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Yamareco

記録ID: 6648441
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

西穂高岳 西尾根

2024年04月13日(土) [日帰り]
 - 拍手
体力度
4
1泊以上が適当
GPS
09:11
距離
10.2km
登り
1,876m
下り
838m
歩くペース
速い
0.80.9
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
8:19
休憩
0:53
合計
9:12
4:40
12
スタート地点
4:52
4:52
30
5:22
5:22
348
11:10
11:49
17
12:27
12:27
19
12:46
12:47
19
13:06
13:07
7
13:14
13:19
14
13:33
13:34
17
13:51
13:51
1
13:52
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2024年04月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車 ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
4月1日から、新穂高「登山センター」前の県営駐車場が利用できなくなり、深山荘方面の無料駐車場(P5)への駐車となります。
コース状況/
危険箇所等
■右俣林道:山側斜面に積雪はあるものの、路面は概ね融雪している。
■穂高平小屋〜2400mコル
小屋までのショートカット道を利用。乗越し直後より一面雪で覆われている。
広大な牧場内を横断し、西穂高岳西尾根の末端へと向かう。
■西尾根2400mコル〜
山荘からは牧場を南に突っ切り、尾根の取付きへ向かう。広大な牧場内は古いトレースが錯綜しているが、前方に見えている尾根の末端を目指して進めば迷うことはない。雪面は概ね締まって歩きやすいが、進むほどに踏み抜きが多くなる。ただしワカンが必要になるほどの頻度ではなく、そのままツボで進む。
末端に近づくとやや右に回り込んで傾斜の緩いところから尾根に取りつく。樹林内にマーキングあり。
1800mまでは腰〜胸までの笹の藪漕ぎとなるが、密藪ではないため、過度な消耗はしない。
やや小広い尾根だが、基本尾根通しであり、適当に進んでも迷う心配はないが、木々には赤テープなどのマーキングも多く見られるため、安心。
2350m、2400平場ではテンバ適地。
■第一岩峰
小ピークから直ぐのコルから急激に立ち上がる雪壁を前に、アイゼンを装着。一登りすると最初の核心部となる第一岩峰の基部に達する。ここから岩場の通過に備えてトレッキングポールからピッケルへ持ち替える。
ここは一見して左からの巻きを選択。巻き道となる氷化した凹角状のルンゼは斜度は急だがクライムダウンできる程度の傾斜な上にホールド・スタンスは豊富なため、難しくはない。
この斜度で恐怖を感じた場合は、この先の山頂直下の岩場ではこれを超える斜度に加えホールドスタンスも細かくなるため、引き返すことをお薦めしたい。
ルンゼ内には補助的な使用も憚られるほどの経時劣化著しい古びたフィックスロープが残置されていたが、僅かな荷重さえもこれに頼るのは危険。
ここは雪の量や質により難易度が大きく前後する場所だと思われる。

第一岩峰を超えると森林限界の稜線に飛び出す。眼前にはジャンクションピークへの急登が現れる。ここからの稜線沿いはところどころ大きな岩場で構成されていて、都度トラバースや直登を選択しながら進む。トラバースは雪質が悪い場合は要注意。
■ジャンクションピーク
一部斜度の高い雪稜を登る所や、雪庇の張り出しがあり、視界が効いていれば大きな問題はないが、視界不良の際は注意しなければいけない。
正面にはジャンダルムから奥穂高岳、後ろには笠ヶ岳から双六岳、槍ヶ岳までの大パノラマの絶景。
■第2岩峰手前のピーク
第二岩峰の手前にある小ピークは、巻くか稜線通しかのいずれかとなるが、トレースの有無に関わらず、雪質や技術、雪庇の状態など総合的に判断しなければならない。
2740mピークから第二岩峰の手前のピークに向けての下降では、雪の緩みにより股までの踏み抜きが頻発。

今回は2,740mのピークは南側をトラバースした。斜度はあるものの、フラットフッティングで問題なし。
■第2岩峰
右側に回り込みルンゼ状を右上していく。斜度も緩く、十分なホールドスタンスがあり容易。ルンゼ内には一部ワイヤーあるが、使える代物ではない。
■〜頂上
頂上直下の岩稜は第二岩峰と同様に右から回り込み、ルンゼを直上する。ここも劣化著しい古いロープあり。頂上まで10mから西尾根では最も傾斜の強い登攀となる。またホールド・スタンスも細かくなるため、慎重に。
■西穂高岳山頂〜
山頂からの降りは急傾斜の雪壁から始まる。少しでも不安があればバックステップで慎重に下るべき。 下降後も独標までは痩せ尾根の岩雪ミックスの稜線歩きが主体となり、不用意な動作は危険。一般道でも侮れない。

その他周辺情報 ひらゆの森
右俣林道は序盤は殆ど融雪していたが、ショートカット道付近より残雪が目立つようになる。
2024年04月13日 05:00撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 5:00
右俣林道は序盤は殆ど融雪していたが、ショートカット道付近より残雪が目立つようになる。
右手斜面に付けられたショートカット道を利用。
2024年04月13日 05:09撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 5:09
右手斜面に付けられたショートカット道を利用。
穂高平山荘前
2024年04月13日 05:22撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 5:22
穂高平山荘前
右手牧場内へ柵を跨ぎ進む。
2024年04月13日 05:23撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 5:23
右手牧場内へ柵を跨ぎ進む。
2024年04月13日 05:26撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 5:26
西尾根末端へ向け新旧トレースが残る雪面に歩を進める。
2024年04月13日 05:27撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 5:27
西尾根末端へ向け新旧トレースが残る雪面に歩を進める。
尾根末端に近づくほどに踏み抜きが多くなる。ただしワカンを装着するほどではない。
2024年04月13日 05:34撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 5:34
尾根末端に近づくほどに踏み抜きが多くなる。ただしワカンを装着するほどではない。
尾根末端をやや右に回り込んだところから取付く。いきなりの藪漕ぎ。
2024年04月13日 05:43撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 5:43
尾根末端をやや右に回り込んだところから取付く。いきなりの藪漕ぎ。
尾根筋を意識しながら適当に登り易いルートを見定めて登り込んでいく。この辺りから藪漕ぎから解放される。
2024年04月13日 06:40撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 6:40
尾根筋を意識しながら適当に登り易いルートを見定めて登り込んでいく。この辺りから藪漕ぎから解放される。
1946m地点。ここまで踏み抜きは時々ある程度。
2024年04月13日 07:01撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 7:01
1946m地点。ここまで踏み抜きは時々ある程度。
ここから痩せ尾根となる。
2024年04月13日 07:52撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 7:52
ここから痩せ尾根となる。
小ピークと書かれた標識。
2024年04月13日 08:38撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 8:38
小ピークと書かれた標識。
テンバ適地
2024年04月13日 08:38撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 8:38
テンバ適地
小ピークから直ぐのコルから急激に立ち上がる雪壁。ここでアイゼンを装着。
2024年04月13日 08:19撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 8:19
小ピークから直ぐのコルから急激に立ち上がる雪壁。ここでアイゼンを装着。
斜度はこの程度
2024年04月13日 08:48撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 8:48
斜度はこの程度
2024年04月13日 08:51撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 8:51
2024年04月13日 08:51撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 8:51
第一岩峰は左から巻く
2024年04月13日 08:52撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 8:52
第一岩峰は左から巻く
岩稜巻き中の斜度
2024年04月13日 08:52撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 8:52
岩稜巻き中の斜度
2024年04月13日 08:53撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 8:53
雪面を見ると腐ったロープが部分的に埋もれている。掘り出すまでもなく劣化が酷すぎて一目で使えない代物と判る。
2024年04月13日 08:53撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 8:53
雪面を見ると腐ったロープが部分的に埋もれている。掘り出すまでもなく劣化が酷すぎて一目で使えない代物と判る。
2024年04月13日 09:03撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 9:03
岩峰を巻き終わると森林限界に飛び出す。
2024年04月13日 08:58撮影 by  SC-51B, samsung
1
4/13 8:58
岩峰を巻き終わると森林限界に飛び出す。
直ぐに続く岩場
2024年04月13日 09:02撮影 by  DSC-WX500, SONY
4/13 9:02
直ぐに続く岩場
スラブ岩にロープが掛けられているが、左から難なく巻ける。
2024年04月13日 09:02撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 9:02
スラブ岩にロープが掛けられているが、左から難なく巻ける。
融雪が進み藪の露出が目立つ。
2024年04月13日 09:05撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 9:05
融雪が進み藪の露出が目立つ。
岩稜通しか巻きかの選択の連続となる。
2024年04月13日 09:05撮影 by  SC-51B, samsung
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4/13 9:05
岩稜通しか巻きかの選択の連続となる。
巻きは急傾斜のトラバース
2024年04月13日 09:09撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 9:09
巻きは急傾斜のトラバース
右手には西穂山頂が見えるが、まだまだ遠く...
2024年04月13日 09:15撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 9:15
右手には西穂山頂が見えるが、まだまだ遠く...
2024年04月13日 09:24撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 9:24
ハイ松帯の中を進む。明瞭な下道はあるが、絡みつく枝がウザい。雪面へ逃げた方が快適だろう。
2024年04月13日 09:38撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 9:38
ハイ松帯の中を進む。明瞭な下道はあるが、絡みつく枝がウザい。雪面へ逃げた方が快適だろう。
振り向けば笠ヶ岳の雄大な山容に目を奪われる
2024年04月13日 09:39撮影 by  SC-51B, samsung
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4/13 9:39
振り向けば笠ヶ岳の雄大な山容に目を奪われる
それにしても暑い
2024年04月13日 09:47撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 9:47
それにしても暑い
山頂までは近いようで遠い
2024年04月13日 09:48撮影 by  SC-51B, samsung
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4/13 9:48
山頂までは近いようで遠い
2024年04月13日 09:51撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 9:51
2024年04月13日 09:51撮影 by  SC-51B, samsung
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4/13 9:51
北西尾根の分岐
2024年04月13日 09:56撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 9:56
北西尾根の分岐
2024年04月13日 10:03撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 10:03
第二岩峰前の小ピーク。ここはトラバースを選択
2024年04月13日 10:07撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 10:07
第二岩峰前の小ピーク。ここはトラバースを選択
トラバース中
2024年04月13日 10:16撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 10:16
トラバース中
2024年04月13日 10:20撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 10:20
第二岩峰は右から。容易
2024年04月13日 10:24撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 10:24
第二岩峰は右から。容易
西尾根を振り返る
2024年04月13日 10:37撮影 by  SC-51B, samsung
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4/13 10:37
西尾根を振り返る
山頂に数名見える
2024年04月13日 10:46撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 10:46
山頂に数名見える
山頂直下はフィックスロープが垂れていた。
2024年04月13日 10:52撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 10:52
山頂直下はフィックスロープが垂れていた。
西尾根一の斜度。岩は脆く、手足は細かいが、アイゼンの前爪とピックを確実に乗せていけば問題なし。劣化の酷い残置ロープに頼るのは危険。
2024年04月13日 10:54撮影 by  SC-51B, samsung
1
4/13 10:54
西尾根一の斜度。岩は脆く、手足は細かいが、アイゼンの前爪とピックを確実に乗せていけば問題なし。劣化の酷い残置ロープに頼るのは危険。
積雪期の眺望は別格。先着のBCの方に撮っていただきました。
2024年04月13日 11:06撮影 by  SC-51B, samsung
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4/13 11:06
積雪期の眺望は別格。先着のBCの方に撮っていただきました。
奥穂方面へのギャップへ進むが、懸垂下降またはビレイが必要な状態でした。
2024年04月13日 11:14撮影 by  SC-51B, samsung
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4/13 11:14
奥穂方面へのギャップへ進むが、懸垂下降またはビレイが必要な状態でした。
BCの方と歓談しながら大休憩。いつもなら山頂滞在は10分程度だが、40分も滞在してしまう。
2024年04月13日 11:31撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 11:31
BCの方と歓談しながら大休憩。いつもなら山頂滞在は10分程度だが、40分も滞在してしまう。
下山は直下の雪壁から。フロントポインティングの穴だらけ。
2024年04月13日 11:47撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 11:47
下山は直下の雪壁から。フロントポインティングの穴だらけ。
ピラミッドピークに立つ登山者
2024年04月13日 12:14撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 12:14
ピラミッドピークに立つ登山者
ピラミッドピークでアイゼンを外す。
2024年04月13日 12:18撮影 by  SC-51B, samsung
1
4/13 12:18
ピラミッドピークでアイゼンを外す。
焼岳と乗鞍岳を鑑賞しながらひたすら降る
2024年04月13日 12:57撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 12:57
焼岳と乗鞍岳を鑑賞しながらひたすら降る
丸山
2024年04月13日 13:06撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 13:06
丸山
西穂山荘へ
2024年04月13日 13:12撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 13:12
西穂山荘へ
ロープウェイ駅へ到着
2024年04月13日 13:50撮影 by  SC-51B, samsung
4/13 13:50
ロープウェイ駅へ到着

装備

個人装備
ロープ20m アックス×1 ワカン(使用せず)

感想

このコースは10年以上前に予定していたものの、難易度的にもいつでも行けると考えていたため、ついつい後回しにしていましたが、ふと気づくと今年もいつの間にやら残雪期も終盤にさしかかり、いい加減このループを抜けださねば、とようやくここで重い腰を上げるに至りました。
さて西尾根ですが、出だしは長閑な牧場から始まり、ほどほどの急登と氷化した岩場、急な雪面のトラバースにナイフリッジの稜線歩き等、景色の目まぐるしい変化に終始飽きさせず、また再訪したいと思わせてくれる素晴らしいルートでした。

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訪問者数:196人

コメント

JetUpperさん、
レコを読んでても行ける気がしない(+_+)。
怖気づいた私には眩しすぎる景色です。

2024/4/17 12:19
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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利用交通機関: 車・バイク
技術レベル
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体力レベル
5/5

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