土曜日、中央線の電車に座って、ボンヤリ今日履いてきた登山靴を眺めていました。スカルパ・ミラージュ、景信山へ行くには明らかにオーバースペックの靴です。これを買ったときには、こころの中では思っていました。この靴は本当は必要ないのだが、そんな山へはもう行かないだろうから、と
履く機会もないような靴を何故買ったのだろう、ただの衝動買いだけだったのだろうか、もしかしたらまだ夢を見たかったのだろうか、新しい靴を手許に置いておけばいつかはそれを履いて再び颯爽と頂上に立つ日が来るという夢を
そんなことを考えていると次から次へと靴の思い出が湧いてきます。
はじめて登山靴を買ったのは、銀座松屋デパートのアウトドアー売場。登山用品店などあること自体知らなかった頃です。ちょっと不安なので家内に付いてきて貰い、店員に相談しながら、あれこれ親切に勧められるままに、靴は一番頑丈なもの、ザックは便利そうな2気室のものを買いました。わくわくしながら大きな紙袋を下げて帰り、さあ、これで自分も登山家だ、行くぞ! その時の高揚感は今でも懐かしく思い出します。これが私の山行きのはじまり、平成8年10月、58歳の時でした。
それから長い間その靴にお世話になりましたが、やがて買い換え時が来ました。まだ使用出来ないことはないのですが、ある程度山にも慣れ、雑誌を眺めていると物欲もふつふつと湧いてきたので、平成21年に思い切って新しい靴を買いました。しかし、それからは、受難の連続。あれこれメーカーを替えては、つま先に当たる、貧弱過ぎる、色がよくないなどの理由をつけて2・3度履いただけで処分することを繰り返し、大枚はたいたあとに結局手許に残った靴が、スカルパのクリスタロとカイラッシュの2足
これはどちらもよい靴で、交互に履いて楽しんできました。そのうち軽い方のカイラッシュがへたってきたので、その後任の靴をどうしようかとあちこちの店を見て回っているうち、新宿石井スポーツでスカルパ・ミラージュが目に付きました。ミラージュは派手なオレンジ色と思い込んでいたのに、これは私の好きなグリーンです。その落ち着いた感じが上品でとてもよい雰囲気です。オレンジは年寄りに合わないし、ブラウンでは気分が冴えませんが、これならピッタリ、一目惚れです。
でも、家に持ち帰ってクリスタロと2足並べてみると、やはり用途の同じ靴、それはわかっていたので、ミラージュは大事に靴棚に並べ、たまに天気の良い日に近くの山へ汚れないようそっと歩くだけにしました。
肝心のカイラッシュの後任は、アゾロ。この靴は、ずっと以前登山雑誌で目にして以来、いつか買いたいと思っていた靴ですが、いつの間にか雑誌からも店頭からも消え去りどうしたのだろうと思っていたら、数年前雑誌でアゾロの広告写真を見かけました。しかし、雑誌に載っていたアゾロはデザイン的に全く気に入らず、あきらめていました。ところが、2年前、さかいやスポーツ靴売場で目にしたアゾロは、濃いグレーに黄色のラインがすっきり入ったシックなものでとてもデザインが素敵です。履き心地もぴったり。即購入し、カイラッシュが剥離を起こし、クリスタロも老朽化して、両方とも退任した後は、もっぱらアゾロが頑張っています。
ミラージュの出番はずーっとなかったのですが、今年の新年の山歩きに際し、ひとつ新しい気分でと思い立ち、久し振りに履いてみました。うーん、この足の保護され具合、改めて気分がアップします。ここではなくて、もっと高い山で使いたいとの思いがわき上がってきます。この靴を履いて北アルプスのゴツゴツした尾根を歩く自分の姿が見えるようです。あの山の感覚が懐かしく蘇ります。80歳になったら、とにかく出かけてみようか、せめて涸沢まででも・・・
そんな思い出に浸っていたら、もう高尾駅。
さて、バス停へ、と目をやったら、あれ、長蛇の列、ジジババばっかり(自分はその上なのに)、バスに乗れない。そう梅祭りだったのです。来るんじゃなかった、また脳細胞が1個欠落だ、というのも毎年のこと
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