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大腸の検査はこれまで何度も受けてきた。2018年11月に検査を受けたとき、前ガン状態だと思うので早く切除したほうがいいよ、と言われた。画面を見たら何か笠が白くて平べったく茎が汚く赤っぽいキノコが腸壁からニューと生えていた。うわー、気持ち悪い、背筋が寒くなった。
ところでこの検査を予約した際に、検査前日の昼食と夕食はこれで、と言ってレトルトのアルミ袋を4個渡された。あれ、これまでの検査では軽食にするようにとの注意書きだけで、食べるのは自分で用意したものだが、それが変更になったのかと思いながら、検査前日の昼食、夕食は言われたとおりに実直にそのアルミ袋の中のもので済ませた。
もう全くパワーが出ない。一日で身体が衰弱したような気がした。そのためか、検査が終わって帰宅途中に気分が悪くなって歩けなくなり、歩道の縁石にしゃがみ込みしばらくじっと休まざるを得なかった。山でしゃりばてになり、ザックに食料もなくなった状態と同じかも、いつもは徒歩20分の距離なのに休憩を繰り返しよちよち歩きでかなりの長時間を要した。
あのパック食料のせいだ、もう懲り懲り、本当に憎たらしいパックだ。2度と口にしないぞ! そのときそう決心した。
それで翌2019年1月、あやしいキノコ切除のときは、前日入院にした。お金は掛かるが仕方がない。検査前日の昼食、夕食ともご飯が多く、おかずもそれなりで、こんな風に食べればいいのかと非常に参考になった。あのアルミパックとは雲泥の差だった。無事切除を済ませ何事もなく歩いて帰宅できた。ただし1年後に再検査を言い渡された。
翌2020年1月に再検査の時を迎えた。どうしようか迷った。アルミパックで我慢するかそれとも前日入院するか。また倒れそうになるのも嫌だし、かといって検査だけのために入院するのも何だか軟弱者のようだし、いろいろ考えたすえ一計を案じた。
入院しないで日帰り検査を予約した。看護さんがアルミパックを取り出し、例によって
「はい、これね、前日の昼食と夕食は・・・」と説明してくれるのを
「ハイ、ハイ、ハイ、」と素直に聞きながらパックを受け取った。
ただし家に帰ってからそれはそのまま部屋の隅に片付けた。実際の食事は、前回の入院食やネットの記事をいろいろ参考にして、自分で献立を考え妻に料理してもらった。
検査当日の受付
「食事はちゃんと渡したものを食べましたか。」
うっ、どう答えよう、聞かれるとは思わなかった。
ハイ、と言おうか、正直に白状しようか、えーっと・・・などしばし間をおいてから、やっぱり噓をつくのはよくないだろうと思い、
「いや、自分で作ったのを・・・・あのパックでは倒れてしまうので・・・」
つべこべ言い訳しながら返答した。
「えっ! 駄目でしょう! 検査できませんよ。」
やはり怒られた。
「いや、以前検査したとき病院で出されたものと同じものにしたので・・・」
窮状を訴えいろいろ一生懸命弁明した。
「・・・しかたないわね、・・・先生に聞いてくるわね!」
プンプンしながら奥へ引っ込んだ。ちょっと待たされ、
「検査してみるけど、うまくゆかないときもありますからね!」
一応OKとなった。
まあ、予想したとおりだ。しめしめ
大体において病院においては看護婦さんは細かく規則を守るけど、先生はわりと大まかなところがある。これは鷹揚という徳目のひとつだと思う。ということで結局検査は無事完了
ただ結果は、またもや1年後再検査となった。
「粘膜浮腫様変化あり、腺腫を疑う所見なく反転憩室の可能性・・」
よくわからないが、ガンはないようだし、前回の前ガン状態のキノコの跡は異常なしだった。
その翌年2021年、翌々年2022年とも内科主治医に断って検査は回避しておいた。自覚症状は何もなかったし、大腸検査は痛いからもう結構という思いだった。しかし、今年で3年目、いつまでも放置しておくのはよくないだろう、ひょっとして気付かないうちに、ということもあるし、検査して何もなければ安心だし、いろいろ考えて先週検査を受けた。
パック逃れを2回繰り返せば常習犯とみなされるし、嘘を付くのも嫌なので、今回は前日入院にした。そしたら昼食は、白身の魚にやわらかい野菜とたっぷりの卵スープ、みそ汁、ご飯170g、夕食は、ごく細かな肉切れと里芋などのスープ、ご飯170g紫蘇ふりかけ付、どちらも紙パックジュース付、その日の朝はいつもの朝食をとり、10時入院後はベッドにごろごろしていたので、この病院食で不満はない。ご飯を170g食べられたので体力も落ちない。こんな風に前日食はよかったのだが、翌日の検査が午後になった、もう朝から下剤をたっぷり飲まされ11時前には真っ白、準備万端整ったのに。いま自分の食道、胃、腸には本当になにもないのだ、からっぽなんだ、なんかそんな感覚もするなあ、などと思いながらじっと待って午後3時ようやく検査
やはりつらかった。腸にぐいぐいと挿し込まれた管が腸を突き破って外へ飛び出すのではないかと恐怖にかられた。エイリアンが腹を突き破って飛び出したあのショッキングな映画のシーンが目先にチラチラした。イタタ・・、ウーン・・思わず声に出してしまう、身体を捩るわけにゆかないので足先の指を必死に上下に動かす、もっと若いときはこんなに痛くなかったのに年とともに痛みを強く感じる。腸の柔軟性がなくなってきたのだろうか。仰向けになってから看護婦さんがお腹を上から押さえてくれた、管が突き破る恐怖が少しだけ静まった、助かった、若くてかわいい女医さんなのに、遠慮がない、もう少し優しく・・・
「何ら異常なし」、こんなに苦しんだのに一言でおしまい、やれやれ、まあ、ひと安心だ、半年前の胃検診もガンなしだったし、84歳だからもう消化器検診は一生やらないで済むかもしれない。
いま空っぽの消化器にこれから再び入れ始める食べ物にはなるべく注意して消化管をいたわり、長く山歩きを頑張ろう。そう思った。
写真1 検査前日の昼食 ちょっと食べかけですみません。
写真2 検査前日の夕食
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