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ただし一昨年の12月末を最後にして脚が遠いていますから、もう過去形かもしれません。老人には結構きついのでつい敬遠していたのでしょう。
でも放っておけばいつの間にか好きな山にも逃げられると思い、今年の8月26日あの猛暑のなか思い切って出掛けました。一抹の不安もあり、念のため娘を同行させましたが、結果は惨めな撤退に終わりました。
まさに惨めな山行きでした。早々に雑事場の平で汗まみれになって長々とベンチに横たわり、次の三本松ベンチでも同じ、堀山の家では撤退を勧められましたが、年寄りの頑固さから意地になって登り続け、茅場の平ベンチでまたもダウンして長々と横たわった後、気力を振り絞り這いつくばるようにして花立山荘へ辿り着きました。即刻氷にありつき生き返りましたが、この先に進めば危険ゾーンに突入することは目に見えています。娘の助言を素直に受け入れここで撤退しました。大倉9時発、2時30分撤退決定。地獄の山行きでした。
撤退の原因は、猛暑と当日の体調不良だと思い込みたいところですが、それにしてもやはり体力の衰えが心配になります。最近は、身体に優しいところばかり歩いているし。
そこで、天気も良く体調も安定していた一昨日の日曜日に再挑戦してみました。今回は、単独行。結果は成功です。自分専用のCTにピッタリ合った時間で歩けました。それが嬉しいです。数年前に作成し直したCT表なので、その頃と比べて体力が衰えていないことが証明されたことになり、その点が嬉しいです。
CTと言えば、山と高原地図に記載されているCTを思い浮かべますが、私のCTは、全く別物です。地図のCTは、自分の実力とはかけ離れているし区間も大まかなので自分には実用的でないと思い、工夫しながら自分専用のCT表を作ってみました。大倉BSから塔の岳頂上までの間をポイント毎に細かく区分し、その一区分毎の所要時間を自分の歩行経験から無理ない範囲で測定し、全体を細かく分単位で作成しました。
大倉尾根を歩くときは必ずこのCT表をポケットに入れて携行し、区間毎に実際掛かった時間とCT表の時間を見比べてペースを確認します。何分早いか遅いかすぐわかります。例えば、お恥ずかしいですが、歩き出しの標準CTは、
大倉〜23分〜丹沢ベース〜12分〜観音茶屋〜6分〜左右分岐〜19分〜見晴茶屋
という具合で、最初から区間毎に慎重にペースを調整します。早すぎると後半ばてるし、遅すぎるとそのうちだらだらしてきます。どんどん追い抜かれますが、それは気にしません。1分のずれも慎重に修正してゆきます。長い区間だとため息が出ますが、このCT表では区間が短いためちょっとした先の次のポイントまでのことだけ考えればいいので、時間が短くて焦る必要もなく、結果的に精神的な疲労度が少ないように感じます。まあ、こんなものなくともホームコースなら身体で覚えているのが普通でしょうが、年をとるとその身体が当てにならないので、客観的なデータに依存しているわけです。
今回の山行きで特に嬉しかったのは、身体がこのCTのペースをまだ覚えてくれていたことで、こんなペースでよい筈だがと歩いて行ったら、すべての区間でCTに1分と狂わず当てはまったことです。自分はまだまだ大丈夫と自信を持てたこと、これが嬉しかったのです。
ちなみに全コースを書き出してみると、見晴茶屋以降は、次のとおりです。
見晴茶屋〜30〜一本松ベンチ〜18〜駒止茶屋〜24〜堀山の家〜29〜茅場の平ベンチ〜24〜階段下〜12〜花立山荘〜20〜金冷やし〜25〜頂上
登り全行程で4時間2分、ゆるゆるですね。休憩を入れて登り4時間30分、下り3時間20分、出発前の準備時間10分を含めて合計8時間、一日の労働時間と同じというのも・・・。
ところで、余計なことですが、8月の散々な山行きの時にちょっとした出来事がありました。
雑事場の平に着いた途端、もう疲れて疲れて水を飲むなりベンチにゴロンと倒れ込んでしまったのですが、しばらくして起き上がると、ハア、ハア、大きく息を吐きながら下から登山者が現れ、ベンチに倒れ込むなり水をゴクゴク飲み始めました。ああ、自分の仲間が来た、と何故か安心してしまうのはどうゆう風な心理なのでしょうか。
それ以後、三本松ベンチで休憩中に追いつかれ、駒止山荘前の急階段でも追い付かれ、少し焦ったりしながらなんとか堀山の家には先着でき、うふふふふ、勝ちましたよ、お先に休憩など自分勝手な優越感に浸ります。馬鹿ですね。間もなく待ち人登場、意外にも疲労困憊した風には見受けられません。でも腰を下ろすなり仲間から「水ばっかり飲んでいると取り上げて行ってしまうぞ」と叱咤激励され、今にも出発しそうです。こちらも絶望的な状況に陥っていて、娘がしきりに撤退を勧めますが、こうなったら負けるわけにはいきません。どうにか足を進めて花立山荘には先に到着しました。氷を食べながら、まだかなと待っていましたが、一向に姿を見せません。さては知らぬ間に頂上へ向かわれてしまったか、若い人には勝てないや、と残念に思い、あの人はどうしたと娘に訊いたら、堀山の家を出発するときに仲間からもう帰れと言われて置いていかれたよ、との返事。あれあれ、それは気が付かなかった。本人の安全にはそれでよかったのだが、と人ごとながら何故かほっとしました。仲間の人はついさっき頂上から戻ってきて下山して行ったばかりだそうです。そんないきさつがあって、失敗山行きも今となっては楽しい思い出になりました。
こんな苦しいことや楽しいこと、人生の一端、いつまで続けることができるでしょうか。
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