久々に書いてみよう。
自分の好きな峠・ベスト5です。
峠は、歴史があるほうがよいね。多くの人と土地が積み重ねてきた長い時が、なにやら形容しがたい澱のようなものを沈殿させて、その土地特有の「空気」を形作っているような気がします。
それは多くはその場の環境による物理的要因(気温、湿度、植生、地質、さらには磁場や放射線量なども?)によるものだと思うけれど、それだけではなく、地球規模でいえば一瞬である千年単位の時の累積を記録する、「場の記憶」ともいうべきものが存在するのではないか、と思いたくなってきます。「空気の地層」みたいな?
昔から人の通り道になることも多かった峠には、単なる自然の地形というだけでなく、そういった何やら不思議なものが感じられることも多く、そこが魅力です。
語源的に、「とうげ」は「手向け」からきているという説もありますが、自分はちょっと納得できないですね。発音から考えても意味から考えても、普通に「撓み」「タワ」「タヲ」からきていると思います。時代や場所によって変化する人の行為の表現(手向ける)よりも、地形の表現のほうがずっと古く、優先順位が高いと考えるからです。
5 仁科峠(西伊豆)
西伊豆の稜線上、スカイラインが通っていて、猫越岳に行くときの出発点にもなっています。車でですが、何度通ったかわからないですね。
峠からほんのちょっと猫越岳方面に登ると、眺めのいい、大きな岩のあるピークがあって、牧場の中ということもあり、ほんと開放感にあふれる気持ちいい場所なのだ。ちょっと歩けば、西伊豆っぽい植生の美しい森にも行けますし、海のすぐそばという伊豆ならではの特長が、他の峠との大きな違いですね。
ただし、冬になると西伊豆は西風がものすごいので、地獄になる可能性もありますw
4 玄倉の山神峠(丹沢)
ミツマタ開花の時期になると、玄倉から日影山、山神峠を通って、ぐるっと一周するのが習慣のようになっています。時には雪の中を歩く年もあったり。山神峠まで来ると、心底ほっとしますね。今では、峠に通じるまともな道はなくなってしまっているのですが、ここの祠は、毎年あいさつしに行く、顔なじみのような存在です。いつ来ても、空気が穏やかな場所。周りは崩壊地ばっかりなのにね。
日影山に登る時、雨山方面、あるいは大石山方面から、山神峠の祠脇の背の高い1本の木が目立つので、峠がどこかすぐわかるのです。今では倒れかけてしまった祠、いつまでもつかなぁ。修理はしないのかなぁ。
3 石丸峠(小金沢連嶺)
奥秩父東部には、いい峠がいっぱいあります。雁坂峠、雁峠、将監峠。。。石丸峠も、ちょっと離れているけれど、雰囲気的にはその辺の仲間といっていいですかね。隣に大菩薩峠という超有名どころがありますが、まあそっちは人もえらく多いですし、さっさと通り過ぎる感じですかね。。。
石丸峠から狼平周辺の美しさは、格別です。適度な高山っぽさ(湯の沢峠だとちょっと低い)、でも高すぎず、人に優しい感じもあって、天気のいい日に1日このへんで過ごせたら気持ちいいだろうなぁ(標高が高すぎると、人を拒む環境になっちゃう)。
思うに、このあたりの山の美しさの基盤は、甲府花崗岩体にあるような気がします。
2 二本杉峠・城ヶ尾峠(丹沢)
相州から甲斐に抜ける古い間道・サカセ古道(江戸時代にはすでに「古道」でした)の2つの峠。
今でも自分にとって二本杉峠は、歩いて越える機会の多い峠です。上の原から峠へはもうすっかり歩き慣れた道で、峠のベンチは丹沢でももっとも親しみ慣れたお休みどころです。今では植林の中ですが、昭和の写真を見ると、植林も低く明るく雑然とした感じで、富士山も見えていたみたい。
城ヶ尾峠はなんとなくほっとする峠です。峠付近の稜線はなだらかで優しいし、道志まで下るのも近い。少なくとも南北朝時代の昔から現在まで、多くの人が行きかったのでしょう。丹沢でも一番好きな場所のひとつです。
1 大石峠(御坂山稜)
大石峠は、古く駿河と甲斐を結んでいたという、若彦路の峠です。若彦とは、日本武尊の息子。ずいぶん古い話のようですね。多分、富士北・北西麓の地形を大きく変えた貞観噴火以前からの街道なのでしょう。
河口湖方面からだと、淵坂峠(この峠も切り通しになっている)、沢を越えたあと、ジグザグに登る登山道があり、もしかしたら昔から道筋は変わっていないのではないか、と思えてきます(実際道中には、もはや原型を留めていない古い石の祠のようなものも残っている)。
峠まで登りつめると、ぽっかり開けた明るい草原に出て、南を振り返れば、まるで鋸の歯のような十二ヶ岳の連なりと、その向こうには青みがかった富士山。トンボが飛び交う日本の原風景はこんなだったのではないかと思えてきます。少しく想像を羽ばたかせれば、煙を吐き、時には頂上付近の雲を赤く染めていた富士山を幻視することもできるでしょう。
はるか古代の雰囲気に思いをはせることのできる、大好きな峠です。
わたしもこういったマイ格付けが好きです ((´∀`))ケラケラ
・場の記憶
・空気の地層
最適+民俗学者的な、引き寄せられる表現ですわ
自分の中では、半原越や鎌倉七口が峠探求の一歩になります
天城や碓氷の「有名処」も飽きないし、それこそ・場の記憶・空気の地層、、であり
私もあなたもそのような気持ちで現代を越えている、、とても共感できます
(関係ないけど、うちのねこは七沢の辺の山のなかで保護されたらしいw)
なんでしょうねぇ、あの空気。
その歴史を多少知ってるから、そう思い込んでるだけかもしれない。
けど、人は自分の五感をたよりに世界を認識するしかないのだから、思い込みというのはその人にとっては「事実」になりえると思いますね。
純粋な「客観的認識」なんてものをに受け止められるほど、素直ではないので。。。
まあ一種の思春期症候群みたいなもんですw
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