誕生からエベレスト登頂迄を描く。タイトルは、エベレスト登頂時一緒だったアン・ツェリンと言うシェルパの言葉。もう登らなくても良いんだと聞いてそれが嬉しかったと言う。
エベレスト登頂直後に書いたようだし、そもそもまだ紀行文の類を書くのに慣れてなかったと言うのもあり、有り体に言うと文章はぎこちない。でも、とにかくエネルギーがひしひしと伝わってくる。
そんな印象の本
なんのエネルギーか。
勿論、山を登りたい、世界の最高峰を極めたいと言う登山家としてのエネルギーなのだが、それだけではない。文章を読んでいるとそう感じた。
田部井さんは体も小さく、運動音痴でスポーツはさほどだったらしい。女性の中でも小さい方で当たり前だが男には当然負ける。当時は女性の社会進出はまだまだ。結婚の相手は両親が見合い話を持ってくる。女性蔑視まで行かない。それ以前の問題で男性に守られるのが当たり前、親が子供を守るのと同じように女は守られるのが当たり前、そんな世の中に無意識に居心地の悪さを感じている。別に男女平等を主張するフェミニストではないのだが、男とか女とかそういう事の前に人として普通に接して欲しい。
そんな言葉にならない思いが伝わってきた。
田部井淳子を表現する恰好な舞台が山だったと言う事だろう。
著者もあまり自覚していないようだが、この本にはそんなエネルギーが滲み出ている。
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