織田淳太郎(光文社新書)
うつの本を連続して読んでいた。多くは医師や心理学者の本なのだが、本で読んだ知識を持ってうつの友人に対しても、なかなか言葉は無力だなあと思う。それにしても多い。うつ病が一般的なのか、うつって分からない病気だからなのか。数日前この本を見つけた。そして一気呵成に読んだ。筆者はスポーツライターで、自身が早大ボクシング部出身というマッチョ系でありながらうつを病み、今それを押さえ込んでいる(克服したとは書いていない)という下敷きがある。その一方でフリーライターらしい多くの取材に裏付けられたうつの現場(医療現場も患者の心の内部の現場も)が描かれており、何よりもうつの患者さん達の生の声がたくさん読める。丁寧に後追い取材をしながら通時的にうつの回復を追っておられるところも、とてもいい。回復例は少ないのだが・・・。いくつもの療法が紹介されており、SSRIなどの抗うつ剤も素人向けに説明がされている。薬業界と医療の問題点も外部の視点で描かれており、多少の展望も見えてくる。患者側のスタンスです。正攻法のうつ本では満足できない方は一読されてもいいと思う。2005年初版だからちょっと古いが。
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