本年の初登り、どうしようかちょっと迷った。
行くべきか、行かざるべきか、この点はあっさり行くと決めた。緊急事態宣言が出されているけれども、電車・バスの中でマスクをして居眠りしている分にはコロナ感染はないだろうと考えた。
さて、どこへ行くかに迷った。本来なら定番の景信山だが、ここは昨年の登り納めで歩いたばかりだし、また新年にそこを登るというのも進歩がない気がする。かといって遠くに出かけるのも億劫だ。新しいルートに踏み込んで新年早々事故でも起こしたらみっともないし、そもそも地図を眺めても新しいルートが見つからない。
そこで先月初めて歩いた「イタドリ沢の頭」と「矢の音」に決めた。先月の日記に書いたそのときは、藤野駅から「イタドリ沢の頭」〜「矢の音」へと西から東へ横断し、「矢の音」から明王峠へ登って景信山まで歩いた。その翌週には相模湖から栃谷へ向かって付近の道も含めながら縦断した。馴染みになったのでまた足を運びたくなった。それで再び「イタドリ沢の頭」から「矢の音」へ歩き、今回は帰りを相模湖へ下ろうと計画した。
1月9日9時40分藤野駅を出発した。前回同様、登山口でまずバナナを食べて登山開始、猟師には出会わなかった。先月歩いたばかりなので記憶が新しく、ストレスなくのんびりと進み、余裕をもって「イタドリ沢の頭」を過ぎ、明王峠への巻き道に差し掛かった。前回は、「矢の音」へ直進した。
今回は左へ巻き道を進んだ。「矢の音」へは遠回りになるが、一応ルートを潰しておこうという考えだ。しかし進んで行くと道は台風の影響で斜面が崩れ、細くなったトラバース道が斜めに傾き落ち葉が積もって足元が危ない、下は急斜面なのでずり落ちたら大けが必至、とても怖い道だった。本道に合流したときはほっとした。これが今日のトラブルの1番目だった。
巻道が明王峠〜相模湖の本道に合流してから相模湖方向へすぐの分岐をわずかに右に入り「矢の音」に到着。冷たい風のなか寒かったのでそそくさとチキンラーメンを食べ、残った汁を用意した空のペットボトルへ移そうとしたら、そのペットボトルがいくら探しても見つからない。昨夜フトンに入ってから、そうそうと思い出しわざわざ起き上がってザックに入れたのだから持参したことは間違いない。途中でサイドポケットに移し替えて落としたのかも、仕方がないので空になった保温ボトルに水を移し替えてそのあとのボトルへ汁を入れた。これは予定外のトラブルだった。
さて,あとは相模湖駅へ向けて下るだけ、大分以前だが数回通ったことがあるので気が楽だ。
さっき来た道を本道へ戻ろうとしたのだが、足元に「大平小屋」と書かれた小さな標識が目に付いた。どこだろうと地図を見てみたら「矢の音」から下の方の本道のところに「大平」という地名が載っていたので、ああ、合流するんだと簡単に考え下りて行った。これが大変、あまりの急坂に悲鳴をあげた。年寄りには無理、ずるずる足が滑って転げ落ちそう、そのことよりも、道が暗い森の中へまっしぐらに急降下しているので本当に合流するのかどうか不安になってきた。大分下ってから引き返すのは大変だ、まだ「矢の音」が見えるうちにと思い引き返し始めた。と、上から若者がストックを上手に使って降りてきた。こんなところで人に出会うとは意外、尋ねてみたら本道に合流するとのこと、少し話をしたが、年寄りがわけのわからないことを言ってここでなにをさ迷っているのかと不審顔を残してがんがん下って行った。すごいスピードだ、ちょっと思案したが、ルートがOKならまあいいかと、とにかく用心しながら行けば大丈夫だろうと考え、木や枝に掴まり念には念を入れて用心しながら下りなんとか本道の合流地点まで降りることができた。それにしてもこんな激下りは予想外だ。老人危機脱出というところか。こうと分かっていれば進入しなかったのに、本日のトラブルの3番目だ。
大平小屋は自分の記憶にはなかったが、以前からあったのだろうか、など考えながら楽しくなくなってきた道を面白くない気持ちで歩いていたら、「クーン、クーン」というような動物の鳴き声が耳に入って来た。進むに従い段々大きくなった。鳥の鳴き声にしては妙だし、犬を連れた人が前方を歩いているのかなと思っていたら、いきなり少し先の藪の中から「ウー、ウー」と威嚇するような獣の唸り声が上がった、「ウワ!、熊だ、!」、相模湖にはクマが出るという頭になっていたのでパニックに陥った。手に持っていた鈴をあわてて大きく振り鳴らし、来た道を戻り、誰か人が来てくれないかとしばらく待ってみた。だけどこうゆうときに限って誰も来ない。クーンという鳴き声が大分遠ざかり、時々聞こえた唸り声がしばらく途切れたころを見計らって鈴を振り回しながら恐々その場所に近づき、藪の中めがけて鈴を激しく打ち鳴らし走るように通過した。あれは熊だったのだろうか、猪だったのだろうか、いずれにしろ今日のトラブル4番目だ。
急な坂道に難儀しながらも相模湖駅に到着したときは本当にほっとした。こうゆう安堵感は久しぶりのことだ。
と思っていたら、今日の最後のトラブルが待っていた。高尾行き電車が車両故障のため30分遅れるとのこと、いつもならいいですよ、いつもなら、でもこんなに寒さが厳しいのにホームの待合室の中はドアー開けっ放しで寒風がびゅうびゅう吹き抜けていく始末、コロナに感染する前に身体が凍って心臓が止まってしまう、他の乗客と一緒に寒さに震えて電車を待った。ようやく電車が現れ車内に入っときはほっとした。今日5番目のトラブルだが、このトラブルが一番堪えた。
ということで、本年の初歩きは、小さなトラブルの連続だった。これは一体何を意味するのだろう?
1番目の嫌らしい巻き道・・・取引先の会社が台風(コロナ)のため崩れる、だがなんとか
細々と残って一緒に歩く
2番目のペットボトルの紛失・・・お金を失う、だが代わりのもので間に合う(株の暴騰)
3番目の激下り・・・株の急落、だが結局は落ち着くところに落ち着く
4番目の獣の唸り声・・・大小の病魔が襲う、だが忍耐強く切り抜ける
5番目の寒風・・・懐が寒くなる、耐えきれなくなったころ、援助がくる
家に帰って暖かいお風呂に入り、妻の用意した暖かいおでんを食べ、うつらうつら妙な占いを勝手に考え出した。久しぶりにビールを飲んで酔っ払ったか、ゴロン・・・グーグー・・・夢の中へ・・・これが初登りのいきさつとは、幸福なもんだ
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