(岩波ジュニア新書)2009年11月20日初版
著者は神戸工業高校定時制の先生で、国語の授業で生徒達に書かせた短歌がそのまま載っています。なんの技巧も飾りもない、ありのままの短歌です。
・遠き日に手放したりし卒業の二文字を追って夜学に通う
・中学へ行かぬと決めしわれを打ち母は涙で思いを語る
・父は死に母は失踪兄と俺夜学4年目今生きている
著者は淡々と短歌を書いた生徒の事情を語ります。幾重にも重なった若い人生のドラマがありました。「底辺」と呼ばれる生徒たちの青春の姿でした。
例えば阪神大震災のこと。定時制の子ども達はほとんど町工場など零細企業、サービス業で働いています。震災のあと、南先生は生徒に震災のつらい体験を歌にしようとよびかけました。生徒達は思い出すのも嫌だと拒否。さらに説得をすると、ある生徒に「何を軽いこと考えてるんや」と胸ぐらを掴まれたのです。この年初めて授業短歌集は編まれませんでした。翌年この生徒が南先生にレポート用紙2枚を。そこには、大工でもあった彼が、崩壊した家から引っ張りだした友人の手が取れて、友人はがれきの下で亡くなっていたこと。田んぼで荼毘に付すしかなかったことが書かれていました。彼が先生に手渡した短歌は
・駆けつける友の住まいは崩れ落ち生き埋めの友に我は無力
「軽いこと」という言葉の意味を南先生は悟るのです。二年後、別の生徒が、震災を生き延びた自分を責め続け、胸にしまいこんでいた記憶をようやく歌に。
・崩れ落ち部屋に埋もれる友人の最後の言葉は「もうねむたいわ」
この本は、本物の教師ともう後がない生徒達の戦いでもありました。31文字を指を折って数えて作った短歌がほとんどです。でも、不覚にも涙涙で最後読み終えるのが大変でした^^;
kiyoshiさん、いつも書評ありがとうございます。
良い読書生活をされていますね。本に出会うきっかけは様々ですが、こうしたお勧めがいちばん効きますね。
書評ができすぎて、読んだ気になってしまうのが問題と言えば問題・・・
この先生は、定時制の復活のために使ってるとのこと。私は図書館で借りて、あらためて、もう一度買いました^^ 何の応援にもならないけど、私のようなスレた人間一人動かしたのは、この先生と生徒の力だと思いました・・・
はじめまして、兵庫県のsilverstarです。
南先生を取り上げたドキュメンタリーを先日テレビで見ました。確か、「サンテレビ」だったと思いますが、見ていて目頭が熱くなりました。
今、五木寛之さんの「天命」を読み始めたばかりなので、読み終わったら「生きていくための短歌」を読もうと思います。
南先生、有名人だったんですね。
震災のこと書いてしまいましたが、ヤマレコ会員の中でも悲しい体験された方が沢山いらっしゃると思います。
私は報道でしか知らなかったのですが、改めて当時の高校生の心の中を知り、胸が一杯になりました。悲しみは「人生の親戚」ですね・・・
でも、この本、辛く苦しい本ではないのです。私はとても励まされましたよ^^
またまた良い本のご紹介ありがとうございます。早速アマゾンで注文しました。税込み777円とラッキーナンバーでした。明日には届くようです。
そんなにすぐに買わなくても^^; 短歌の本ではありませんからね。高校生と先生の物語、輻輳する青春群像です。まあ、ソファに寝転んで、可愛い子どもたちの話に耳を傾けてやってください。赤貧、不幸のどん底にいても、やっぱり若さは何物にも替えがたいものですね。
私信ですが、wakaさんは私と同郷なんですね。私は今はなき新湊です。富山県民歌、まだ歌えますか(笑)
kiyoshiさん、こんばんは。
私は富山県八尾町(現富山市)生まれです。
越中オワラ節と踊りが大好きですが、最近は人気が出すぎて人が多くて行く機会を作れません。最後に行ったのは10年前、たぶんもうこれが最後と思い、母の故郷、越中八尾に母を連れて行ったのが最後でした。連れて行けて良かったです。まだ叔父が八尾に生きており名前が清です。
http://www.geocities.jp/fzw00403/room35.html
私も踊りました。踊らされたっていいますか。八尾いいところですね。風の盆恋歌からですよね、書いたの五木さんだっけ?NHKでもドラマになって全国区になりましたね。
今後ともよろしくお願いします。
あと、私はwakaさんの叔父さんじゃないですからね(笑)
先コメントのリンクの写真の1枚目の左の女性が私のいとこで、その、清さんの娘です。もう孫何人ももいますが。私は未だ孫なし。
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