長次郎ノ頭・池ノ谷左股、小窓ノ王・北面滑降


- GPS
- 11:40
- 距離
- 18.1km
- 登り
- 2,063m
- 下り
- 3,682m
コースタイム
- 山行
- 9:51
- 休憩
- 1:47
- 合計
- 11:38
過去天気図(気象庁) | 2025年05月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
写真
感想
毎年この時季になると、シーズンを生き延びたと安堵して、住宅ローンの繰り上げ返済をしている。その返済金額を検討していたところ、室堂在住のやまねさんから剱へのお誘いのDMがあった。いわく長次郎から池の谷左股R0(※「中部山岳スティープ・スキー100選」三浦氏による仮称)に行かないか、という。しかも奥様の馬場島お迎え付きだというので、改めて地形図を見る。R0滑降後に三ノ窓まで少し登り返せば、剱周辺における長年の課題のひとつである小窓ノ王を狙うことができるではないか。
行き先は告げずに、そのまま継続滑降どうですか?と提案すると、小窓ノ王周辺が赤線で囲われた地形図のスクショが送られてきた。これだけで行き先を当てるとは、やはりやまね氏はなかなかのマニアである。3月に剱山行に同行したゲンキ氏に都合を聞いたところ、雄大氏とパキトレ(たぶんパキスタン遠征に行くための訓練)で当日参加しかできないという。早朝室堂発予定なので、無理そうだ。同時に連絡していた渋沢氏の方は、ちょうどガイドの仕事が終わるから、そのまま参加できるという。こうして即席パーティによる剱山行が決まった(同時にローンの繰り上げ返済は先延ばしにした)。
2025年05月18日(日)
子供をサッカーに送ってから車に乗り、安曇野で下りてツルヤで買い出しをして扇沢まで。扇沢周辺にはまだこごみが生えていた。今回は、私史上初の春の立山かつ雷鳥荘泊なので、荷が軽かった。中国人観光客らの好奇の目にさらされながらダムをわたる。タンボ平は、まだ雪がたっぷりで滑って下りてこられるようだ。この日は意外と天気がもったようで、あさイチに来なかったことを少し後悔した。ターミナルでやまね氏と少し話した後、雷鳥荘で渋沢氏と合流し、ビールを空ける。雷鳥荘は、サービスも夕飯も素晴らしかった。夕飯後にやまね氏が来て、ロビーで少しの会話と打合せをして就寝。
2025年05月19日(月)
4時前に目が覚めてストレッチをしながら天気予報をチェック。この日のFLは高い時でも3200mらしい。カップ麺を食して、5時半出発。先に室堂ターミナルを出ていたやまね氏とは、浄土橋のあたりで合流した。最初はガスだったが、稜線に出ると晴れて、室堂や剱の絶景が一気に広がり感涙。夜から朝にかけて雨や曇りだったせいで放射冷却がなかったせいか、雪は朝からゆるんだ状態だった。準備して、剱御前小舎から滑走開始。おそらくここが滑りのハイライトで、あっという間に長次郎谷の出合まで来てしまった。途中、時間調整の休憩を挟みながら登る。急な寒気で死んだのか、小鳥が数羽、残雪の上に転がっていた。ほとんどをシールで登り、最後の100mくらいは、渋沢ツボトレースに導かれてブーツパックした。
長次郎ノ頭からの下りは、ガレてやや気持ち悪かったが、R0のドロップポイントは、雪がゆるみ切っていたため斜度は感じなかった。渋沢氏が風下側をデラがけすると、湿雪点発生で結構な量が出た。ひと通り雪を落としてから、何ピッチかに分けて気持ち良くルンゼを滑り降りる。GoProが不調で、動画はあまり録れなかった。登り返しは、やはり渋沢氏が先頭で行く。行程が大分楽になってしまうので、今後、渋沢氏と行く場合は「渋沢同行記録」と付記すべきである。三ノ窓で少し休んでから、小窓ノ王に取り付く。上から確認していた通り、いい具合に雪が繋がっていて、難なく登ることができた。
小窓ノ王からの斜面は、40〜45°くらいの気持ちのいい斜度がしばらく続くが、その後屈曲してルンゼ状になり、その先は見えず、緊張が高まる。今年は雪が多いからこの時季でもいけるんじゃないかと思っていたが、どうも怪しい。ハマるとしたら下部だが、行ってみないとわからないので、登り返す体力を持って、行くことに。途中何度かリグループして、先を覗き込む。左岸側に回り込んだ渋沢氏との無線連絡で、繋がっているという情報を得たので、下りていく。途中水が出ている箇所は横滑りでこなしたが、その後は滝が出た。スノーボラードを作るも、雪がゆるみ過ぎて細径のロープだと貫通してしまう。渋沢氏が灌木を使って支点を作り、30m x 2本で懸垂。
その下にも滝が見えたので、そこまではクライムダウンにした。やれやれである。滝の上の岩に残置ピトンがあったが、触るとポロっと落ちた。仕方なく近くにピトンを打ったが、最終的にはここも渋沢氏が掘り起こした灌木を支点とした。最初に降りた渋沢氏がロープから離れ、そのままクライムダウンして消えていった。しばらく連絡がなかったので、これは下降路を見つけたのだろうと思った。しばらくしてから小窓雪渓の安全圏から無線連絡が入った。最後は、クライムダウンと藪漕ぎからウィニングラン。理想とする滑降ではなかったが、積雪期の初下降ではあるはずだった。
小窓へ最後の登り返しを経て、西仙人谷を下る。中仙人との出合で登山パーティと遭遇した。雪はデブリでひどく汚く、かなり石を踏んだが、板の滑走面は思ったより傷つかなかった。雷岩の徒渉ポイント?で、念のためロープを出して懸垂した。また、堰堤の右岸側で倒木を支点に最後の懸垂をこなした。あとは歩きで馬場島まで。馬場島には、やまねさんの奥様が迎えに来てくれていた。渋沢氏とは立山駅で別れ、私はご夫妻にお寿司をご馳走になった後、扇沢までドライブ。家に着いたのは4時過ぎで、起床してからすでに24時間が経過していた。
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