そんな天気に誘われ、遠野物語に出てくる釜石の仙盤山に登ってみました。
遠野物語32話に、猟師が追った白鹿がこの山に逃げ込んだので、
愛犬とともに千日山に籠もり、白鹿を撃ったことからこの山名になったようです。
物語では「仙盤山」ではなく、「千晩ヶ嶽」という山名で語られています。
また物語の冒頭に、山中の不思議な沼から流れる水のせいで谷が生臭く、
この山に入って帰って来た人は少ないと書かれています。
物語では怪しい山のように書かれていますが、実際は明るい山で、沢の流れも綺麗でした。
不法投棄を防ぐゲートを進むと、台風で破壊された林道を修復しているところでした。
この道を進んで行くと、熊鈴に驚いたのか鹿が二頭逃げて行くのが見えます。
尻が白いのでニホンジカなのでしょう、これが二頭登山道の先の方に逃げて行きます。
この二頭は時々現れて道の先に逃げいくので、まるでシカを追いながら登る感じです。
本物の鹿が出現すると、何か雰囲気が遠野物語の一場面みたいです。
登山道は途中から、地形図にない作業道を利用した道を登り、仙盤山と犬頭山の分岐がある広い尾根に出ました。
そこから山頂までは単調な林で、道迷いが心配なのでピンクテープを付け足しながら進みます。
山頂の手前には凄くオーラを感じる大岩があり、とても気になりました。
山頂に到着すると藪山プレートがあり、プレートには遠野物語と同じ「千晩ヶ嶽」の山名が書かれていました。
「千晩ヶ嶽」と「仙盤山」、山名からすれば「千晩ヶ嶽」の方がふさわしいような感じがします。
林の隙間から青空が見え、朝御飯を食べに寄った「すき家」で山好きのYさんにお会いしましたが、
Yさんの向った八幡平方面も天気が良さそうな感じです。
下山時に気になった大岩を見直すと鳥居があり、この岩は千盤神社の奥の宮でした。
猟師はこの岩の近くに千日籠もったのでしょうか。
この岩は、とても遠野物語を感じさせる岩です。
当初の計画では、午前中に仙盤山をピストンし、午後からカモメ森山に登る予定でした。
しかし、白鹿と戦って死んだ猟師の愛犬を葬った犬頭山に興味が湧き、誘惑に負けて登ることにしました。
山自体は普通の山でしたが、猟師はこの山を見て愛犬を思い出したのではないでしょうか。
この山は「忠義のワンコ」を葬った、大きな墓標のような気がします。
仙盤山に登るのであれば、やはり遠野物語を読むことをお勧めします。
他の山の話や山の怪異の話があるので、山好きの方なら結構楽しめると思います。
次のカモメ森山は、白沢遺跡駐車場からお気軽登山の予定でした。
しかし、現地に着いてみると、崖崩れで林道は通行止になっています。
道標を見ると白沢遺跡まで2.6キロ、時間は既に午後3時、本日の日没時間は午後5時52分です。
犬頭山に登らなければ、時間的に余裕があったかも知れませんが。
結局、日没時間を気にしながら山行となりましたが、何とか日没前に下山できました。
この山はコースに笹薮があるので、ダニの少ないこの時期を選んだのですが、
衣服を点検すると、やはりズボンに何匹かダニが付いていました。
結果的に昨日は三座登ることができましたが、最後のカモメ森山は急ぎの山行となりました。
けれども昨日は遠野物語の雰囲気を楽しめた、とてもいい山行となったと思います。
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