とても読みやすい本で一気に読み終わった印象です。2つの章から構成されていて、第1章は「山から学んだこと」というタイトルでかつての(多くは厳しい)山行の中での経験をベースにした貴重な教訓が綴られています。他方、第2章は本書のタイトルと同じタイトルで、2012年3月に発症した腹膜ガンと戦い(付き合い)ながらも山に行くことをあくなきまでに追い求めて実践する姿が描かれています。具体的な治療(手術とその前後の抗がん剤投与)とその合間の講演や山行などのイベントの日程も明記されていて、副作用のある中、医師もあきれる驚くべき行動力です。親族の一部も含めて多くの関係者には闘病中であることはひた隠しにしていたようで、この本が出版されることで初めて知る人も多いとの記載もありました。また自分の残りの人生や葬式についての考えを披露している部分もあり、自分を看取るであろう亭主に向かって「オタオタせずに、頼むぜ!」の一言も。
これまでも田部井さんには好感を持っていましたが、この本を読み終わって、人間として心底ほれ込んでしまいました。繊細さとともに豪放さも兼ね備えていて、昔の言い方ならば「女にしておくにはもったいない」人物だと思います。福島県(三春町)出身ということで、東日本大震災後の社会貢献にも尽力し、『被災した東北の高校生を日本一の富士山へ』プロジェクトはまさにこの闘病生活の中で実現されたものであることがわかります。
なお、この本の後、2016年12月に「再発!それでもわたしは山に登る」なる続編も出版されているようなので、併せて読んでみます。
【読了日:2018年4月5日】
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