本来なら今日は、前回の日記に書いた景信山撤退の雪辱を果たすべき週末なのだが、このコロナ騒ぎのなか妻を誘って日比谷シャンテで映画を観てきた。
「モロッコ、彼女たちの朝」という映画
お話は、大きなお腹を抱えた未婚のホームレス妊婦が、仕方なしに泊めてくれたパン店の女主人やその小さな娘と次第に折り合いをつけ、やがて出産した赤ん坊をどうするか、というシリアスな内容なのだが、下手に嫌なシーンもなく、演技力のある女優2人の力で引き締まった形で進んでゆく。モロッコでもこうゆう映画が製作されているのかとちょっと意外にも思った。
オギャー、オギャーと泣く赤ん坊をベッドに放ったまま、部屋の隅からじっと見つめる女優の暗い目の表情がなんともいえない。悩みのあまり発狂するのかと思ったら、やはり胸にやさしく抱いて母乳を与る、など未婚の母の悩みがひしひしと伝わってくる。
子供に罪はない、偏見は捨てるべきだ、だから父なし子など産むべきでない、など何らかの主張が明示されるわけではない。最後は女性が赤ん坊を抱いて・・・その結末がどうなるかは観た人の判断に任される。ここがこの映画の一番心憎いところだ。この種の映画にありがちな暗さがない。
女店主に求婚を迫る粉屋の息子やお祭りに店先にやって来るお客やもの売りなどいかにも素朴で面白い。
エンデイングに流れるモロッコの音楽がとてもよかった。リズム感ある現代の曲にアラブ風の味付けがされ、モロッコの歌謡曲はこんなものかとちょっと意外だった。
モロッコにはちょっとした思い入れがある。20年近く前に子育てが終わり、初めてヨーロッパ旅行へ出かけた先がモロッコだった。カサブランカのあの懐かしい街中の雰囲気を味わってみたくて山へ行く代わりにこの映画を観たのだが、久しぶりにきちんとした映画を観れてよかった。
山の話でなくて申し訳ない。
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