著者と編者と2人のお名前が挙がっているのは、次のような背景があるためのようです。1996年に三笠書房から発行された安川茂雄著の「谷川岳の霧と星」という原題のものがありましたが、これはもともと「岩と雪の悲劇」という全5巻のシリーズの第3巻だったそうです。シリーズのタイトルが欠落したままだと本書の内容が良く提示できていないだろうということから遠藤甲太氏が改題し、解説「安川茂雄と谷川岳」を付記した上でHeibonsha Libraryに収録したようです。
1966年に出版された本がベースですので、谷川岳の遭難記録としても、当然それより新しいものは含まれていません。実際、第一章「遭難事始め」では、昭和6〜10年(1931〜1935年)の遭難がレビューされています。第2章以降は、一つ一つの遭難事故をトピック的に紹介するような形式をとっていますが、最後の第6章は、安川氏が谷川岳一ノ倉沢を再訪し回顧するもので、ちょっと異質になっています。
東京登歩渓流会の杉本光作氏などが遭難救助側の重要人物として登場したりもしますので、その当たりの内容は、杉本氏の「私の山 谷川岳」で読んだ覚えがあるようなものでした。
安川茂雄氏は奥山章氏らと同時代を生きた方のようですが、「谷川岳研究」「回想の谷川岳」「近代日本登山史」などの著作により登山界に大きく貢献しているようでした。
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