槍ヶ岳開山と天地明察を読んだ。
槍ヶ岳開山では、笠ヶ岳を再興した播隆上人が登山と宗教について次のように語っているのが印象的だった。
少し長くなるが引用する。
私は山へ登ることが瞑想に(精神統一に)近づくことのできる、もっとも容易な道のように思われました。山の頂に向って汗を流しながら一歩一歩を踏みしめていくときには、ただ山へ登ること以外は考えなくなります。心が澄み切ってまいります。登山と禅定とは同じようなものです。それは高い山へ登って見れば自然に分って来ることです。なにかしら、自分というものが山の気の中に解けこんでいって、自分がなんであるか、なぜ人間は死なねばならぬか、そういうむずかしい問題さえ、自然に山の気が教えてくれるようにさえ思われて来るのです。そのような境地は登山によって身を苦しめて得られるものではありません、登山はけっして苦行ではなく、それは悟りへの道標だと思います。
天地明察は、釣り友K氏が、関孝和なんかが出てきて面白かったと教えてくれたので、早速読んでみた。
理系の碁好きとしては、たまらない小説であった。
本因坊道策は、松尾芭蕉のような爺さんを想像していたが、勝負に燃える青年道策が描かれているのも面白かった。
読んでみて、読後感がこれほどさわやかになった本は少ない。
養老猛も解説で、久しぶりに気持ちのいい本を読んだといっている。
こんな本を探してジュンク堂や紀伊国屋を徘徊しているが、なかなか出会えない。
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