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自分がテント泊する理由を考えてみると、そもそも学生時代からテント泊しかしていないという『習慣』が大きいと思う。あえて他に挙げるのであれば、金銭的に安く上がることか。
テント泊に憧れる理由に『プライベート』と言うキーワードが聞かれることがあるが、自分は「あんまし考えたことないかな」と思った。結局周りに人もいるわけだし、迷惑事も多いからだ。
でも迷惑なんだけど思い出に残っていることもたくさんあったな〜と、今までを振り返っていたら、楽しくなってきてしまった。
せっかくなので、面白い迷惑話を3つほどピックアップして紹介しよう。
迷惑指数50%😱
常念小屋の夕焼けの話
常念小屋にテントを張った時の事だ。その日は天気も良く、槍穂高連峰には綺麗な夕日が沈もうとしていた。
テント場も空いており、我々とそれ以外に3-4パーティーくらいしかテントを張っておらず、とても静かであった。その中の、四人組ぐらいの若いパーティーは縦走が初めてなのか、その沈みゆく壮大な夕日に感動し、『来てよかったね〜』とか『これこそ山だよねー』とお互い気持ちを確かめ合って『青春』している。
若いな〜と思いながら、かくなる我々も大人の流儀でツマミと吾一ワインをチビリチビリとやりながら、壮大な夕日を静かに眺めていた。味わい方は違えど、おそらく気持ちは一緒であったろう。
やがて太陽が稜線に差し掛かると、若き四人組もあまりの美しさに喜びの言葉を交換する事を忘れ、ただ夕日を見つめるだけになった。槍穂高をバックにした四人のシルエットは青春映画さながらである。我々もワインを持っていた手を止め、みんなで最高の瞬間を静かに待った。
あたりにはただ風の音だけが聞こえていた。きっと我々を後ろから写真を撮ればいい絵になったに違いない。
そして太陽が稜線にかかり日が沈んでいき、最大のクライマックスを迎える!!ピンとした空気が張り詰め、その場の全員が、その息を止めるようにその光景を見つめていたその瞬間・・・
『テントの”穴”って なんで空いてるんですか〜〜ぁ?』
その場の空気をを吹っ飛ばすように後ろから”おばちゃん”のすっとんきょうな黄色い声が辺り一面に響きわたった。
『換気するためだろ〜〜よぉ』とこれまたすっとんきょうに返事をするおじさん。
思わず腰が砕けそうになった。
そして相棒と二人で吹き出してしまった。
迷惑指数 70%😱😱
熱血青春くんの話
八ヶ岳のテント場でのことだ。明日に備え早めにシュラフに入り、ウトウトし始めた時、隣のテントから話し声が聞こえてきた。
まあ、こんなことはよくあるし、普段はべつに気にもしないのだが、この時はチョット違っていた。状況としては若者が話し、もう一人が聞いているのだが、プライベートな悩みや哲学を熱く語りまくっているのである。こういう話は普通ヒソヒソ話すもんだが、あまりに声がデカイ。しかも演説するように熱く話すので話が嫌でも耳に入ってくる。
そのせいでなかなか寝られなかったのだが、声が大きいからではなかった。"内容が気になって"寝られないのだ。彼の女性の好みから、ちょっと前に振らたことまで、すべてが筒抜けなのである。
『ずっと友達』だから、最近元カノに電話したんだ・・・それはフられた君の言う台詞じゃないよね。フった側が言う台詞だよ。もはや気にするなという方が無理である。
途中から話が山の話題に移ると、だんだんエスカレートしてさらに熱くなってくるので、ますますうるさくなった。お願いだから寝てくれ!ウチは明日は早いんだ!ただ、言いに行くのもめんどうだし、ほどほどの所で寝るだろうと放っておく事にした。
どうやら彼はリーダーとして、登山の安全を仲間に熱い気持ちで説得しようとしたが、なかなか分かってくれなくて悩んでるらしい。
「分かる。分かるよ!自分も散々苦労してきたからね!」
きちんと地図を見て、道を判断し、正確にあるかなければならない。それをわかってもらえない。
「確かにけしからん。その通りだ!」
ただ話を追っていくと、その時行った山は・・・『高尾山』?
話のスケールの割にやっていることがちょっと小さいかな?
その後も熱弁は続いていたのだが、それは突然終わりをつげることになる。どうやらテントに酒をこぼしてしまったらしい。どうも相方のおろしたてのテントだったようである。
大変気の毒であるが、でも、こっちはこれでようやく寝れる・・・と思ったのだが、これが甘かった。
今度は酒をこぼしたことを延々と謝り始めたのであった。
・・・なんで彼がフられたか、わかったような気がした。
思い出したくもない自分の青春時代を思い出させるようで、聞いていて心がチクチクした。
迷惑指数100%😱😱😱
若き日の俺たちの話
まあ大学の合宿ほどうるさいものはない。無駄にエネルギーが有り余りまくっているからである。ウチはワンゲルという事もあって40人近い部員がおり、山行となると大合宿になるので輪をかけて大変であった。
山についてはかなり厳しい部であったが、山行後の打ち上げは問題児軍団に豹変する。ただでさえ人数が多いのに、別学部の連中まで集まり、テント場で50人以上で騒ぐので、まあうるさいなんてものじゃない。元気すぎるにもほどがある。
飲むは叫ぶは当たり前。一発芸大会などもあり、ホワイトガソリンを口に含んで火を吹くものいた。
また、体育会伝統の自己紹介というものがあり、男塾よろしく『押忍!!自分は○○大学○○学部○年○○○であります。以後よろしくお願いします』なんて一人ずつありったけの大声で叫ぶのである。今考えれば迷惑をかけながら、その犯人の素性を堂々と明かすという図太い事をしていたものだと思う。中には声を出しすぎて裏声になるやつもいて、みんなで爆笑したりしていた。
一応他の登山者に気を遣って離れたところでやるのだが、効果は薄く、他の登山客から苦情を受け頭を下げたのは1度や2度ではなかった。
逆の立場だと『さぞかし腹ただしいもの』なのかと、ずっと思っていたのだが、案外そうでもなくて意外だった。
雲の平を縦走した時に40人くらいの大所帯の大学のグループと同じコースとなってしまい、毎日同じテント場に泊まる事になってしまったのだが、ある時自分たちのテントのすぐ脇に何人かが集まり、大声でワイワイ騒ぎ出したので流石にちょっと注意した。
そうしたら謝るどころか、伝令が飛び、あっという間にテント場がトーンダウンしてしまった。
少しボリュームを押さえてもらえると・・・くらいの気持ちで控えめに言ったつもりではあったのだが、楽しんでいたのを、全て否定してしまったようで、なんだがこちらが申し訳ない事をしてしまったような気がした。
漫画『岳』の初期のサブタイトル『みんなの山』なんてなかなか言い得たものだと思う。山ではいろんな人間がいろんな楽しみ方をしているわけで、テント場には、場所を共にしているそんな人達がいて、大なれ小なれ関わりあっている感じがする。
自分がテント泊をする理由の中にプライベートという言葉が思い浮かばないのは、そんなところがあるからかもしれない。
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cajaroa さん
こんにちは。(^-^)/
確かに、テン泊は憧れですが
予想される総重量を担ぐ体力に
自信がなく未だ手をつけられません。
仰る通り、小屋でもテントでも
隣り合わせた人間関係によるのでしょうね。
あ!イノキチが出演してる!
いつも面白いお話ありがとうございます。
また楽しみにしてますね♪
sionさんこんにちわ
コメントありがとうございます!
自分は初めての山行からテント泊だったので、ステップアップなどによる恩恵を感じた事がなく、憧れの気持ちというのがイマイチ分からないんですね。f^_^;)
逆に講習会などで小屋に泊まった時は、純粋に楽しむ事を考えられるのが新鮮で、いいなぁ〜とかすごく思うのです。ちょっとした事ですが、冬にゆっくり本が読めたりするのとか、なんか好きだったりします。
じゃあテント泊の無駄な部分に何が詰まってるんだろうと思うと、金銭的以外の面でもある様な気もするのですが、ひょっとしたら、テント泊している僕らより、やっていない人の方がよくわかってるのかも知れません。
あっイノキチばれましたか(^。^)
いつも読んでいただきありがとうございます!
cajaroaさん、こんにちわ。
私の場合はテント旅から山にはいった
人間なんで、担げるものならテント泊が
当たり前なんですが、
そこそこ脚力がある人でも、
テント泊自体をやったことがない人には、
テント泊はある意味、未知の領域であり、
あこがれと怖さをもっているのかも
しれませんね。
私も金が潤沢にあれば、
泊まってみたい小屋がたくさん。。
小屋泊まりを増やすと山行予算自体が
減って、回数を減らさざるを得なくなりますので、
やはり基本はテントで。。ですかね。
k-yamaneさん
はじめまして
コメントありがとうございます
確かに小屋泊まりで長期縦走などをすればテント泊縦走が3回くらい出来てしまうので、山行回数を増やせるというのは、私も目に見えたメリットだとか思うし、実際恩恵を受けているところです。
しかし特に冬になると、テント泊のデメリットも多くなり、私も小屋泊まりへの憧れが湧き上がるのですが、色々条件などを考えはじめた瞬間に没になってしまい、結局テント泊を選択してしまいます。小屋泊まりからテント泊だと、おっしゃられるような未知への憧れがあっても怖れが、それ以上にのしかかるでしょうから、余計に大変なのかも知れません。
長文でしたが、読んでいただきありがとうございましたm(__)m
こんばんわ
リアルな「テント場のおもしろ迷惑話」・・・楽しく拝見しました
その場に居合わせたら笑えないお話もありましたが・・・
ゆるゆるテント泊を初めて2年
まだ数えるほどしかテント泊はしていませんが、すべてが自分のペースで出来るテント泊は大好きです
そんな我が家がやらかしたテント泊での出来事ですが、TVリモコンが食材と一緒に入っていたことです
ちなみにテントの中で見つけた時にボタンを押してみましたが、もちろん何も起きませんでした(^^;)
air_4224さん
こんばんは
コメントありがとうございます。
なるほど、テント泊は確かに全部自分達のペースですね。そういえばこないだ蝶ヶ岳に行った時、丁度夕日の時間に小屋泊の人は食事に呼ばれたのですが、自分たちは山頂直下で夕日を眺めながら夕ご飯を作ってそこで食べていたので、それは考えてみればテントならではだったのかもな改めて思いました。
リモコンが入っていたというのは面白いですね。仮に何か機能したとしてもテント内だときっと役に立たないかも知れません。だって全部手が届きますから!(^_−)−☆
非常に長文でしたが
読んでいただいてありがとうございました。m(__)m
cajaroaさん、今晩は。
毎回、とても楽しい投稿を有難うございます。
「イノキチ物語」(笑)はもちろんの事、どうしてこの様な素敵な文章が書けるのですか?
私には文才が無いので羨ましい限りです。
テント泊してみたいのですが、装備を担いで登る事を考えると、どうしても一歩踏み出せずにいます。
山小屋でテントを設置していただき、そこに泊まって食事は小屋で・・・何てサービスが有れば利用したいですが(笑)
次回の投稿を楽しみにしております💛
ak0211さんこんばんは
いや、私も文才は無いですよ。実は『町内の山』というブログの『あれこれ雑談』というコーナーを読んだ時にすごく面白くって、こういうの書いてみようと思ったのです。それまでは、自分がやったことを要約した「日記」だったのですが、読み手を意識したエッセイとして割り切りました。
私は落語が好きなのですが、うまい噺家は江戸時代のその場にいるような気分にさせるのですよね。読んでくれる方が、その時のシーンや気持ちを共感してもらわないと、その先の「面白い」とか「泣ける」という気持ちに繋がらないので、シーンや気持ちの描写は意識して書くようにはしています。
執筆には意外と時間がかかっていて、イノキチ物語は、実は前編を公開した時にすでに全部書き上げていたんです。中編と後編は相棒に試し読みをしてもらいつつ推敲して出しました。
テント泊はみなさん重量がネックなんですね。うちの場合、2人分担しますが、無雪期1〜2泊で12kg以下には収まるので、すごいハードルでもないかもしれないですよ。冗談でおっしゃられているのかもしれませんが、山小屋でテントを設置してそこに泊まって食事は小屋でというサービスあります。たしか穂高直下の涸沢小屋はテントのレンタルがあったはずです。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
cajaroaさん、貴重な情報有難うございます。
憧れの穂高を目の前にしてのテント泊、いつか挑戦したいと思います⛺
とりあえず、初体験はレンタルで💕
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