Inakaに収録されたThe Goat's diary(またはThe Goats' diary)には、ドーントらの六甲山行き記録が掲載されています。そこ中にOtters' Pond(またはOtter's Pond)を通過したという記録が何箇所かで見られます。otterは辞書によるとカワウソのことらしいので、Otters' Pondを石楠花山の東にある獺池に当てはめることができそうに思えます。
現在、獺池の傍にはドライブウエーが走っており、ドーントらの時代とは周辺の状況が大きく変化していることと思われます。また、獺池からゴルフ場付近にあったとされるドーントの別荘に向けて進むと、六甲山牧場付近を通過することになりますが、そこも当然大きく様子が変わっていることでしょう。
さて、The Goat's diaryを1913年から1918年の範囲で見ると、Otters' Pondの前後に表れる場所としてGreen Man Pathがあります。これは「思い出」では青山道と訳されています。このGreen Man Pathは、経路的にはドーントの別荘とOtters' Pondの間に存在するように記述されています。
もう一つは、20 Crossingsです。これはトエンティクロスに当たると思いますが、こちらは獺池より神戸寄りにあるように書かれています。
それでは1913年から1918年の範囲で、The Goat's diaryに書かれた記録のうち、獺池、青山道、トエンティクロスなどが出て来るものをいくつか拾いだして見ていきます。
・1918年04月01日の記録
8.15 a.m. Nunobiki Reservoir--Takaoyama. The Daunt Ridge N. to S.--Nagatani Pond--20 Crossings--Otters' Pond--Green Man Path to Rokkosan Rock at 1.50 p.m. Temp. 49°F. [...]
これは、神戸市街からドーントの別荘へ向うケースです。ドーントリッジ(南北が逆に思えます)から長谷池、トエンティクロス、獺池、青山道を経由し、Rock(ドーントの別荘)に着いたようです。
・1917年02月25日の記録
Nunobiki, 20 Crossings, Warren's Dale, Green Man, took track over ridge due north a few hundred yards past the Otters' Pond, dropped down a water-course into a deep valley, "The Goats' Crossings," the Ridge of the Thousand Pines, (another fierce climb), came out on Rokkosan just below Woolley's old house. Reached the Rock at 2.25 nearly six hours from Trikkidori. [...]
同じく別荘へのルートですが、Warren's Dale(ワーレン谷)、Green Man(青山)から獺池へ進んだようです。
・1917年01月03日の記録
[...] Reached Rokko via Parachute Path and Price's lot at 1.30 p.m. Home via Green Man path, Otters' Pond, New K.W.S. Xmass, 1916 Path, 20 Crossings, Daunt Ridge Crossing, Futatabi and Hunter's Gap.
Rokko(ドーントの別荘)から神戸市街へ向う例です。別荘から青山道、獺池、神戸徒歩会の新道を経由し、トエンティクロスに進んだようです。
他の例を含めて、神戸市街から見た場合、トエンティクロスを経由する場合は、トエンティクロス、獺池、青山道、ドーントの別荘の順に遠くなる位置関係にあるように記録されています。青山道の代わりに青山が出て来る場合は青山、獺池、ドーントの別荘の順に遠くなります。
でここからは、青山道の所在を勝手に想像するのですが、古い地図に阿弥陀塚道というものが見えています。地図の表記では、おおよそ獺池から阿弥陀塚を経て三国岩までの尾根筋の道のようです。ドーントの別荘と神戸市街への行き来のルートとして、別荘から尾根筋を西に向い、獺池から谷筋に降りてトエンティクロスへ進んだり、青山からワーレン谷を経てトエンティクロスへ進んだりしたことが想像できるので、阿弥陀塚道が青山道に相当するのではないかと思うようになりました。
ところで阿弥陀塚道を現在の地図に当てはめると、ドライブウエーの走っているところが近いように思われます。往時の雰囲気を味わうことはできないと思いますが、いつか獺池からドーントの別荘辺りまで、あるいはその逆を歩いてみたいと思っています。
※この日記の背景、典拠とした資料等については、2014年05月10日付け日記"INAKA Vol.1 "The Goat's diary" pt.1"(http://www.yamareco.com/modules/diary/24521-detail-72255)を参照いただくようお願いします。
2014年7月7日: タイトルを"INAKA Vol.9 "The Goat's diary" pt.1"から"INAKA Vol.9 "The Goats' diary" pt.1"に修正。
2014年7月7日: 本文の"The Goat's diary"を"The Goat's diary(またはThe Goats' diary)"に修正。
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