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地蔵平や水の木には集落があったし、南の小山や西の山中湖、北の道志から多くの人たちが、山のものをとったり、炭を焼いたり、交易のために山を通り、また時には戦の舞台にもなったりした(犬越路の信玄の伝説ははたして本当なのだろうか)。そんな人々が行き交っていた峠や古道がたくさんあるようだ。
今では谷沿いに林道などが出来て、山越えをする峠はその多くがすっかり寂れてしまった。
林道の多くが今でもよく崩壊するのを見れば、険しい大きな谷沿いに道を作らなかったのはよく理解できる。谷は大雨が降れば水が出るし(大きな土石流のことを「びゃく」といっていたようだ)、早戸川流域には、秋から冬にかけて、まれに谷に沿ってものすごい強風が落ち葉や小枝を巻き込み、まるで大蛇のように吹き上げてくる現象があるという。
現在の道から考えると、どうしてわざわざ高い山を越えて行くのか、不思議な気がしてしまうが、谷沿いに道を作り維持するのは、とても大変なのだろう。
玄倉林道や世附林道が度々崩壊して通行止めになったりするのを思えば、納得もいくというものだ。
「峠」の語源はいろいろ説があるようだ。
峠には道の神がいて、その神様に行程の安全を祈ってお供え物をした(手向け→とうげ)、とか、「タワ越え」「タオ越え」がなまったもの(タワとかタオは、「たわむ」=鞍部という意味)とか。タワという言葉は、丹沢に行く人なら、馴染み深い(ちなみにアイヌ語でタオは、「高い川岸の地」という意味だそうだ )。
峠に山の神のあることが多いことを思えば、前者はとてもうなずける。峠を越えるのは大変なことだし、やっと着いた峠でもう登らなくてすむと思えば、神様に感謝もしたくなる(^^;(そうすると、もしかしたら峠の山の神と、そうでない山の神は意味合いが全然違うのだろうか?)
後者も、下から稜線のたわんだところを見上げれば、地形をよく表した言葉だと納得できる。
これはどちらもありだと思う。どっちが正しいか、間違っているかなんて、考えるだけムダというものだ。
丹沢の峠でまだ行っていないところはたくさんあるが、今のところお気に入りの峠をいくつか選べといわれたら、城ヶ尾峠、(東の)山神峠、二本杉峠だろうか。
どこも、静かで、なぜかとても落ち着く、それぞれちょっと違う雰囲気がある。ベンチもあるから、休むのにもちょうどいい。どこも、多分昔はもっと人通りがあったのだろう。何となく安心できるのは、そのためだろうか。
多分どの峠も、昔はもっと明るかったのじゃなかろうか。二本杉峠など、完全に植林の中になってしまっていて、ちょっと暗い。でも、なぜか風は通る。
植林でなかったころの峠はどんなだったんだろう。
登山というと、山の頂上が目的であることがほとんどだが、こういう峠をめぐる山行もたまにはいいんじゃないだろうか。
写真左:二本杉峠
写真右:城ヶ尾峠
ところで、仕事のページをちょっとつくりました。
山のエッセイや山行記録の本を作ってみたいという方は、ぜひ一度御覧ください。
あなたの本を造ります
http://print-studio.blog.jp/
peb02110さん、こんばんはー
峠のお話を読みながら、お酒がすすみましたw
日本語は”人生の転機”に対し、峠にたとえていることが多いですね。お話にあるように、登りと降りが交差するからでしょう
わたしのライフワークは自転車ですが、昔の馬移動と傾向が近いようで、登山だけでなく自転車パスハンティング(峠越え)も大好きです。これはピーク(絶頂)を極める登山とは違うもので、生活の匂いが満載ですし、シルクロードな道も家に帰れば激しい酒のつまみとなっております(爆笑
文中は、本格的な峠について書かれていますが
箱根のような激しい峠越えは別として、通学の峠などは毎日越えなければ的な道で、これは街中のトンネルの上にある”廃道=峠”がこれにあたり、そういう探索もたまにします。いかにもチープな探索ですが、道が掘れていて歴史を感じます
ヤマレコといえば”拍手機能”が面白いですが、やはり峠越えは地味な分野みたいであまり貰えません。まあヤマレコだから当然で
しっかし、読み返せば読み返すほどじわじわ来る日記ですねー
※広告は、最後の落としどころじゃなく、序盤のほうがよかったかもw
言いたい放題ですんませんー
コメントありがとうございます。
以前鎌倉にいたころ、家から天園の稜線まで数分で登れました。
北鎌倉駅からだと、自転車で稜線まで登り、峠を越えて家に帰っていたというw
そこらへんのちょっとした山(丘?)の藪こぎも面白いですよねえ(^^;
ちゃんとピンクのテープとかあるし。
そういえば、Honocaさんの日記で教えてもらったユリ熊嵐、幾原監督にしては妙に分かりやすい(けどやっぱりとっつきにくい)、いいアニメでした。
この人の作品は、自分を顧みさせる力がありますね。
ここなちゃんもいたしw
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