しかし、つくってあげたい母はもう大分前に亡くなっているので、悲しいかな、vt250zさんのようなわけにはゆかない。ただ、喜んでくれそうな人がもう一人いるので、今日のところはそれで我慢しておくことにしよう。
冷蔵庫をあさると材料は揃っている、挽肉だけは見当たらないので買わなければならない。
「挽肉ってどう売ってるの」
「どうって」
「売り場の人に言うの、それとも袋にパックして置いてあるの」
「なんて馬鹿なの、パックで売ってるにきまってるわよ、今まで何を見てるの」
ああそう、それで安心、売り場の人にお肉くださいなんて言うのはどうもなんか・・・恥ずかしい?・・・妻に先立たれた年寄りが一人かと思われるのが情けない?・・・男として体裁が悪い?・・・本当に自分はどうかしてるのなあ
それはともかく無事挽肉をゲットし、つでに山用のチョコやなにやら要らぬ出費をしてしまった。往復30分、店内をうろつくこと30分、本日唯一の運動で丁度よい。
じゃがいもをゆでる、OK
たまねぎとにんじんのみじん切り、OK
それらと挽肉をフライパンで炒める、おお、肉の色が変わってきた、混ぜ合わさってとても美味しそうに見える。
「これに味付けしてご飯にかけたら美味しいんじゃない」
「ううーん、むにゃむにゃ・・・」
想像の範囲外なのだ、もっと頭を柔軟にしてよ
茹で上がったじゃがいもを潰してフライパンに入れ全体を混ぜる、OK
さて手をよく洗ってと、
「握ったコロッケを何に置く?」
「それでいいわよ」
離れたテレビの前からの声、いつの間にか粗末なビニールが置かれていた。
「これ汚いよ」
「どうせ油で火を通すからどうでもいいのよ」
いい加減なことを言ってるが、まっ、いいか
手に握って形をつくる、心配してたがうまくいった、ビニール袋の上に置いていったら小さいのがきれいに9個並んだ。わあ、素晴らしい!
さあ、ここから本番か、
小麦粉をまぶしてと、うむ、均一に付かないな、どのくらいの量を付けるのだろう、レシピには書いてなかったな、あっ、崩れてくる、バラバラになりそうだ、まだらに薄いけどまあいいか、いつまでも遊んでられない
次は卵に、あわわ、水分を含んで端がちぎれた、バラバラになりそうだ、これではいけない、早いとこくっつけてそのままパン粉の容器にどさっと入れた。
パン粉にまぶせば少しは固まるかと思ったがどうもゆるゆるのまま、形も凹凸があってみっともない、だけどそんなこと気にしていじっていたら益々悪化するので、パン粉がろくに付かない状態で油の中にドボン、
おー、きつね色に仕上がってきた、結構いけるんじゃないか、さて、取り上げなきゃ、えーと大きな・・・うむ、これまたいつの間にか大きなお皿が、紙まで敷いてある、仕方がない、そのうえにそっと置いた。同じ手順にまごつきながらも無事9個仕上がった。大きさも形も色もみんなバラバラに不揃い
最後の小麦粉をまぶすところからが難しかった。柔らか過ぎた、妻が言うには、じゃがいもの水切りが足りなかったとのこと、一応ザルに入れてやったのだが充分じゃなかったのだろう。レシピにはじゃがいもを2センチくらいに切ってゆでると書いてあったが、それではよりたくさんの表面積に水分が付着して水切りが大変になるのではないだろうか
さて、食卓を整えてから一口食べてみる。うーん、美味しい、柔らかくとても美味しい。老人にはピッタリだ、外見はどうでもいい、自分がつくったものはみんな美味しい、赤ワインを飲みながら山へ行かない日曜日を有意義に過ごすことができた。大変勉強になった1日だった。
母につくってあげていたら、母はどんな顔をしただろう、おそらく喜んでくれたと思うけれども、あるいは嫁がいるのになんで男が料理するんだという顔をしただろうか、いずれにしろ母の生前には不可能なことだった、仕事に没頭し自分の頭のどこにも料理の文字はなかったのだから
(写真) 明日オフイスに持参して昼食に食べる予定のもの、次回はもっと美しいものを載せます。
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