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谷川岳は、登山を始めた頃はじめて登った高い山だ。日本晴れのもと、平標山へ遥かに続く山並み、苗場山の異様な山容、周囲の素晴らしい景色は今も心の中にしっかりと焼き付けられている。
その後あちこちのもっと高い山へ出かけたが、谷川岳でのあの感動は、初心者での体験なのでほかの山とはちょっと別種の感じがする。
その後いつの間にかこの年になってしまい、最近もう一度あの感動の景色を眺めたいと思うようになった。山をよちよち歩き始めた頃の思い出にもう一度帰りたいのだろうか。高齢になると何につけ昔に帰りたい思いが湧いてくるようだ。
好天がしばらく続いた間は、仕事や病院の都合で出かけることができずじりじりしていたが、先週末ようやくフリーになった。土曜日の朝、みなかみ町の日曜日の天気予報を調べたら、12時と3時が晴れマーク、前後は曇り、頂上に着くのはどうせ12時過だからこれなら文句ない。十分OKだ。ワクワクしながら土曜日一日かけて準備した。みどりの窓口で「大人の休日倶楽部」を使って上毛高原駅までの新幹線切符を買った。高齢者は3割引きになるので助かる。
上毛高原駅では登山者がどっと降り、バスは2台運行だった。気持ちが昂る。天神平のロープウエイの中から眺めたときは青空が少し見え、これならと期待が高まった。
だが、駄目だった。登るにつれてガスが立ち込めてきた。熊穴沢避難小屋に着いた頃にはもうこの状態で頂上へ着いても望みは全くないので引き返そうかと思ったりしたが、みなさん頑張って進んで行くのに自分だけ撤退するのは卑怯な振舞いのような気がして自分も行列に続いて行った。なんか黙々と戦場に赴く兵隊のようだ。
肩の小屋へ着いたときは12時を廻っていたが、ガスのなか風が強く吹きつけ、お日様マークどころでなかった。寒い、騙された。衰えた駄馬にむち打ちながらあえぎあえぎ登ってきたのに、本当に騙された。最近の天気予報は当てにならないとわかっていたが、それでも望みを繋いで出かけてきたのに
山で2回目となるレインウエアーを着用したが、使用できる機会があってよかった、高い買い物だからもとをとらないと。頂上で昼食をとり早々に下山にかかった。
天狗の溜まり場と熊穴沢避難小屋の間は、大渋滞だった。歩く時間と立ち止っている時間が同じくらい、数か所ある鎖場でつかえるのだろう、そこを過ぎるとたちまち渋滞は解消、車の渋滞と全く同じだ。だれか道を譲らない頑固な高齢者がいるためかとも考えたりしたが、そうでなくてよかった。それに自分が渋滞の原因にならなくてよかった。必死に頑張ったから
天神平に着いたときは小雨が降り始めた。だけどケーブルカーに乗ったからもう安心、ほっとした。こんな天気の中、よく頂上まで登ったものだ、物好きだな、よく身体がもったものだ、いろいろと、そのうちなんか充足感が湧いてきた。まあ天気は外れたけど、もうこの山へ来る機会はないと思うけど(いや、ひょっとして・・)、この1日は決して無駄ではなかった。この日のことも記憶のページに書き加えられ、夜半に目覚めて眠れない時など折に触れて思い出すことになる。やれやれ
写真1 歩き出しはよく見えた
写真2 頂上はガスで何も見えない
写真3 戻ってきたときの天神平ロープウエイ駅
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