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2020年10月29日 23:26老人と山全体に公開

恐る恐る塔の岳へ出掛けてみた

ここのところ良い天気が続いて嬉しい。快晴の日曜日、丹沢の塔の岳へ出掛けた。

マスクを付けて街を歩くと息苦しくて死にそうだ。地下鉄の階段を登れない。2、3歩登っては小休止、地上に出てから堪らずマスクを外し、ハアハアする。酸素が足りない。なんでこんなに弱くなったのだろう。あんなに元気に山を歩いていた自分がこんな状態になるなんて情けない。大分心臓が弱っているのではないか、もう先は短い、気分は落ち込むばかりだった。そんな日が延々と続いて、ようやく日曜日は快晴との予報が出た。

塔の岳へ行きたい、大倉尾根を登りたい。

でも今年は塔の岳に1回も登っていない。今の自分の体調からして頂上まで行けるとは思えない。まあ、それでもいい、とにかく大倉尾根を登ろう、行けるところまで行って苦しくなったら引き返そう、心臓の音には注意深く耳を澄まして歩こう。

そんなことを考えながら前夜はいつもより早めに就寝した。楽しみが脳を支配したためかすぐ睡眠に入り、いつもの夜間頻尿もなく朝4時半にすっと目覚めた。なにかしら体調がすっきりしている。それで予定を早めそのまま起床し、いそいそと家を出た。心が浮き立つ。

よいことは続く、自分のメモにはJR新宿駅着5時45分、小田急発5時45分とあるのに、中央線ホームを駆け出した登山者の後を追ったらこの乗り換えができてしまった。おかげで渋沢駅では待ち時間なく朝の2番バスに乗ることができた。こんな早いバスは初めて、うまくいくかも

大倉では、大勢の皆さんが準備にいそしんでいる。全員これからの挑戦にやや緊張しながらニコニコ顔、自分もその中に混じってあれこれ支度をした。運動会が始まる前か、マラソンのスタート前かのようだ。この雰囲気がたまらない。


この大倉尾根はいいところだ、苦しい階段と美しい登山道が交互にあり、階段だらけでバカ尾根と言われるけれども本当にいろいろ楽しめる。

それにここは若者が圧倒的に多い、体力のある登山者に混じって年寄りの自分も気持ちが若返る。

大倉から見晴小屋までは意識して超スローなお散歩ペース、堀山の家までは、ショッキングな事故に出会ったため、上の空で歩き、その先花立山荘への難所は大勢の登山者の勢いに押されて元気に登れた。この山荘まで来ればもう大丈夫、いつものことだがここから頂上まではなんとなく行けてしまう。午後1時、頂上到着。7時50分スタートだから5時間10分も掛ったが、80才過ぎの老人にとっては、登れただけでもよしとしよう。予想しない成功をおさめることができた。

下山は長蛇の列に追い立てられ、足が棒になってしまった。先日のトオノクボから奥多摩へ降りた時と同じ、膝はともかく筋肉が壊れてしまった。

そう、大丈夫、お前は大丈夫、心臓も全く異常をきたさなかったではないか、気持ちが落ち込んでいるだけだ、しっかりしろ、帰りの電車の中でひとり自分に言い聞かせた。そしてすぐに寝込んでしまい、気が付いたら新宿駅に着いていた。乗客がぞろぞろ降りるところだったので、あやうくいつかみたいに誰かに揺り起こされるところだった。

7時半帰宅、お風呂のあとのビールを前にしみじみと一日の幸福感を味わい、布団に入ってからも何度も何度もその日の山行きのあれこれを思い起こし、平和な眠りについた。

(事故)
見晴小屋の先の岩陰のところに差し掛かったとき、若者が駆け下りてきて、「この先に人が倒れているので左側を歩いて下さい。」と大声で叫びながら過ぎ去った。どうしたのかと登って行ったら、階段道の途中に人垣ができ、倒れた人に懸命の心臓マッサージを施していた。間もなくヘリコプターが飛来したが、上方は樹木の枝葉に覆われてロープで降りることができないらしい。すぐ病院へ搬送すれば助かるだろうにといりいりしながら推移を眺めていたが、ヘリコプターは現場から離れた上空でホバリングしているだけで一向に事態が進展しない。心残りだが現場を離れた。その後どうなったのだろう。自分が心不全になってもおかしくない状態なのに、なんか自分の身代わりになってもらったような気がして落ち着かない。ぜひ助かっていて下さい。

写真をと・・・あれ・・・PCへコピーしたつもりが、フォルダの中がカラッポ、カメラの中も消去済み、せっかく年賀状用の写真も撮ってたのに、残念。最近はこんなことばかりだ。 
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