剱岳


- GPS
- 11:13
- 距離
- 13.5km
- 登り
- 1,349m
- 下り
- 1,504m
コースタイム
- 山行
- 3:11
- 休憩
- 0:37
- 合計
- 3:48
- 山行
- 8:13
- 休憩
- 1:08
- 合計
- 9:21
天候 | 晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2025年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
|
コース状況/ 危険箇所等 |
室堂~雷鳥沢、剣山荘~劔御前小屋は往路は緩やかだが下り。復路は登りになるのが疲労した足にはきついので転倒など注意。 |
その他周辺情報 | まだまだ夏休み中、登山者、観光者ともに多い。木・金曜だったので比較的に空いてはいたようだが土日はまだまだ混雑しているでしょう。アルペンルートは臨時便を出すなど対応していた。乗り換えにちょっと時間かかるので注意。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
ハーネス
ビレイランヤード
カラビナ
ヘルメット
帽子
手袋
ヘッドライト
アタックザック
携帯トイレ
|
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感想
昨年の立山縦走で、曖昧に計画に付け加え、疲労困憊で見事に中止撤退となってからほぼ一年。これまでなんともな悔しさ情けなさを感じたことか。今年の夏はこのリベンジに掛けてもいい!満を持していざ挑みます。
さて前年の縦走からの反省もあり、二度の失敗はできないとのことで今回は山小屋前泊、もっとも近い剣山荘を利用。ここは水が豊富なのか入り口に水道のように流しており、中でも同じ水源の水道がある。劔沢でも無料だったが、劔御前小屋は普通に高かった。
山小屋利用をほとんどしないがここは二人寝の押し入れみたいに連なった二段部屋。隣とは感染予防なのか厚手の透明のビニールで仕切られている。これが後に熱さと息苦しさで苦しむことになる。
室堂から雷鳥沢までは下りである。当然帰りは登りとなり、疲労した足には辛いことになる。普通に歩いて雷鳥沢に。ここから劔御前小屋までの直登は急坂で難儀する。いよいよ苦行の始まりかな。
御前小屋まで到着。ここからまだまだ時間は早いのでついでにと劔御前山へ向かう。おもったより時間がかかったが山頂到着。この日はちょっとガスっており、劔岳はほとんど拝めなかった。でも途中で雷鳥が見れた。
そしてここから剣山荘へ、かつては先にすすむ道があったのだが現在は通行止めになっているよう。知らずにみんなの足跡を頼りにすすんだがこれがけっこうやばかった。なんとか無事本来の道へ合流したが、おすすめはしないので真似しないでください。
そこから剣山荘へはクロユリのコルに繋がる道、手前の分岐で剣山荘へ、緩やかな下りだが、これまた当然帰りは登りとなる。疲労も相まって行けども眼前の剣山荘には着かず、この時から帰りの面倒を想像していた。
剣山荘は13時に到着。いくらなんでも早いがチェックインはできる。まだ人はまばらである。親切な小屋の女性に案内をされ部屋をみたが前述のとおり。まあ雑魚寝よりはましかとおもった。満員ではないらしいが寝床はほぼ埋まっていた。だがソロの人には同じテリトリーにかぶらないようにしていたのか結局隣には誰も来なかった。
ビニールシートで仕切られてるのも相まって寝床は暑くて苦しくて昼寝も途中で切り上げた。これはたしか赤岳展望荘の物置みたいな個室でも同じような症状になったな〜。その後の食事もありきたりの定食。せっかくなので加工物でなく新鮮な料理を食べたかったな〜。そりゃ贅沢かな。翌日は早出なので弁当を希望してたので食事後に受け取る。みなのんびり食事してたな〜おかわりも。中にはその日に登った人もいるから気楽なんだろう。明日は4時出発予定だ。
う〜ん、暑くて寝られないどころか頭が発熱して寝苦しくて落ち着いていられない。雷鳥沢からの登りと御前山への登りとそれほどの山行ではないものの、疲労するとこのようなホットフラッシュになるのでまたその症状が出たか。クーラーに慣れすぎたんだろうか、はたまたこれも軽い高山病なのだろうか。それとも武者震い?
幸いにして消灯後も小屋の廊下は非常灯で明るい。廊下には長椅子が置かれており、休憩できる。入り口も施錠されておらず外に出ることができる。空は満天の星である。冷たい風にあたっているととても気持ちいい。下手な山小屋では共用部をうろうろしてたら怒られるのかもしれないが、小屋の人らしき人も居たが特に何も言われなかったのがよかった。
なんとか濡れタオルをあてがったり風にあたったりして回復。22時過ぎに寝床へ、2時間ほど寝入ってまた目が覚めて起きてうろうろしてまた寝床へ、ちょっと寝れた。2時過ぎに起きてうとうとするも、早出の人が廊下で準備を始める。もはや寝入ることはできずこちらも起きて廊下へ。まずは食堂で弁当を食べる。それほどおなかは減ってないが食べておかないと。昨夜にアタックザックと持っていくものをある程度用パッキングしてあったので最終チェック。
メットにヘッドライトを装着。渓流釣りと併用するためにも購入した軽量ハーネスとビレイランヤードとカラビナをも装着。いよいよである。結局ランヤードはヨコバイでしか使わなかったが。
外では準備中の人ががやがや。雷鳥沢方面、一服劔方面をみるとヘッデンの明かりが連なっていた。そして4時を過ぎた頃に出発した。
一服劔までは勝手知ったる。それでもなんか長かった。前を行くパーティに追いつき、なぜか先を譲られた。まだ夜明け前だが一服劔の頂から眼前の前劔岳を臨む。いよいよ冒険かな、ゆっくり下っていく。危ないので撮影は少なめとなりました。
これから前劔岳への急坂、真ん中あたりから浮石が多くなり、落石(落ちてくる落とさない)に注意して慎重に進む、時折渋滞っぽくなるが流れてはいる。
前劔頂上に立つ。ここまで3分の1ちょっとだろうか。ここを降りて前劔の門をはじめ、クサリが続く、金属のメッシュの橋は両岸開けており、腰を落として重心を低くして渡り、すぐの岩壁を鎖を伝ってトラバースする。高度感はそれほどではないが見た目はいかにもな恐怖。それからいくつかのクサリを突破したが想像よりは難儀はしなかった、そしていよいよタテバイがみえてきた。
カニのタテバイは眼前にみるとそれほど恐怖を感じるほどでもなく、気分はホッとした。でも登り始めるとなかなか腕力をも使う。登るごとに傾斜はきつくなり、頂上付近が一番きつい。足掛かりもあって三点確保でしっかり登ればそれほど難易度は高くない。だがヨコバイと違ってクサリの距離は長い。また、手掛かりが鎖に頼るしかない箇所が多く、クサリ外したら・・・、と思うとそれなりの緊張感があった。
ここを通過して岩場をくぐって進んでまた登る。タテバイをすぎてすぐ頂上と思いきや長いこと岩場を進む。途中に下山路のヨコバイとの分岐がある。覗くとヨコバイの取り付きがみえる。頂上の祠はなかなか見えてこない。疲労も相まって歩みは遅くなる。いつも頂上直下はこうなる。気を付けて進む。
そしていよいよおおパリの灯が!祠の裏側から到着。頂上は狭いが想像より広い、弁当食べてるのもいた。記念写真を撮りあっていた。その合間に祠(宮)を撮影。あれ槍かな?と景色も堪能し、室堂で買ったバウムクーヘンで軽食をとり、しばし休憩。ただいま午前7時。4時過ぎに出発してここまで3時間程経過。名残惜しいが混みあっているのですぐに出発。頂上制覇で感無量、というよりはまだまだ、この山はピークハントで終わりではないのだ。
すぐに下山路であるヨコバイへ降りていく。やはり停滞している。しかし見た感じとしては終始恐れていたほどの恐怖心を感じるほどの高度感はない。正面(ヨコバイ通過中は背面、斜め後ろかな?になる)にアルプス一万尺の小槍に似た岩壁のようなものがあってそれが高度感を軽減していると思う。セルフビレイは必要ないと思ったが通過途中でも停滞するので安全の為と、せっかく持ってるのに使わず滑落じゃバカみたいなので使用した。この山での唯一の使用となった。中高年、前方の若い男子の中でも使用している人もいた。不安なら持っていきましょう。
どちらかというとヨコバイ通過直後の梯子の取り付き時にセルフビレイしたほうが安全だと思う。バックステップ状態になるまでが危険でステンレス製なので濡れてると特に滑って注意と思った。クサリがあってそれを支持がわりに梯子に取り付いた。高さは槍直下、北岳のルート上の梯子くらいの高さだった。
下山路は登りと異なるクサリのルートとなるところがあってむしろ下山路のクサリのほうが高度感恐怖感のあるところがあった。みな不安なのか先を譲られたりしていつのまにやら先陣となって登って行ったところも。いつもと違って後進がいるので歩は停めずに進んだ。もちろん無理はしていない。抜かしたことはあっても理由なく抜かされたことはほぼ皆無であった。
最後の難所クサリ、前劔の門を抜けて前劔山頂に立つとこれから急坂。これも難所の下りとなっていて下りの苦手な自身も不安はあったが、八ヶ岳赤岳直下、積雪期の千畳敷直上からの下りを経験しているだけあって恐怖心は全くなかった。
そして一服劔への登り返し、疲労もあってゆっくり慎重に登る。頂上にたって終わりはもうすぐ、下りは前回雉撃ちした(持って帰ったよ)ところを横目に通過して流行る足を落ち着かせて2番、1番鎖を降りてゴールの剣山荘へ。時刻は9時前。下山は2時間で合計5時間(予定では6時間)と、心配をよそに終始想像よりは難儀しなかった山行となった。やっぱり気構えが違ったからかな。
山は閑散日を選ぶ自分には珍しく、登山者多しの停滞もある山行となった。もっとも積雪期以外にこの山で孤独となるのは難しいかもしれないが。
デポした荷物をまとめて珍しくコーラを購入。まず積極的に飲むことはないのだが疲労もあって購入、冷たくて美味しかった。水はペットボトルに補給。この時ヘリの荷揚げがあるので外に出られなかったが合間をぬって出させてくれた。
下山はクロユリのコル経由を選択。劔沢経由は前回行ったので。だがそのほうがよかったかもしれない。どちらも緩やかな登りではあるのだが。このルートは途中に大岩のガレ場何度かあり、あまり人が通らないのかハイマツの道は道を塞ぐように茂っていた。登りは緩やかだが疲労した足には辛かった。雪渓直下を通過するところもあった。手でつかんで雪を口に放る。冷たくて美味しい。
いけどもいけども劔御前小屋すらみえない久しぶりの下山時の地獄行脚だった。普通は下りなんだけどこれは終始登り。ログの記録で100分ちょいかかっていた。
御前小屋がみえた頃に小休止。ここからも長かった。シャリバテもしてきたので小屋では水の補給(無料と比べて高かった)とカップヌードルで小休止。
ここから雷鳥沢まで新室堂乗越〜大日山へと行くルートを選択。雷鳥坂を通る別山乗越への直登コースよりは緩い坂と考えてのことだったがそれと比べて若干距離が長い。まあ景色はよかった。ハイマツ帯では期待していた雷鳥はみれなかった。ああ劔御前山近辺で目撃したっけか。太陽に照らされ、つづら折りの道を降りていく。下まで降り切って橋までも結構長かった。
雷鳥沢到着。ここで小休止。いよいよ最後の難関室堂までの地味な登りを行く。これが面倒。一歩一歩進んでまだまだといつまでも続いて難儀した。標準タイム以上かかったような。外人に話しかけられた。ゴーイングバック?なんだそれって、まあ適当にイエスイエス〜はははは。
とにかく剣山荘〜劔御前小屋〜雷鳥沢〜室堂の復路は、こっちのほうが辛かったんじゃね?と、まさかと言うべきか当然と言うべきかの地味地味な地獄行脚であった。二度と行きたくないと思ったくらい。
そして富山までアルペンルートを戻ります。並んだり混んではいるもののほぼ流れてすぐに立山駅まですぐ乗り継いで敦賀で一休み。帰りは早く移動したいしすぐ来るものを乗り継ぎまくって休憩なしで疲労する。いつもこんなん。時間があればもっとゆっくりするけど。本当は無理すれば最終バスで帰れるはずだったが限界だったので敦賀で宿泊。荷物整理と風呂と洗濯と一人反省会。
翌日は福井で有名な氣比神宮を参拝。鯛鮨を購入。そして普通電車で京都まで。
今回は満を持して臨んだため、心配していたことはほぼ杞憂に終わった。前泊のホットフラッシュ?とか、むしろ復路の地獄行脚が腹立つほど辛かったかな。帰りはなぜか雲の上にいるような万感の思いとなった。なにか今までの屈辱が晴れたような、いつも見る景色も違ってみえるような。
劔岳は眼前で拝むと自身もっとも威圧感のある山であった。国内最難関の山、とも言われているし、その山を制覇したのは今後この山を想う時に今までと少し違った感情となるだろう。自身の回復にもなった。
最難関と言われてる理由だが、岩場、クサリ場、全体的な距離などの山の険しさ、それと登山口に行くまでも大変、日帰りなら更に帰りが大変と、総合評価で最難関なんだろうと考える。積雪期は上級者じゃないと絶対無理だろう。
これで山を引退してもいいというほどのリベンジではあったがまだまだ行きたい山やルートはあるので今後もできるかぎり挑戦してみたいと思います。ホットフラッシュが今後持病となるかなという一抹の不安は残ってしまったが。
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