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「オカネヲイレテクダサイ!」
会計精算機が発する声にビビった。こうゆう声は苦手だ、お金ね、お金、お金、訳もなく焦ってしまう。画面には2190円と出ている。えーっと、まず千円札を2枚か、財布からなかなか抜き取れない、手が乾いていてうまく2枚にならない。
「オカネヲイレテクダサイ!」。
ちょっと待ってよ、ようやく2枚になったのを確認して、えーっとどこかな、あ、右下に大きな穴があいているからここだろう、とりあえず縦に2枚並べて入れてみたら扉がすっと閉まった。うまくいってほっとした。
「オカネヲイレテクダサイ!」
そうそう、あと200円ね、小銭入れを探ったが100円硬貨が見えにくい、エーイと硬貨全部を掌にぶちまけて200円分摘み取り、同じ穴に急いで放り込んだ。硬貨は穴の下方に張られた格子を通り抜けチャリンと音を立てて暗い底へ落下していった。
待てよ、なんかおかしいな、投入口でないんでないか、少しぼーっとしているうち、そうか、ここに硬貨を入れてはいけないよ、千円札を入れた穴ではないか、ミスに気付いた。どうしよう、今の硬貨を取り戻さなければ、手を突っ込んでみたが格子に邪魔されるし、その先は真っ暗なので到底取り戻せない。諦めるしかない。
「オカネヲイレテクダサイ!」
ああ、焦ってしまう。投入口はどこかときょろきょろして、紙幣投入口と反対側の左端に硬貨入れらしい皿を発見、機械がでかいのでなんか探しにくいよ、紙幣入れのそばに設ければいいのに、改めて200円硬貨を入れた。
「お釣りが出ます。」
やっとまともな声が聞こえてきた。どこに出るのだろう、もうそれらしい穴や皿は見当たらないけど・・・ああ、下の方にあるある、膝下のあたりに見えた。腰を曲げて手を伸ばさないと・・あっ、腰が!・・という事態にもならず無事10円硬貨をゲット。だけどなんでこんな下の方に釣銭の皿を作ったのだろう、腰痛の人には無理だね、病院だから腰の具合の悪い人も結構多いだろうに、わざわざ屈まないと取れないように設計するなんて・・・おや、反対の右端になんか小さな穴があるね、なになに、異物取出口と書いてある、異物、異物・・・おー、ひょっとすると、紙幣入れの真下だから、手を入れてまさぐったら100円硬貨が2枚出てきた。ラッキー!さっき諦めた硬貨だった。
「領収書が2枚出ます。」
たまに通う都立病院の自動精算機と同じことを言っている、目の前にするすると大きな紙が出てくるんだよね・・・・・だけどいくら待っても出てこない、おかしいな、故障したのかな、ぼんやり待っていても一向に出てくる気配がない。
「領収書が2枚出ます。」
相変わらず繰り返している。早く出してくださいよ、ああ、困った、現れる気配がない、尋ねる病院スタッフは近くに誰もいない。都立病院ではこうゆうときにすぐ駆け寄ってくれるお姉さんが立っているのだが、そうだ、隣で機械を操作している人の様子を観察しよう、うーむ、この声がしたらあまり間を置かずに正面から紙をとり出したね、やはり紙は真ん前にあるんだね、なぜ自分の前にはないんだろう、あんな大きな紙は見えないけど・・むっ・・待てよ・・・これかな、紙の下端が機械からごく細目にのぞいているのが見えた、これかと思って両端を手でつまんで手前にずるずると引っ張り出したら大きな紙が姿を現した。なんだ、こうゆうことか、自分は正面にするすると紙が現れると思い込んでいたので、この紙の端っこが見えなかったのだ。目の前にあったのに老化した頭ではそれを認識できなかったのだ。
でも何故見え易いように一気に全部出してくれないのだろう。都立病院のようにするすると一面全部出してくれればぼけ老人でも気づく筈なのに、音もなく紙のわずかな下端をそっとのぞかせるだけなんて、患者相手にかくれんぼしてるんじゃないよ、きわめて不親切な設計ではないか、ここは病院なんだよ、患者目線で設計してほしい、自分を棚に上げて不満爆発
手術を2回したので何度もこの会計精算機を利用してきたが、毎回この精算機にはまごつかされてきた。1度経験したから次回スムーズに運ぶかといえばそうでもないのが不思議なところ、最後にもドジってしまった。この精算機の設計が基本的なところで人間工学的にまずいのだと思う、とにかく図体がでかすぎる。だから自分のような高齢者にはとてもスムーズに扱えないのだろう。都立病院の会計精算機も手順は同じだがこれまでまごつくことは何もなかった。
ちなみに定期に通院している小規模な病院は、カウンターで職員とやりとりしながら現金直渡しという昔ながらの方法をとっている。焦る必要は全くないので高齢者にはこれが一番いい。
(ふろく)
「粗大ゴミ券、900円ください」
「A券ですか、B券ですか」
「・・・・・?」
A券、B券って何だろう
「A券ですか、B券ですか」
「900円分ほしいんですが」
それで通じないのかな
「A券ですか、B券ですか」
なんかロボットみたいな発音、すらっとした美人だが表情に感情がない。
名札を見たら外国人だ、こりゃ駄目だ、別のコンビニで買おうと思って行きかけたら、お姐さんは横の棚からなにやら取り上げて
「A券ですか、B券ですか」
と言いながらカウンターの上に並べた。
しげしげと眺めたら、A券は200円券、B券は300円券、そうゆうことか
「B券を3枚ください」
無事入手できた。
ただそれだけの話だが、自分の無知ぶりをさらけだしたのと外国のお姉さんが終始「A券ですか、B券ですか」というAI会話しかしなかったのがとても面白かった。数日前の話だが、いまも「A券ですか、B券ですか」とひとりつぶやきながら思い出し笑いをしてしまう。
こんな調子で正月から日常生活をつまずきながらやってきたが、4日初登りしてきた。子の権現への初詣を兼ね、暮れに登ったスルギ尾根を逆方向から歩いた。順調だったが、汗冷えと疲れのためか翌日から少し熱が出た。微熱にひやひやしていたら37度まで届かないうちに体調は自然回復することができた。これなら今年の山も期待を持てそうだ。
高齢者の方々、今年も頑張りましょう。
(写真1)子の権現で初詣
(写真2)初めてここをよじ登った。足場がないので苦労した。いつもはこの手前にある簡単な巻道を歩いている。
(写真3)この辺りからコースの難所になる、年寄りがフラッときたらおしまい、いつも緊張して進む。
仕方ないのは分かっています。
ほとんどすべての大きな病院は今オカネがなくて困っているから人間様はお出ましにならないし、オカネがないからもっとデリカシーのある高価な機械は買えないし、大声でないとバリアフリーじゃないし・・・
仕方ないのは分かっているけどやっぱりいやなんです。時々立ち寄る病院では、「オカネヲイレテクダサイ」マシーン放列の近くを通る時には耳を塞いでいます。塞いでも聞こえますけど。
こんにちわ
今は人員不足のため、お金の支払いは自動精算機でやらなければなりません。
やむを得ないのですが、その機械にバラツキあるので混乱します。
年寄りは認知速度がのろいので、機械にせかされると本当に慌てます。
ここの病院の機械は使いにくかったです。特に領収書の紙が、なんで全部出てこないようにわざわざストッパーで止めているのか理解できません。
機械もソフトも使用者目線でお願いしたいですね。
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