ってゆく。このような状態に整備されているボランティアの方はすごいと思う。河原に出ると流れに近いながらも前に泊まった最高砂地の幕場、かなり誘惑されたけれど時間も早く、ここまで魚も上がってきていないことから沢靴に履き替え、南沢出合付近に幕場を求めて移動する。
もう敢えて登山道を探すことはせず水流中を進む。右岸からの大ガレを通過しようやっと南沢に到着、ここで結果として運命の選択になる訳だけれど、以前の感覚では仮設橋まで1時間くらいあると思っていたので、南沢に入り幕場を探すことにした。
ほんの5分も上がった左岸に昨年の大雨でできたと思われる台地ができており、さらに少し上流に行くと少し低いが幕営適地を見つけた。まあ多分天気は平気だろうなんて思いつつ幕営したのだけれど…
/30 朝方から雨が強くなってきた。決めていた岩が流水で隠れたら撤収して出発しようと思っていたのだけれど、気づけば濁りもひどくそこまで水が増えていなくても、川の深さがわからないので渡渉が難しくなるということに気づかされた。雨も降っているしどうせ今日は最悪、奥黒部ヒュッテまでとかなりゆっくりしていたが、急いで撤収し針ノ木谷の合流に向かう。少し増水していたものの渡渉に影響なしでほっとした。本流右岸の目印テープの所に以前発見できなかったはっきりとした刈り払いを発見、ここを辿ると20分もしないうちに仮設橋に到着。まだ橋は渡れる状態、大雨の中針ノ木谷避難小屋でどうしたものかと考える。奥黒部ヒュッテまであと3時間ほど、この雨の中で桟道やはしごの上り下り、そして明日メインの計画である東沢谷は遡行可能なのか?夕方までに止めば沢に入れるんじゃないかとか…いろいろな要素をかんがえてみたものの結果はもう濡れたくない、そしていつかは泊って小屋番さんの話を聞いてみたかったという理由から平の小屋に向かうことに決定。
昼の渡し船に乗り遅れないように少し早めに出たつもりだったのに、湖を進む渡し船を目撃すると針ノ木谷船着き場に着きそうな感じ。ピッチを上げて船着き場に着くと丁度着岸したばかりだった。ここで驚いたのが一人奥黒部方面にニコニコしながら登ってゆく登山者がいた。狂ってる。いつもの船ではない小さい船に乗り込むと船頭さんたちが今日はものすごく降っていて、そもそも船着き場の乗船する位置がかなり上にあると言っている。そして出船までの間に見かけたのが、黒部湖に帯状になって降っているというよりも上空からでかいバケツで水をぶちまけているという感じの雨。仮に明日東沢谷に入ると言ったら小屋の人は何というか?という質問をすると『絶対に無理』というに決まってるとのことだった。まず初めのゴルジュが抜けられないだろうということだった。たかだか30分弱の間で雨具を着ていないほど濡れまくり、平の小屋に到着した。
素泊まりでも何十年ぶりの営業小屋泊、本日の客は私含め2名。いつもの小屋番さんではない方が対応してくれたので、ご主人は?と尋ねると3年ほど前に亡くなってしまったらしく、ちょっと驚いてしまった。貴重な黒部のお話、特に釣りの話を聞くことができず残念だった。今時素泊まり9000円とは良心的だ。この小屋は釣り客が多く、登山者は立地が中途な場所なので通過してしまうとのこと。そのためなのか乾燥室もなく、濡れ物は宿泊者も少ないことから小屋入口の適当なところにぶら下げてということだった。常連さんという立場から小屋を手伝うことになった大岩さんも結構いろいろな情報を持っており、夜はかなり長く話し込ませてもらいました。
この日、黒部ダムからの湖岸道は各支沢の瑞陵が半端ではなかったらしく、タンボ沢の橋は流失してしまい、ダムに帰るには五色ヶ原経由で帰らなくてはならなかった。奥黒部ヒュッテの管理人はこの日が歯医者だったらしく、小屋へ戻るのに命の危険を感じるような水量だったそうです(翌月訪れた時に聞きました)。もし先に進んだとしても絶対東沢には入れないと言っていた。
/31 朝方まで降っていたけれど、今日からは回復するらしい。ダムに戻りもできず、奥黒部に行けば読売新道しかない。進むとすれば五色ヶ原、まるで計画が違うことになる。明るい曇りになってきたけれど上は降っている感じ。時間ももったいないのでとりあえずテントやそれ以外にもいろいろなものをテーブルに並べてを干すことにした。曇りでも太陽というのは素晴らしく、あっという間に乾いていく。いろいろ考えて数年前に来たときはただ通過しただけだったので、ゆっくり堪能するつもりで五色ヶ原に向かう。かなりお世話になった小屋の方に別れを告げて出発、濡れたブナの森の緑が美しい。
五色に着くころにはガスも結構上がって後立山も見えている。まだ3張りくらいしか張られていない天場でいい場所をキープできた。小屋では登山者に湖に下ってもダムには帰れないと促していたけれど、結構な数の登山者がいた。明日はどこへ行くの?テントに戻ると急激に晴れ間が広がり、獅子・鬼岳がくっきりと見える。まだ明けていなかった北陸の梅雨明けを感じたが、ラジオでも梅雨明けを告げていた。あめは嫌いだけど悪条件を押して入山しても、天気の変わり目に遭遇できると感動の景色が待っているという最たるものだった。こんなに天気のいい五色は初めてだったので、日没ギリギリまで周辺の景色を堪能させてもらった。
8/1 目的地もない状態で五色ヶ原まで来たけれど、剱沢から剱を見るだけの目的に切り替えよう。獅子岳の登る途中に期待していたお花畑があるのだが、今年の陽気は暑い日が多かったので結構後半の感じになっていた。途中立山方面の複数の小屋バイトさんに遭遇、やっと晴れて1か月ぶりくらいに青空を見たと口々に言っていた。
今日はとても眺めがよく、さすが梅雨明け10日の初日だ。一の越に到着するとやはり立山、結構な人の量で警察学校の団体や小学生の林間学校のような団体もいた。平日でこれだけの人の量だから、週末となればこれ以上人がいるのかと思うと、平日休みの仕事でよかったと思う。雄山の登りは追い越しができないので、遅そうな人が先に出発する前に歩き始めないとと思うとなんだかストレスだ。雄山を越え真砂岳まで来ると人も少なく、やっと自分のペースで歩ける。
別山北峰には多分初めて寄ったと思うけれど、静かで展望台として最高のピークだった。そして別山乗越経由ではなくダイレクトルートで剱沢幕営地に向かう。前々日の雨でかなり荒れてしまったらしく、確かに流水溝がすごいことになっていたし、天場も掘られてしまって、平らなところを探す方が大変な感じだった。警備隊で明日下山予定の東一の越からの登山道について刈り払い状況を聞くと、小屋の利益に関係ない登山道は一番終わりに整備するらしく、今年はまだ手がついていないらしい。情報板には真砂沢の橋も流されてしまい、ハシゴ谷方面も通行止めとのこと。
水場には遠いが割といい所を見つけられた。剱に登らず眺めるだけで帰るとは、何とも贅沢というか勿体ないというか…天気が良すぎてテント内が暑いけれど、昨日までのことを思えば贅沢な話で、テント外で過ごせばよいこと。夕方になると雲が湧いてきて涼しくなった。明日は多分室堂目指して歩いているんだろうなぁなどと考えながら眠りについた。
8/2 下山後の七倉行きバスに乗るために早めに出発、剱沢を登る途中、だんだんと空が明るくなってきているところに剱から八ツ峰がシルエットで浮かび上がり、素晴らしい景色を見ることができた。折角天気も良いので再び稜線を歩くことにした。雄山は混んでいると予想し大汝山で大休憩する。足元に見える黒部湖はかなり茶色になっている。一の越まで来て思い出したが、無雪期にここから室堂に歩くのは初めてだった。誰でも登れるようにとコンクリ舗装しているけれど複雑な心境になる。平坦になってからチングルマの絨毯が出てきて、確かに手軽に高山植物が見られるという点ではすごいことだと思った。でも、人が入る前は自分が歩いている場所もこのお花畑の一部だったはず。タイムマシンで整備前に戻って当時の景色を見てみたいと思ったのは言うまでもない。午前中のうちに室堂に着いたのですべての交通機関がすいており快適だった。
さすがに大町温泉のバス停は暑く、乗り換えまでも時間があったのでバス停目の前にあるカフェでアイスコーヒーを買ったのだけれど、この店を経営するご夫婦とひょんなことから仲良くなり、コーヒー一杯で乗換バスが来るまで話をさせていただき、奥様は立山周辺の山小屋従業員や雄山神社の巫女などもしていたということで、面白い話を聞かせていただき、とても楽しい時間を過ごせました。
車に戻りお宿かじかで入浴し帰宅の途に就きました。人のいないルートを辿ろうと思った山行だったけれど、半分以上メジャールートとなってしまい消化不良の感は否めませんでしたが、結果オーライということで…これからもカフェひのきに通ってしまいそう…
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