黒部川を挟んだ対岸には立山、剱岳が並んでいる。これらの山の東側の谷には計4箇所の氷河が確認されている(御前沢、内蔵助、三ノ窓、小窓)。このうち立山の御前沢氷河、内蔵助氷河はもう僅かしか残っていなかった(写真1)。
もう10月に入って気温が下がってきそうなので今年の消滅は避けられそうだが、今後今年のような高温の年があると消えてしまいそうである。
冬になれば大量の降雪で雪渓はできるが氷河になるまでは長い年月が必要で、一説では100年とも1000年とも言われている。氷河ができるには長い時間が必要だが、温暖化の影響で溶けるのは10年単位だろう。世界各地の山岳氷河も減少の一途をたどっている。
剱岳の三ノ窓、小窓氷河はまだ残っているが、小窓氷河(雪渓)は見たことがないほど後退していた(写真2、3)。いつもの秋なら小窓雪渓を上がって剱岳北方稜線に取り付くのだが、雪渓上端の地形を見るとガレの急斜面で鞍部の小窓に取り付くのは無理だろう。北方稜線に取り付くのに一番簡単なのが小窓雪渓だったので、今年はもう絶望的だろう。
この状況が続くと日本国内の氷河が全滅するのもそう遠くないだろう。
今年の夏に、源次郎尾根から剱岳に登りましたが、平蔵谷や長次郎谷の雪渓の少なさにビックリしました。
学生だった30数年前はどの谷も雪渓で埋めつくされ、その大きさに驚いたものです。
30数年前は新潟の山も今よりも雪が多く、大型連休でも利根川源流部は残雪に覆われて藪を回避可能でしたが、近年は大型連休ではもう雪がかなり落ちて藪漕ぎ箇所が多いです。
温暖化の進行で雪を頼りにした山行がやりにくくなりました。
逆に無雪期はシーズンがずっと延びて、昨年は北アルプスでも初雪も本格的積雪も遅く、11月後半でも鹿島槍で僅かしか積雪がありませんでした。現状の山小屋の営業期間は10月半ばくらいまでが一般的ですが、もしかしたらそのうちに11月上旬くらいまで延びるかもしれません。
今夏は全国的に観測史上で最も暑かったですが、昨年暮れの初冬から今年初めの晩冬に掛けても記録的な少雪でしたね。
日本アルプスのある長野県全域でも平年比45%〜79%です。https://www.data.jma.go.jp/obd/stats/data/mdrr/snc_rct/alltable/smsnd_sm01.html
今年のような猛烈な酷暑が繰り返されれば4箇所の氷河認定は見直されるのではないかと危惧しています。
今年は積雪の少雪+春、夏、秋とも高温続きで雪解けが異常に進んでいますね。長野県でも氷河が2つあり、氷河かどうか調査中の雪渓もありますが、この分では全部溶けてなくなりそうです。
温暖化の影響はあちこちで出ていますが、特に山岳氷河では出やすいようです。アフリカのケニア山の氷河もここ2,30年で急激に溶けてあと10年程度で消えてしまうようです。
暑さの影響か、北アルプスの稜線の紅葉は非常に悪く、高山植物等の草は色付きが順調に進んでいましたが、樹木の葉は紅葉せずに焦げたように部分的に枯れてしまった葉が多いです。中腹の方が紅葉がいいような感じがします。昨年も紅葉の色付きは例年より悪かったですが、これも温暖化の影響のように思います。
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