コロナとならばどこまでも

コロナといっても勿論今流行っている感染症のことではない。そんなものとどこまでも一緒に行きたくない。ここでいうコロナは、若い人は知らないけれども、トヨタの昔の乗用車のこと

テレビで田宮二郎と白川由美がペアで白いコロナの横に立ち、「コロナとならばどこまでも・・」としきりに宣伝していた。贅沢でもなく見劣りすることもなく颯爽とした感じだった。

それを眺めて、自分もいつかはまだ若くてきれいだった妻を横に乗せて高速道を颯爽と走ってみたいと憧れた。当時は、狭い団地に住み小さい車を何とか手に入れるのが精いっぱいの生活だった。


「３月に６ケ月の点検になりますけど・・・」
今日トヨタから電話が来た。だけど前回の点検からほとんど乗ってない。点検も何も必要ないのだが、３０分で済むというので仕方がない、ＯＫした。
「その次は車検になりますが」・・一呼吸おいて・・「どうされますかね」
どうされますかね、とはどうゆうこと？　なにか奥歯にものが挟まったような言い方に聞こえた。

ははーん、もう年齢的に運転はやめたらどうですかという意味かな、高齢者がまた異常な事故を起こしたばかりだし、その点を考えてくれということか、心配してくれてありがとう、そして車検は金が掛かるからもしその前に車を処分するなら当店へという営業攻勢もかな、そう推察した。

毎月マンションの駐車料が３万円を超えているし、税金や保険料、車検料など維持費が大変だ。でも自分にはまだなんとか稼ぎがある、それがあるうちは手放したくない。あの田宮二郎と白川由美のＣＭイメージを抱えていたい。
「車検やりますよ。」そう答えておいた。トヨタの社員も高齢者相手にハラハラだろう。


コロナを買ったのは３０年以上前だったと思う。それ以来乗っているが、現在は「コロナ」という名前ではなく、「プレミオ」という名前に変っている。誰も知らないだろう。完全ガソリ車で燃費が悪い、リッター１３キロくらい、環境に悪いがなにせ乗らないのでそう後ろめたいこともない。昨年は正月に１度満タンにしたら、次は今年の正月の給油で余裕だった。

昔ながらの４ドアセダンでスタイルが上品だ、乗り心地も良いし運転もしやすい、老人には大変しっくりくる（写真のパンフレット）。しかしこの機種はもう歯医者になるらしい、いや製造中止らしい。最後の１本がなくなる。
（カリーナはどうなったのだろう）


この車での最後の山行は、２０１９年の秋、奥多摩鴨沢の駐車場に停めて高丸山へ登った時だと記憶している。もう一度頑張ってみようか、周りの雑音に委縮してばかりいるのも楽しくないし、とも思うが、事故も怖いし、どうしたものだろう。縮こまって自分で老化を進めるのも考えものだし、迷ってしまう。