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9月の末に車検を受けてから1度も車を運転していない。車検の時もバッテリーを充電されてしまい、なるべく乗ってくださいよ、とアドバイスされている。それに大倉登山口のすぐ近くに高速道のICが設置されたということでもあるし、都心から首都高速に上がれば電車・バスよりずっと短時間に着くことができる筈だ。東名高速ならまあまあ知っているからあまり不安も感じない。それで車で行くことにした(妻には内緒、あとでばれてろくろく口をきいてくれない)。快適なドライブをイメージし、朝5時40分家をスタートした。
それが大間違い、町田のあたりで工事渋滞に巻き込まれた。遅々として進まない、そういえば以前、この辺りで大きな工事が続くから承知せよ、というテレビ広報があったような気がする。うっかり忘れていた。事前に高速道の渋滞情報を調べていなかった。普段運転してないからこんなミスをするのだ。結局40分ほどタイムロスとなった。なんか悪い予感がする、事故らなければよいが・・・
海老名SAで一息つき、あとはちょっと先の伊勢原JCTで東名高速から分かれて新東名高速道の方に入ればよい、その後すぐ「秦野丹沢スマートIC」だからと思ってスタートした。だけどもうそろそろ現れてもいい筈だがと思っているのに高速道のJCTの大きな案内標識が一向に現れない、一方で道路端に「新秦野終点」と黒文字で書かれた小さなそっけない立札が目につき始めた。あれ、どうゆう意味?、新東名はこっちだよ、という案内板だろうか、それともそっちへ行けばここで一般道に出てしまうのだろうか、意味不明だなあ、と思っても高速道の真ん中で立ち止まって熟慮するわけにゆかない、後から車が追いかけて来る、そのうちその立て札も過ぎ去った。あらら、あそこで出るべきだったか、そう思い始めたがもう遅い、車はどんどん走って行く、仕方ない、次の出口の「秦野中井IC」で高速道を降りた。
前日のネット検索によれば、以前はここで降りて大倉へ向かったらしいが、自分はそんなルートを走ったことがない、この辺は全く不案内だ。出口のところで車を横へ寄せ、久しぶりにナビを触った。慣れない手付きで、「大倉」で検索したら失敗、「大倉戸川公園」で失敗、その他も失敗、どうしよう、こんなことになるなんて夢にも思わなかった、窮地に陥った。ふと、そういえばすぐ近くにゴルフ場があった筈だ、えーと、・・・えーと・・・そうだ「大肌のカントリー」、いや「大秦野カントリー」、検索成功、前日の下調べで高速道の出口のそばにこのゴルフ場があることはわかっていた。ここまで行けばなんとかなる、高速道出口近辺の地図は用意してきた。
もうナビは嫌だ、あっちこっち、えっ、こんな山越えみたいな道、そのうち登校中の高校生の群れに会ったりして、壊れているんじゃないのこのナビ、いつかのように妙なところに連れて行かれて放っぽり出されたりして、など毒づいているうちついに「あ、あった!」、道路標識に「秦野丹沢スマートIC」の文字、もう大丈夫、そこから大倉までの道順は頭に叩き込んできた。そのICの上下線出入口を実際に確認し、あらためて大倉へ向かい8時15分無事到着できた、やれやれ事故を起こさなくてよかった。公園駐車場はガラガラだった。
前置きばかり長くなってしまった。朝食をとったりして9時近くスタート、先月の風邪の後遺症は残ってない気がするけど、調子がいいわけでもない、無理しないようにしようと言い聞かせるけど、なに歩き出せばいつも本能が上へ上へと向かう、心臓に耳を傾けながらできるだけゆっくりと歩き、どうにか塔ノ岳頂上到着、すでに2時20分、5時間20分も要したが、これは想定したタイム丁度だった。
途中の登山道は本当に美しかった。秋の大倉尾根はとてもいい、木々の立ち姿や枝ぶり、葉っぱの色づき具合、それに平日なのでほかの登山者が圧倒的に少ない、自分の世界に浸れた。頂上では全くの快晴のもと最近は望めなかった見事な展望を得られた。丹沢山から不動の峰、蛭が岳に連なる稜線、左手に檜洞丸、眼下には深い深い大渓谷、また大山と表尾根の山稜、素晴らしいの一言のみ、これまでいろいろな思い出の詰まった塔ノ岳、やはり来た甲斐があった。
山荘でコーラを買った。悪い飲み物だが山でだけは許そう、うー、たまらない、冷えてて美味しい、サンドイッチで遅い昼食をとった。疲れているのか2片しか食べられない、塩分補給に醤油せんべいを1枚、まあ、途中少しづつ食べてきたからこれで大丈夫、時間も遅いので早々に下山に掛った。塔ノ岳の下りは登り返しというものがないので、下りに掛かると本当に気が楽になる。心身ともにリラックスできる。
花立から上の方ではすでに紅葉しており、深い谷の斜面に白い木々も交じってとても美しい。日光や那須などの濃厚な紅葉と異なり、なんとなくはかないというか楚々としたというか、厚化粧をした今を盛りの美人ではなくて、うっすらと化粧をした上品な老婦人あるいは勉強に勤しむ女子学生、そんなイメージを描いてみたくなる。もう人と出会わなくなった登山道を一人歩きながら木々の美しさを味わった。
いつもは雑地場でヘッデンを装着するのだが、今日はスタートが遅かったので駒止茶屋で装着し一本松を過ぎてから点灯した。だが間もなく疲れがぐっと出た。駒止茶屋の階段をわりあい快調に下れたのに、どうゆうわけか歩くのがかったるくなり身体もぐったりし、たまらず雑地場で暗闇のなか腰を下ろしてしばし休憩し、残りのサンドイッチ1片とあめを口に入れた。身体が、もう歩くのは嫌だ、と言っている。でも仕方ない、歩かなければ下山できない、トボトボと降り始めた。
左右分岐を過ぎた辺りで後方からヘッデンの灯りが近付いてきた。やれやれ同じような仲間がいたなと思いながら脇へ寄って、どうぞ、と先を譲ったら立ち止まったまま進まない。若い都会風の女性だ。女ひとりでは恐いので同行させてほしいとのこと、もうすぐ観音茶屋だし物騒なところでもないが、一緒におしゃべりしながら下った。余りに自分の速度が遅いのでかえって迷惑をかけてしまった。それで配水施設のところで別れて先行してもらった。
それからは一段と疲れが出て、魂の抜けた人のようにふらふら歩きになり、昨年暮れのあの快調な歩きはどうしたのだろう、転倒しないだけましか、などと慰めながらどうにかこうにかまさにほうぼうの体で車にたどり着いた。6時30分になっていた。
これでは運転できない。頭がボーとしているし、駐車場からトイレへ行くにもよろよろだ、脚が思うように動かない。とにかくひと眠り、以前車で出かけたときによくそうしていたようにタイマーをセットしてからシートの背もたれを倒して目を閉じた。途端にズーズー・・・はっと目が覚めた。30分経っていた。ぐっすり寝たらしい、寒さにぶるっと震えたが、頭が冴え身体も柔らかくしゃきっとしている。寝る前とは見違えるように回復していた、自分でもびっくり、これなら運転も大丈夫
高速道入口はすぐ近く、東京方面は道路の奥の方、下調べは十分していたのであっさり進入できた。あとは一路まっしぐらわが家へ走るだけ、海老名SAには寄らないでおこう、出がけにトイレは済ませてきたからOK、水分はもうとらなくとも大丈夫、ルンルン気分で飛ばした、おっと夜間に100キロ越えは老人には無茶、おさえておさえて、・・・だけどさっきからナビのお姉さんが妙な案内を始めた、左だ、右だ、と煩い、高速道を入ってからも「300メートル先を右へ」などと平気で言う。そんなこと言われて何のことやら、そのうち滅茶滅茶にキーキー声でわめきだした、間断なく右へ左へと命令する、お姉さん、あなたは気が狂ったか、無視を決め込んだ。やがてお姉さんも疲れたのか黙ってしまった。よかった。
あれ、なに、また渋滞?、うわー、同じ工事渋滞だ、今度は止まったり少し進んだり、朝より始末が悪いぞ、3車線が1車線に合流するのだ、勘弁してくれと叫んでも仕方ない、追突しないよう気を付けねば・・・あ、そうか、朝の目的地設定をそのままにして目的地到着以前にエンジンを切ったので、さっきエンジンを掛けたときナビはまだ大秦野カントリーを目指していてその案内を再開したのだ、成程成程、それでは目的地設定を消去しよう、おっと前の車が離れてしまった、・・・
ラジオでもかけよう、あ、阪神戦だ、うむうむ、わー、スゴーイ、阪神が逆転した、バンザーイ、自分は関西人ではないが阪神が一番好き、オリックスは嫌い、よかったよかった、優勝して大阪の若者は道頓堀に飛び込んでくれ、東京の若者は渋谷に来るなと言われて大人しく黙っていた意気地なしだが、その分頑張ってくれ、などと勝手に気が紛れていたが、試合が終わってもまだ渋滞中、帰りの渋滞は本当にひどかった。
というわけで何となく山も運転も無事乗り切った。翌日は一日寝ていた。山の疲れももちろんだが、車の疲れもあったのだろう。足の筋肉の痛みは登山が原因だが、身体全体の嫌らしい疲労感は運転のせいかもしれない。3日目の今日になってようやく普通に戻った。日記を書く気になった。それにしてもまた出かける気になるかなあ・・・
(写真1)山頂近くの登山道(こうゆう木々の姿がとても好きだ)
(写真2)頂上から蛭が岳方向(久しぶりの青空でよかった)
(写真3)頂上から表尾根の登山道(うーん、もう無理だろう)
こんばんわ
出かける前は運転も山も不安がいっぱいでしたが、なんとかなるものですね。
車のナビに触れるなんて何年振りか、でも今回は助けられましたから便利なことは認めましょう。
高齢者のドライブ、内緒だったので妻にこっぴどく怒られました。
でも、でも、でも・・・ですね。
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