小屋閉め間際、お腹いっぱいの秋空の塩見岳


- GPS
- --:--
- 距離
- 24.5km
- 登り
- 2,286m
- 下り
- 2,286m
コースタイム
- 山行
- 3:21
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 3:35
- 山行
- 6:35
- 休憩
- 1:43
- 合計
- 8:18
- 山行
- 5:47
- 休憩
- 0:26
- 合計
- 6:13
天候 | 秋晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
鳥倉林道は登山口近くまで舗装されている。車に5段変速くらいの折りたたみ式自転車を積んでいけば、ゲートから登山口までの約30分の徒歩に有効ではないか、と思われる。 |
その他周辺情報 | 大鹿村役場近くに、鹿塩温泉があるのでいってみようと思ったが、お客がいる場合は入れないこともあるらしい。地元の人に聞くと、小渋温泉赤石荘が午前11時半から入浴可能とのことで、そちらへ行った。露天風呂掛け流し。 |
写真
装備
備考 | 今や多くの人が使用しているハイドレーションシステムを初めて浸かってみたが、確かに適切に水分が供給出来て、疲労感が違った。 |
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感想
「お腹いっぱい」というのは、言葉のそのままで、山小屋に2泊しましたがどちらもおいしいご飯を食べさせてもらったので、元気モリモリで長い登山道を歩くことができたというわけです。
この時期の南アルプス、小屋閉めが9月30日と公表されていたこともあり、もう山のシーズンは最後の雰囲気。今後はテントをしょって大きな荷物をもつ本格派の季節となり、ハイカーやいわゆる中高年、初心者をアルプスは拒絶する時期になります。そのため、今回山で出会った人たちは、結構強者ぞろいで、軟弱派やビギナーはいなかったような印象でした。
自分の南アルプス南部の地図(塩見・赤石・聖)は、2009年版の山と高原地図なので7年間地図とにらめっこしながらいつこの領域の山に登れるだろうか、と思案していたということになります。
今回もずっとお盆の時期からいつ南アルプスに行くことができるか思案していましたが、いけるとしたら今日でしょ、という9日の朝、松山空港から中部国際空港へとやってきました。8日は夕方まで仕事の関係の講習会があったこともあって動けず、しかし、9日の午前中は雨だったため、日程的にはいいくらいだったのかもしれません。
そのような事情から、中部国際空港をレンタカーで9日の午前10時半に出て中央道で鳥倉登山口を目指します。
中央道を走るならば、やっぱり恵那峡SAで○やのひつまぶし。これを食べないと先へ進めません。山の上では栄養が不足するかも、などと勝手な言い訳を考えて元気の出るうなぎをいただきます。
恵那山トンネルを越えると南アルプスが目に飛び込んできますが、雨と思っていた天気なのに稜線には雲がかからず山頂が見えていました。あれが塩見岳だろうか、などと想像しながら松川ICで下道へ。あとはかなり1本道に近くそのまま大鹿村まで運ばれました。
それにしても、天気の回復が予報よりも早くて、これから2、3日は意外と期待できるかも、などという予感がしました。
鳥倉林道への入口はちょっとわかりにくくて、よく見ていないと左へ曲がって山を登っていく道を間違えてしまいそうです。しかし、村の道なので何本もあるわけではなく、国道から左へ2回曲がればそのまま鳥倉登山口まで行くことができました。
しかし、問題は時間。
意外と鳥倉林道が長くて、ゲートに到着したのが午後2時を回ってしまい、歩き始めたのが2時半、鳥倉登山口から登り始めたのが3時前になり、これで午後5時からの夕食には間に合わないことが確定してしまいました。登山口からはコースタイム3時間ということで、日没ヘッドライトの山歩きを8/10から先余儀なくされ、心細くということはなかったけれども、明かりを頼りに小屋にたどり着いたのは午後6時前になってしまいました。
歩いている途中、食事に遅れたことに対して、「山小屋に迷惑を掛けることになって申し訳ない」という思いが暗闇の中で頭の中を駆け巡りましたが、「遅れて山腹小屋について、夕食は食べられるんだろうか」という不安も同時に感じました。
そんな思いの中、三伏小屋に着くと管理人さんに暖かく向かい入れていただき、スタッフの方にも荷物を置いて食事から食べて下さいと促され、とても安心して気が落ち着きました。そして、その管理人さんには、「朝四国を出てこの三伏峠まで来るという計画が無理。山麓で一泊するのが本当だ。」と言われ、それはその通りだと、納得しました。本当はそういう計画にしたかったんだけど、事情でできなかったとは口に出せません。
また、その管理人さんは、NHKの日本百名山にも登場しており、ちょうどカレーライスを作っているところが放映されていたので、「あっ、あの時出ていた人だ!」と思ったけども、管理人のおじさんには言えず、食事をしながらスタッフの方と番組の話をしたときに笑いました。
塩見小屋で食事の際に話した方々も、同じような山域を登っていなかったり、百名山の大概の山は登ったあとで終盤になって塩見岳にやって来た、という感じを受けました。
また、ベテラン級の強者ばかりなので、南アルプスの事情にも詳しくて、今後の南アのアプローチに参考になる話も多々ありました。
私の山と高原地図42塩見・赤石・聖岳は2009年版なのですが、この山域へ行こう、と思って7年間、その地図と睨めっこを続け、やっと今この山域へ足を踏み入れたということを改めて認識したところです。
三伏峠小屋では、ゴージャスな夕食をいただき、これまで登ってきた疲れもすっかり取ることが出来ました。小屋閉めが10月10日の予定だったそうですが、10日の予約がないため山を降りるらしくて、最後の食事となったため豪華版だったそうです。光栄にも、今シーズンの最後の宿泊者となってしまいました。
朝食もちょうど自分の好みのおかずと量で、おいしくいただきました。
消灯は午後7時半。
1階の大広間に10名程が寝ることになり、余裕綽々。毛布を3枚着て寝るスタイルだったので、寒くはなかったのですが、肩口がスースーして少し気になったかも。朝食は午前5時からでした。
午前5時には、まだ外は真っ暗なのに半分くらいの人がすでに出ていっており、自分はボランティア関連の方々と一緒に朝食を摂り、宿泊者の中では遅出のスタートでした。
10日、午前5時40分に三伏峠小屋を出発、6時に三伏山山頂まで来ると親子連れがご来光を待っていました。子供は小学校低学年の女の子でしたが、二日前から三伏峠でテントを張っている、とお父さんが話してくれました。そのような子供でも塩見岳へ行くのかあ、と感心したところですが、なかなかそれって大変だったんじゃないのかな、と思いました。
午前6時5分日の出だったのですが、その親子連れと一緒に日の出を見て、シャッターを切ってもらって三伏山から一旦下って、本谷山との鞍部を目指して行きました。
三伏山から先は、ダラダラとした緩やかな下りで、森林限界の高い南アルプスの中を行くため展望はあまり開けず、黙々と歩きます。
鞍部まで下りて本谷山へ登り返すところに「のぞき岩」があって、そこから三伏峠方面の歩いてきた稜線や山腹小屋などを遠望することができました。「ここまで随分歩いてきたのに、これから先もまだまだ長いなあ」という感じでした。
そこから、15分程登り返した本谷山山頂。
ここでやっと休憩です。真っ暗なうちから鳥倉登山口を出発して、あの三伏峠までの登りを歩き続けここまでやってきてという、ガッツ登山派のような方に追いつかれて、たまたま一緒になったので、コースの計画やら話をして、ここでもシャッターを切っていただきました。
なんでも日帰りするのだということで、その体力と気力の素晴らしさに脱帽です。
自分を基準にしたらいけないのですが、このルートを日帰りするなんてとうてい考えられないようなことを、いとも簡単に実現する人って意外と多いのに驚きます。日頃から鍛えているのでしょうが、1日中山を歩き続ける人もいたりして、個人差が大きいとつくづく感じてしまいます。
このルートもヤマレコを見ていると、とても早い人がいますが、それは例外のようなもので自分にとっては全く挑戦できないようなタイムであったり、日程であったりするので、やっぱり自分は自分のペースで行かなければ大変だと思っているところです。
本谷山から先は、南アルプスらしい広い稜線の森の中歩きという素晴らしい雰囲気で、やや下っていく感じで気持ちよくゴーロまで行くことができました。ゴーロからの急登も覚悟していたほどそんなに長くは続かず、ひょこっと稜線に出て塩見新道との分岐を過ぎるとやがてハイマツ帯となって、もう一登りの急登を過ぎると塩見小屋に午前10時前に到着。
宿泊の手続きをして荷物を整理させてもらい、弁当を食べようかと思ったのですが、まだ時間が早いので塩見岳山頂まで行って昼飯にすることにしました。要らない荷物を小屋において10時半に小屋を出発。塩見岳山頂を目指しました。
塩見小屋を出ると一旦ハイマツの中を下って天狗岩に向かい登り返しの道が続きます。小屋が2760mということで、あと登りは約300m。
ここは頑張って登り続けるしかないのですが、岩場だからということで小屋にストックを置いてきたことを後悔、しかしもう取りに帰ることもできず、不安と反省の気持ちでゆっくりと登っていきました。
天狗岩を回り込むところが危険だとわかっていたので、そこは慎重に岩場を越えて行きました。張り出した岩場を回り込んだら目の前に天狗のような岩が現れたので、それが天狗岩かと思うくらいでした。その手前を登り切ると第一の危険地帯は終了、天狗岩の山頂の岩峰の鞍部に下りて行きます。
最後の岩の壁が目の前に迫ってきました。
山頂部の岩登りは、もともと予想していなくて、登山道で素直に山頂に到着するものと思っていたのですが、意に反してしっかりとロッククライミングを約100m程させてもらいました。最後の最後に緊張を強いられることと、その時間が結構長いため、やっぱりこの塩見岳ルートはベテラン向きなのだろうなあと思いました。
ロッククライミングが終わると、山頂部を少し緩やかに歩いて塩見岳西峰に到着。そこから、5分程先の最高点東峰まで行って、昼飯にしました。昼飯は三伏小屋で作っていただいたおにぎりです。
塩見岳山頂からの360度のパノラマは言葉にできないくらい素晴らしく、南アルプスの女王仙丈ヶ岳から甲斐駒ヶ岳・北岳に間ノ岳・農鳥岳・荒川岳・蝙蝠岳と遠くで主張している富士山など、登って来た疲れを癒やしてくれるものでした。
南の太平洋辺りでは前線が停滞しているためか、雲の厚い塊があってやがってこっちへ向かってきそうだったし、南アルプス周辺の伊那谷や関東平野などは、山よりかかなり低い高さに雲海があって、ちょうど自分が居る塩見岳を中心に、ぽっかりと青空のエリアを神様が作ってくれているような空模様。満足のいく塩見岳となりました。
山頂では松本からやって来たという女性の方と東峰の狭い岩峰の上で昼食を摂りながら、今自分が目標の一つとしている飯豊山の話を聞くことができました。避難小屋はもう営業したないと思っていたのに、先月末でも管理人がいて食事などできたということを聞き、やっぱりネット情報を信じるのではなくて自分で電話して確認しなければならないな、と思いました。
実際、三伏峠小屋も9月末まで営業とHPに出ていたのに、電話を掛けてみると10月10日までやっているとのこと。それで今回の塩見岳登山が実現したという経緯もあり、最後の確認というのはとても重要なのです。
自分はすぐ下の塩見小屋に泊まるので、山頂でも随分とのんびりしていたのですが、みんな日帰りの人たちばかりでさっさと腹ごしらえをして下山していきました。
たった一人で塩見岳山頂を独占。なんという一時か、という至福の時間がやってきました。しかも、登山中は何かと風が吹いていて、やや肌寒くて長袖を着ていなくてはいけないくらいだったのですが、この一時だけは不思議と風もなく、景色は良くてポカポカ陽気。いつまでもいたいくらいでした。
思い存分、塩見岳からの景色を目に焼き付けて、12時半ころより下山開始。
岩場の下りはあっという間で、登りの時のような恐怖感も感じず、岩場の足掛かりがよく見えていて、順調に小屋まで下りていきました。
途中二人の男性に追い越されましたが、塩見小屋は予約がないと泊めてくれないというので登山口まで下りるんだ、などと話されていました。これから下りるとなると、登山口に着く頃には真っ暗になってしまうのではないかと余計な心配もしたくらいです。そして何よりも、それだけ歩き続ける体力があるのかどうか、自分がもしそうだったらとても不安になります。
塩見小屋には午後2時前に到着。
あとは荷物を整理して午後5時からの夕食を待ちます。水は購入しなくてはならなくて、2L 800円と500ml
200円の天水をお願いしたところ、宿泊者は天水はサービスということで、翌日の行動用と残りは宿泊での必要水分として利用しました。
ちょうどその頃、おばちゃま3人組が小屋に到着。荷物を置いて山頂を目指して行かれました。ガスが出てきていたので明日の方が良いですよ、と言ったのですが耳に届かなかったのか、行こうという勢いが勝っていたのか、そのまま出かけて行って、食事前に下りてこられました。
それにしてもその3人組の体力って、凄いものだと感心。登山口を朝出発して、塩見小屋までやってきて、そのまま山頂へ行くなんて、やっぱり強者。食事の時には、もう百名山達成間近の方がその中にいて、北海道の幌尻岳の話などで盛り上がりました。
その他、神奈川からの同年代の男性や塩尻から来たという女性の方などと、同じ価値観を共有しているなあと思いながら山談義ができて、夕食後の時間を楽しく過ごすことができました。
消灯は午後7時。
すぐに眠りに落ちてしまいましたが、午後10時過ぎには目が覚めて。。。このパターン、いつもこうなってしまいます。その後、なかなか眠れない。これにも最近慣れてきました。
最終日、起床は午前4時。
朝食は午前4時半からで、鮭など自分に合ったものだったのでありがたかったです。
早く起きてみんなは山頂でのご来光を目指したようですが、自分は午前5時10分に小屋を出発して一先ず三伏峠小屋を目指して下山します。
帰りはとても順調に歩けて、自分としてはあまりないのですが、コースタイムよりはやや早めに三伏山まで帰ってきました。とても展望が良く、ここで大休息。塩見岳ともお別れです。鳥倉登山口まで下りたのは午前10時半過ぎになりました。
あとはレンタカーで中部国際空港まで帰って、松山行きの最終便で帰宅。
山を下りてみるとすっかり季節が進んでいて、秋の空気に入れ替わっていました。また、もともとはあまり期待できない天気で、ひょっとしたら雨の中を歩くことになるかもしれない、と覚悟はしていたのですが、雨もなくて青空の下、雲海の上の大展望で、お腹いっぱいになりました。
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