最近読んだ山の本 「雪煙をめざして」

昨年末から読み始めていた「雪煙をめざして」を読み終わりました。著者の加藤保男氏は1949年生まれで、兄・加藤滝男氏の影響を受けて山に登り始めています。第１章「穂高に通う」ではそんな駆けだしのころの様子が描かれていて、ある狭い頂きに日没後に到着してすぐさま下降に移る時、「『この山は何山なの』と一人に聞くと、『バカ！　槍だよ』といわれた」という話が出てきます。そして、これが槍ヶ岳東稜積雪期第四登だという落ちがついています。

その後の第２章からはすべて海外が舞台の活躍。前半はヨーロッパアルプスで、後半にはエベレストが２回とマナスルが２回でてきます。何と言っても、もともとの体力が凄いのか、8000mを越えて他のメンバーが脱落していくような状況でも孤軍奮闘している様がすさまじいです。

宮下秀樹氏の解説で、この本の出版記念会と併催されていた冬季エベレスト挑戦の壮行会の様子が紹介されており、著者はその冬季エベレスト初登後の下山中に行方不明になっています。