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低気圧が通って雪がしっかり降ったら登りたいので、その前に雪山ハイク候補の山を増やすため下見を進めています。
そんな下見からの下山中、罠にかかった鹿に遭遇しました。
この鹿は往きにも見かけていて、至近距離なのに逃げなくて違和感を感じた個体。
そして帰りも同じ場所でゴソゴソしているので、近づいてみると、あぁなるほど。
鳴き声をあげて必死に逃げようとしますが、脚を絡めとったワイヤーは強固です。
情が湧いてくるといけないので、長居せずにその場を後にしました。
信州の里山は、獣避けフェンスを広範囲に設ける山も少なくなく、罠注意の標示もよく見かける。特に鹿は、近年頭数が増えすぎて大きな問題になっている。
霧ヶ峰のニッコウキスゲ激減の原因とされ、生息域の拡大も実感されます。
可愛そう目線だけでは語れない現状になっているので、あとはせめてジビエの食材にでも活用されることを願うばかりです。
エサの乏しくなる冬は車道脇や市街地近くに出てきて、事故も珍しくありません。
厄介なのは、群れで1頭が走り出すと後続の鹿も同じ方向に走り出す習性。
車の前を横切った1頭目を避けても、次々に続いてきて避け切れず接触することも。
動いている車の危険さは、彼らの本能だけでは認識不可能のようです。
立派な角の牡鹿を見ると神々しいとさえ思うのですが、奈良や動物園などで鹿を見ても、可愛いとは思えなくなってしまってる自分です。
私も先月、埼玉の奥秩父の山中で、害獣除けフェンスに角が引っかかって動けなくなり死んだばかりの雄シカの死骸と遭遇してしまいました。
死んだシカと目が合ってしまい、今でもその恨みがましいまなざしが忘れられません。
でも可哀そうと思って罠から外してあげようとすると、逆に暴れたシカに傷つけられたという例もあるので、発見してしまった場合は難しいですね。
フェンスの網目に角が引っ掛かるなんてこともあるんですね・・・。
私が今回出会った鹿も近づくと猛烈に暴れて、とてもそれ以上は近寄れませんでした。
でも少し離れると静かになって目線が合い続けて、こちらを見続ける・・・何かを訴えかけるようにさえ思えてきてしまいます。
鹿の問題は大きくて、食材活用ならOKとかいうよりも「駆除」として行なう段階になっていることは理解しつつも、彼らの存在自体に罪がある訳ではないから複雑な気持ちになります。
なんとも心が痛む話で、また、なんともむずかしい話ですね〜。
私のホームグラウンドの丹沢でも鹿の問題は深刻です。植生を守るために仕方ないことと思いはしますが、毎年3,000頭近くが捕獲されている状況は辛いです。
山麓の市街化で山中に追い込まれ、狭い範囲で生息密度過剰になった結果、管理捕獲が必要になっているのでしょう。
山を歩いていると頻繁に管理捕獲の銃声が聞こえます。人と動物と自然の調和を図るもっとうまい方法はないのかと、ため息をつきながら歩いています。
長野だけでなく、丹沢でも凄いんですね。
信州ではジビエへの活用も取り組まれていますが、今後もなかなか一般化はしないと思うので、頭数を減らすためには管理のための駆除しかないのが現状のようです。
奈良の公園の平和そうな光景とは反対の世界。
日本文化で言えば、鹿島神宮や春日大社の縁起にあるように、鹿も本当は神様の使い。
雷鳥は守り増やす。シカは減らす。同じ山の動物のこと。
理屈では分かってますが現場を見てしまうと、人間って勝手だよねと、つい思ってしまいます。
「けがをしたり、弱った野生鳥獣を見つけたらどうする」…各都道府県HPにはおおよそ「助けたりはせずそのままにして下さい」と書かれています。野生鳥獣が自然の中で死ぬのは当たり前のことだからだそうです。野生鳥獣を助けようとして人間がけがを負ったら基本その野生鳥獣は殺処分となります。自分もけがをして、助けようとした野生鳥獣も殺されるなんて、不幸すぎますよね。負の連鎖を生まないためにもスルーする心は必要だと思います。
あとatovさんが書かれている、人間は勝手という言葉、本当にそうですね。結局、人間のエゴで庇護される生き物とそうでない生き物がいるんですから。安易にかわいそうとは言いたくないですね。
こちらの里山では彼らに頻繁に出会うので、駆除現場に遭遇するケースは今後もありそうです。
一時的なヒューマニズムを発動させても自己満足になるだけなので、見て見ぬふりという選択しかありませんが、それだけに植物被害が減ったとかニッコウキスゲの群落が復活したとか、駆除に伴う効果が現れる日が早く来てほしいと願っています。
こちらに遊びに来た皆さんが野生のシカを見て喜ぶ光景を見ていると、その反応が普通だよねといつも思います。霧の中で突然に立派な角の鹿が現れたことがあって、これは神様か?と思ったこともあります。でも今は、彼らは駆除される側にいる。心の中ではなんかモヤモヤなんですね〜。
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