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さて、読後感はと言うと、正直に言ってしまうと、私にはあまり良い印象を与えませんでした。本書は、自伝です。ご本人は半生記と表現されていますが、幼少から始まって、最後の節には遺書もどきの記述に至っていますので、実態は一生モンに見受けます。タイトルにもあるように、「45年も山と渓に遊んできて俺は幸せだったぞぉ」という自慢話の基調です。但し、記述としては、自己分析として「自己顕示欲が強い」「小賢しい」「運が良かっただけ」といった文章が散りばめられているので、ご本人も良く分かった上で、それでもさらにその路線で自伝が書きあがってしまったというわけですから、まさに性(さが)ですね。自費出版なら分かるけど・・・って思ってしまいました。同じみすず書房から出版されている志水哲也さんの半生記「生きるために登ってきた」の方がタイトルはガツガツしちゃって見えますが、内容はずっと好印象だったです。
これまでも高桑氏の著書をたくさん読んできましたので、前と同じような話題も多い中、幼少の頃の家族の話は初めてでしたし、白山書房の成り立ち、小泉共司氏の強烈な個性、故・池田知沙子さんの最期の状況などを知ることができたという価値はありました。そして、高桑氏は実は昔から作家になりたかった、という吐露も途中にあり、(自己主張が大好きな、愛すべき)目立ちたがり屋なんですね、きっと。「こんだけさんざん好き勝手に遊んで来たんだから、高桑さんの死に際はよっぽど不幸でないと割があわない」と山仲間がひやかした、という逸話(別の書での記述)を思い出した次第です。(2つの持病があるそうですが・・・)
なお、岩崎元郎氏(1945年生)をすでに70代に突入している先達に入れていましたが、2013年の時点では(そして今も)未だのはずです。
【読了日:2014年8月14日】
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