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朝ドラ「おかえりモネ」で主人公は当初森林組合で働いている。馴染みのない業界にはイメージが無く観てて面白かった。林業に興味が湧き調べるうちに森林ジャーナリストと言う肩書の著者のブログに辿り着く。結構な数の著書のうちの一冊をAmazonで取り寄せた。それで満足してしまい、今になってようやく読了。
砂漠に植林、バイオマス発電、環境問題を意識させる言葉には、何か耳心地の良い響きが隠れていてうっかりすると騙される。今ならSDGsと言う言葉が書かれていれば環境に優しい筈、みたいな。
「地球温暖化を防ぐには植林が一番」
「バイオマス発電は地球に優しい」
そういう漠然としイメージにあえてアンチテーゼを突きつける。
"それは本当に正しいのか"
例えば。
バイオマス発電は、建材として利用できない端材を捨てずに、発電に利用するからこそ意義がある。然しながら、現在はFIT制度により建材よりも高値で売れる為、端からバイオマス用に使われるケースが増えている。建材用なら木を切った後の工程でも木を傷めないように慎重に運搬しなければならないし、枝も取ったりしなければならず大変だが、バイオマス発電用なら最終的に全部燃やすのだから細かい事を気をつける必要がない。目に見えないコストも含めて考えると、バイオマス発電用にした方がコスパが良い。炭素固定してくれるから木材がもてはやされるが、これは木を切って燃やしているだけだ。これで脱炭素になるのか。
砂漠を森に変える、聞こえは良い。植物が生きていくのに水分が欠かせないが、砂漠は雨が少ない。地中に流れる地下水を汲み上げて充てる。しかし絶対的な量が足りない。足りていればそもそも抜け目ない植物は、砂漠に根を下ろす方法を見つけて既に繁栄している筈。地下水は枯渇する。枯渇すると塩害が進み、砂漠はより一層不毛な大地となる。
等等。
偉そうに書いたが当然自分も知らなかった。
全体を俯瞰して思うには、生態系の複雑さに対して、人間のやる事が雑すぎるのだ。とにかく木を植えよう、木を植える時も単一の種の木しか植えない。その方が効率的だから。政策とか施策は確かにシンプルなのが好まれる。分かり易さやイメージの良さが尊ばれる。とは言え、そんなやっつけ仕事ではのっぴきならない状況にあるのもまた確か。
疑う心を忘れず、一つ一つ考え調べる事の意義を問う良い本だと思う。まあ、その意味ではこの本に書かれた内容を鵜呑みにしちゃいかんのだけど(笑)
にしても、環境問題を扱う本を読むと暗い気持ちになる。学生時代から状況はあまり変わっていない。
汚い部屋を片付けろと親にガミガミ怒られる。片付けなければ遊びに行かせないと親は言う。子どもは散らかっていた物をクローゼットにぶち込み、なかば逆ギレ気味に「片付けた」と言って遊びに出かける。人間はこの子どもとさして変わらない。親から大目玉を食らう前に行動を改めたいものだ。
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