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素晴らしく、そして、読み応えのある良書でした。エドマンド・ヒラリーと言えば、世界最高峰・エヴェレスト初登頂者であることは有名ですし、その麓にシェルパを含む現地の子供たちのために学校や病院を作っていたことは知っていたのですが、南極点第3到を含めた南極大陸での探検やイエティ(雪男)探索などなど、さまざまな冒険をされていることは知りませんでした。ですので、この「ヒラリー自伝」の原著タイトルも「Nothing Venture, Nothing Win」でして、直訳すれば「冒険なくして勝利無し」、さしずめ「虎穴に入らざれば虎子を得ず」というところでしょうか。全部で19章から構成されているのですが、エヴェレストについては、第9-10章の2章だけです。山岳地帯だけでなく、フィジー諸島(第2章)・ソロモン諸島(第3章)といった海洋、そして南極(第12-14章)も含めた冒険人生です。第16章「あなたは幸運をもたらす」はネパールへの社会貢献に関連していますが、第17章「家族と遊ぶ」第18章「冒険がいっぱい」と続いて、最終章「何をなすべきか」で終わります。なんと言ってもヒラリーの人柄に触れ、その人生に対する姿勢にとても共感しました。第16章では、アメリカが引っ張る資本主義経済に対し悲観的な見解を綴ったりもしていますし、第17章では奥さん(ルイーズ)とともに3人の子供と冒険(ネパールとオーストラリア・バーズヴィルトラック)にでかける中での教育姿勢にも自然に対する思いがこめられています。訳者あとがきの最初を読むと、この本(原著)が出版された1975年の前年に、奥さんとお子さん1人(一番下のべリンダ)がカトマンズ近郊の飛行機事故で亡くなっていることが分かり、訳者曰く「天をうらんだ」。なお、一番上のピーターは、1990年にエヴェレストに登頂しているようです。【読了日:2017年8月2日】
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