岩波書店から1987年に出版された「現代の冒険 上;山・極地・河」(ちなみに残りは、下;海・空・洞窟・宇宙)の中の「山」部分を改題し、「同時代ライブラリー」シリーズに組み入れたものとのこと。本文の内容はアップデートなしのようですが、著者の序文は新しくなっています。
7つの章で構成:「アンナプルナ(エルゾーグ隊)」「エヴェレスト(ハント隊)」「チョー・オユー(ヘルベルト・ティッヒーとパサン・ダワ・ラマ)」「ボナッティの柱塔(ドリュ)」「ブロード・ピーク(ブール)」「アンナプルナ南壁(ボニントン隊)」「現代登山の超人(メスナー)」。それぞれ登山史の中でのエッポックメイキング的な登攀や登山家が主題になっています。中でも個人的には、ティッヒーの執念(凍傷で両手が全く使えなくなりながらも第1キャンプから再チャレンジして世界第6位チョー・オユーに初登頂)とこれを支えたパサンの超人的活躍(ナムチェバザールから3日間で距離50km、高度差4,000mを克服)が一番印象深いものでした。本書の特徴として、微妙な人間関係(軋轢や葛藤)を暴露している点があます。その典型としては、シプトンが1953年英国隊長から降ろされた背景、ブールの登山家としての下り坂での最期、メスナーの恋物語など。
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