遅い朝ごはんと難しい読書

2013年09月15日 18:51読書全体に公開

和食好きだけど、朝は時間がないので、パンをほおばる毎日…ずーっと仕事に行かなくてもいい日が来るのが待ち遠しい。
今朝は家族が朝から庭で草取りをしているので、私が朝食を。めったにない行動なので雨が降っています。
＜パン３種÷オムレツ×ジャーマンポテト＋ブドウ＊コーヒー＞
オムレツの中身は、トマトとタマネギのざく切り。ドレッシングであえて、卵に包みます。ケチャップ。
ジャーマンポテトは、薄切りポテトをゆでて、ベーコン、タマネギで炒めるだけ。塩コショウのみ。
味は別として、時間があると残さず食べられる。雨の日曜日は、時間だけがたっぷり。あと持ち帰りの仕事がたっぷり、今日中に終わらせたいが…明日雨でもいいや。
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「資本主義という謎」　水野和夫×大澤真幸　（NHK出版新書）
経済学者の水野さんの本は初めて。大澤さんは私よりも若い社会学者で講談社新書の「ふしぎなキリスト教」で、頭のいい人だなあと驚いた記憶。この本は、結構本格的なもので、門外漢が論ずるのは失礼かもしれない。資本主義の歴史、特にキリスト教と「利子」の関係がきれいに解説されている。ノアの方舟以降、人間の経済的活動原理を「蒐集」という概念で説明する水野さん、私には全く新しい観点で、興味深い。実証しようもないことだけど、それで説明つくなら、という感じ。このあたり、文系的アナロジーが好き嫌い分かれるとこかもしれない。

リーマンショックについて、
「・・・米議会が非難したように、サブプライムローンは「略奪的貸付」だったのです。自国民から略奪してまで利潤率をあげようとした段階で、資本は国家・国民に離縁状を突きつけたことになります。所得の二極化は、最終的には近代国家の基盤をなす中産階級を没落させ、社会そのものを崩壊の危機に陥れることになるのです。」
堤未果さんの「貧困大国アメリカ」とぴったりシンクロする。一億総中産階級って言ってたのはバブルの頃（80年代）だったでしょうか。あの頃が特殊だったのだね。自分は中産階級じゃないし、ローンもないけど、マネーゲームの失敗のつけがこっちに来るのは嫌だなあ。

ところで。この本の最後で朝井リョウの「桐島、部活やめるってよ」がとりあげられていてビックリ。大澤さんは：
「…ここには、日本中のどこにでもありそうな平凡な高校生活が描かれています。…非日常的なことは何一つ起こらず、とりたてて不幸なこともない。しかし、見ていると、胸が締め付けられような閉塞感を感じます…」
と書き、高校生活の中における勝ち組と負け組の話になっていくのである。
朝井さんのデビュー作「桐島・・・」のことをこのヤマレコ日記で以前取り上げたことがあった。その後朝井さんは直木賞をとったりして、予想があたって嬉しいわ～と思ったが、まさか大澤さんがその映画をみていたとは。高校生のあるクラスの様子を、アメリカの覇権の構図と同じだと書くとか。いやはや、このように読む本だったのですか、と聞いてみたくなった。

「資本主義という謎」、難しくて頭が破裂しそうだったが、このあたりで私は息を吹き返したわけです。水野さんはこんなふうに結論を持っていく。
・・・おそらく日本は「近代」という戦争をたたかってきて、形の上では勝ち組となった。勝ち組だからこそ撤退しなければならない。たぶん負け組は、撤退もできないのではないかという気がします。そして資本主義は、撤退のシステムとしてはあまり向いていない。・・・近代の行動原理である「より速く、より遠くへ、より合理的に」を経済的な側面から最も効率よく実現できる仕組みこそが資本主義であり、前へ前へというのがその至上命令ですからね。今は後ろへ後ろへと号令をかけなければいけないときなんです。

その撤退戦を戦えるのは、若者である。おそらくは資本主義的エートスと最も無縁の一見「覇気のない」若者、頼りなくみえるあなたの「俺の年金なんとかしてよね」視線にシラケている、若者なのである。
脱資本主義、脱近代、ポストモダン、これが戦いに勝てる（かもしれない）キーワードなんだそうな。
いやはや。仕事に戻らなくちゃ…

＊雨がひどくなってきたので、一日家で仕事。晩ご飯は簡単に。
イカとナスとシメジのトマトソースパスタ。お高いけどモッツァレラチーズをふんだんに。昼はソーメンだったので今日はお米を食べなかった…

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