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2014年07月20日 07:56山のお話全体に公開

山のお話22 山と木と水

週末になると天気悪くなるのは、まったく腹が立つ。
仕方ないので、21歳の時に日本に渡ってきて、戦前〜戦中〜戦後の日本に長く住み、丹沢を愛したドイツ生まれのハンス・シュトルテ『丹沢夜話』3冊を手に入れて読んだ。

これが、とてもいい本だった。
文章を読んでいると、その人情味あふれる人柄が伝わってくるようだ。神父さんだったらしいが、異教であるはずの民俗をすんなり受け入れ(すんなりだったかどうか、実際は分からないが、文章からはマイナスに振れるような感情が全然感じられない)、心から尊重し、愛する姿が浮かび上がってくるようだ。

この本には、戦前からの丹沢の様子が書かれ、また写真も豊富に載っている。
たとえば、幕末・明治に来日した有名なF.ベアトは、宮ケ瀬近辺の写真も撮っているが、その同じ場所を昭和40年ころに撮影した写真が一緒に並べられていて、とてもおもしろい。丁度自分が生まれたくらいの時期だ(しかも赤ん坊のころから、自分は丹沢に連れて行かれていたのだ。もちろん記憶にないけれど(^^;)。
今ではもう湖の底に沈んでしまって、この100年くらい時代が離れているけれど、同じ山並みが写っている構図の写真はとれないだろう。「国破れて山河あり」でなく、「国栄えて山河なし」といったところか(^^;

中川川沿いの上ノ原からの道、二本杉峠直前を撮影した写真には、びっくりした。
今では植林の森がずいぶん成長して昼でも暗いのに、昭和40年代にはまだ植えてそれほど経っていないようで、人の背丈くらいしかなく、とても明るい。屏風岩山や檜洞丸の眺めはさぞかし良かっただろう。
樹の伸びるスピードってこんなに早いのか! とびっくりだが、これはつまり自分がそれだけ年寄りになってしまったということになるw


この写真を見ていて、ふと思い出した。
子どものころ何度も大倉尾根を登ったが、そういわれてみれば、ずいぶん下のほうでも眺めがよいところがあって明るく、これから歩いて行く尾根が見渡せた記憶がある。今では、花立に出るまで展望などまるでないけれど。その花立も、茶色いドロ斜面という感じで、ろくな植生がなかったような。
大分あとになるが、高校生の時登った表尾根、二ノ塔のきつい登りも、その花立と同じで、まるでハゲ山という感じで眺めがよくて、かなり下からずっと上まで階段の道が続いているのが見えていた記憶もある。丁度ヤビツ峠で何か工事中で、バスが峠まで行かず、蓑毛から歩いた。
あらためて考えてみると、当時はまだ宮ヶ瀬湖もなかったのだなぁ。


思うに、丁度当時は高度成長期が終わったころで、それまでものすごい勢いで伐採が行われ、跡地に植林が行われてすぐのころだったのだろうか。当時の丹沢の写真を見ると、あちこち伐採され、ハゲ山になっているところが多い。
多分このころに多くの自然林が失われ、杉やヒノキ林に変貌していったのだろう。その後、自然保護とか森の保水機能だとか、そういうのが強く意識されだしてきたようだ。

ちなみに日本で一番古く水源涵養林保護がされたのは、なんと飛鳥時代、天武天皇の5年(676)に飛鳥川の水源地である南淵山と細川山にだされた禁伐令ではないかという(禁伐の理由は明確に書かれていないが、それ以前に、南淵で皇極天皇による雨乞いが行われているので、水源地という認識はあったと思われる)。
山(森)と川の関係がはっきりと書かれたのは、弘仁12年(821年)の水辺山林の禁伐令で、「浸潤の本は水木相生ず」「山童(禿)に毛尽れば谿流涸乾す」などと水と山の関係が記述されているという。
いずれにせよ、日本でははるか昔から森林と水の関係について、深い知識と知恵があったのだ。木がもっとも一般的な建材であり、水を大量に要する稲作がもっとも一般的な農業であったのだから、木と水について詳しくて当然といえば当然かもしれない。
けれどもそれが明治維新で一度失われ、戦後ようやく見直されてきたわけで、昔からある知識を迷信とかいって、一概にバカにしてはいけないなあと、感じる。

昔の人は賢かったなんていうつもりはないけれど、人の賢さという点では昔も今もあんまり変わらないのかもしれない、きっと(^_^;




ところで「ヤマノススメ」2期が始まりました。最近あんまりアニメ見てなかったけれど、これは見ます。なにしろ1期は結局天覧山と高尾山しか行かなかったので、山的な意味で欲求不満だった。今回はどこ行くのか楽しみ。(と思ったら、いきなり入浴シーンですか。。。このアニメの場合、サービスシーンは山のシーンでしょうが!(^^;)

阿澄佳奈の声を聞くと、ニャル子しか思い浮かばず、何やら名状しがたい混沌が這い寄ってきそうで(^^;(井口裕香の最近の自分的ヒットは桜Trickなので、ちょっと口には出しづらいw)


写真:辺室山方面から宮ヶ瀬湖
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コメント

RE: 山のお話22 山と木と水
初めまして。こんばんは。
丹沢夜話、Am○zonの「おすすめ…」のような所にちょくちょく出てくるので、気になっていました。
そういう本だったのですね!
いつか手に入れて読みたいと思います。

水源保護の件も、興味深く読ませていただきました。昔の人の知恵、より自然と深く、近くに暮らしてきたからでしょうか。
10年後、20年後…丹沢の風景がどう変わっていくのか、楽しみでもあり、不安でもあります。

辺室山方面から宮ケ瀬湖のお写真、素敵ですね!
木の間から見えるこの山なみの景色、大好きです。
2014/7/20 19:58
RE: 山のお話22 山と木と水
コメントありがとうございます!
全3冊のようです。ちょっと古いですが、今の丹沢と比較すると、なかなか面白いです。
これから、どんな風に変わっていくのでしょうね、できればいい方にいってくれればいいけれども。。。

宮ヶ瀬あたりの山は、近いけど山深い感じで、好きです。結構険しかったりしますよね。今の時期はあんまり行きたくないですが(^^;
2014/7/22 7:28
RE: 山のお話22 山と木と水
こんにちは
昔の人の”智恵”というのは中々に凄いものですね。
例の著書の人はカトリックの神父でミッションスクールの栄光学園の先生で山岳部の顧問だったかしらん?
※自分もカトですが、カトの精神とは違いお金持ちしか入学できないというわさもありますが(苦笑

旧約聖書の古い部分は3500年前に書かれたそうですが、智恵が詰まっています。今より気象等に敏感だったのでは。。

丹沢はリアルモーターカーの出現で鳥屋の辺が開発されそうです。
高尾のほうから来てる環状高速の工事も激しいですし、第二東名も次々に地主を説き伏せているようです

ヤマノススメは今日が第3話ですね
山サイトで、ニャル子を目にしてしまいww ウケすぎるww
2014/7/23 19:41
RE: 山のお話22 山と木と水
鎌倉の学校でしたっけ。
聖書や論語や昔から残っているものは、やっぱりそれだけの理由がありますよね。
3500年前とか、すごいなあ。
五感とか、現代人よりも昔の人のほうが鋭そう。

鳥屋のあたり、変わっちゃうんでしょうか。鄙びた感じでいいんだけど。。。
まああのあたりは宮ヶ瀬ダムで、もう昔とはずいぶん違うのだろうけど。

ヤマノススメ、なかなか頂上に行き着けませんね(^^;
ちょっとしたガケにもびびってるあおい、かわいいw
ヤマレコでニャル子とか書いても、分かる人は数人かもしれませんね(^^;
2014/7/24 7:43
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