「ちょっと、あの食堂に入ると遭難するよ!」
そう言われても意味不明だ
「滑落しそうだよ。怖いよ。」
そんな話をすると人はますますわからない顔をする。
でも自分の好みにぴったりなので、しばしばランチに行く。
ちょっと大きな地震がくれば壊れそうな古い木造家屋、肩の幅くらいの狭い階段を上るのだが、妙に急なうえ踏板に余裕がない、岩場をつま先で登るようだ、踵が空に浮く、老人にとってバランスをとるのが難しい、ロープがないと危ない、でもまさかとらロープを設置するわけにもゆかないらしく、頑丈な手すりがついている。古めいた建物の中でそれだけつやつやと輝いている。みんな手すりに掴まるのだ。自分もしっかりそれに掴まり身体をやや斜め向きにしながら滑落しないよう登山の心構えでゆっくり上がってゆく。実際マジで危ない。バランスを崩したら階段を転げ落ちる。2階からさらに上の食堂入口に辿り着いて、ああ、やれやれ、登頂成功!ふーと息を吐く。これは、最近とみにバランス力の衰えた自分にとって大袈裟な話ではない。もともと老人が上がるのは無理、だからこの食堂の客に年配者はほとんどいない。行儀のよい若者がほとんどだ。
それでも通うのは、昔ながらのしっかりした味(昭和の味)、ごまかしがなく安心して食べられるからだ。
下りは登りより用心しないといけない、とにかく手すりに掴まりそろりそろりと足を降ろす。先に踊り場に立った若者が、「怖いわー」と言いながらおぼつかない足取りで下ってくる娘さんを心配そうに待つシーンも時々見かける。道路へ出て、やーれやれ、解放感と充実感を味わう。これって無事下山した時と同じでないかといつも思う。
どこにある店? 何の料理? 話したいけど、それは・・・ちょっと秘密
ああ、今日も美味しかった。こんな自己満足、書いてもしょうがないけど、天候が悪くて山へ行けないので憂さ晴らし、すみません。
写真は遠慮しておきます。
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