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作品としての「すぎゆくアダモ」自身は、小学館ライブラリーに収録されている「あてのない絵はがき」にも掲載されていて、そちらで以前に読んだことがありました。少年アダモが、「鰻が山芋になるところへ行く」べく、カヤックに乗って川を遡り山上の湖に辿りつくというストーリィです。12章の文と12枚の線画から構成されています。
本書の特徴は、辻氏のこの作品を琴海倫(ことみりん)という方が、解説している後半の部分にあるようでして、その解説には30頁が費やされています。その内容は、辻氏の生い立ちや特に母親である「伊藤野枝」(女性運動家で若くして憲兵に虐殺された)、そして、もう一人、伊藤野枝と歳も近く似ていて非なる女性作家「吉野せい」とを織り交ぜて、独自の「すぎゆくアダモ」論を展開しているのです。おそらく、この琴海さんという方は、女性ではないでしょうか?
この難解な(?)作品を解説するのは意味があることかとは思いますが、実態としては、文学部の学生さんの卒業論文のような印象でして、大したものとは受け止められませんでした。だって、辻さんのもとの作品のレベルにはどう考えたってかないっこないじゃないですか。読者ひとりひとりの解釈があって良いはずですし。
なお、この出版社と解説者の組合わせで、「辻まことマジック」という本も出版されているようです。
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