それはとも角、山とは関係のないことでショッキングな事実を知ってびっくりした。
正丸駅を出て間もなく「本邦帝王切開術発祥の地」なる場所に差し掛かった。予想とおり国道わきの広場にそれらしき石碑が立っていた。習慣的に写真を撮り、いつもは碑文なぞあまり読まないのだが、時間に余裕もあったので何気に読み始めた。
「嘉永5年・・・・」
江戸時代のことか、すごいな、嘉永って幕末のどのくらい前だろう、蘭学事始めは教科書で習ったことがあるが、あれより前だろうか、などと無知なまま読み続けていくうちにその内容にすっかり夢中になった。
村の産婦が出産に苦しみ、このままでは母体も助からないとなった時に、近在の医師2名が帝王切開の術を施し、なんとか産婦を救ったという話
時代は江戸時代の嘉永5年、
場所は山中の農家、
医師は近郷の医師2名
麻酔はなし
こんな状況下でオランダ医学の翻訳書を頼りにメスを持って苦しむ産婦の子宮を切り開く、なんて恐ろしい‼ 血の海だろうに、用具はどうしたのだろう。
痛みの余り発せられる産婦の悲鳴、夫や両親のおろおろする姿、息を詰めて成り行きを見守る村人、現場の状況が目に見えるようだ。
手術は成功し、産婦は困難な術後をなんとか乗り切り、88歳まで長生きしたという。奇跡的に素晴らしいことだ(帰宅後調べたら、胎児は手術前に子宮内ですでに死亡していたとのこと)。
なお、この後2度目の帝王切開術が行われたのは、27年後の明治12年のことだという。
産婦の容態が切羽詰まっていたとはいえ、江戸時代の在郷の医師が、オランダ医学の翻訳書を頼りにはじめて人体にメスを入れるとは、よほどの勇気がなければ到底できることではない。感動してしまった。
こうゆう話は是非テレビでドラマ化してほしい、NHKにしっかりやってほしい。そのときの配役は、・・・ここから想像が膨らみ、いつしか夢の中へ・・・・まず医師は松重豊だな、それに若手の医師を1人付けて、産婦役は、・・多部未華子がいいな(一番好きな女優だし、でなければ北川景子もいいなあ、どっちにしよう)、両親役は・・十三人に出演している年配の役者がいいと思うけど、みんな上手だし、兄弟や村民役は・・・・・ドラマの始まりは、まず多部未華子の嫁入りのシーンから始まるのがいい(当時の祝言のシーンを考証しっかりして盛大にやってほしい)、妊娠を告げられて喜ぶやさしい夫や舅たちの笑顔、そして一転・・・・晩年も・・・そんなことをあれこれと勝手に想像していたらいつの間にか長い長い舗装林道が終わって「高麗川源流の地」に着いていた。歩きながら楽しい夢を見ていた。
ここから源流に沿って山の中へ入るのだが、静かな森のわずかな流れのなかに高校生4・5名が入り込んで生息する小さな生物を一生懸命捕っていた。清流は濁り源流地が痛々しい。うっとりと夢から覚めた安らかな気持ちにちょっと棘が刺さった。もう夢を見続けることはできなかった。
写真1 本邦帝王切開術発祥の地 碑文も撮ったのだがうまくゆかな
かった
写真2 高麗川源流の奥
写真3 〇〇山の頂上 現地の山頂標識は、「ツツジ山」
山と高原地図では、「横見山」(二子山)
(二タ子山)
登山詳細図では、「刈場坂山」
横見山は、刈場坂峠の西側のピーク
なお、ツツジ山は両方の地図とも〇〇山の南に位置する山として記載(大小2つ)されている。みんなてんでんばらばら、なんでこうなっているのだろう。わけがわからない。
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